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コロナ第6波で「自宅療養中の死亡」地方に拡大…100人中3人しか入院できない衝撃
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301403
2022/02/17 日刊ゲンダイ
入院率は3.2%、陽性者100人に3人しか入院できない。入院させない政府方針の危うさを示す数字だ(後藤茂之厚労相)/(C)日刊ゲンダイ
「入院すべき方が入院できない状況が起きているのではないか」との質問(14日の衆院予算委員会)に後藤厚労相は「数字として、今すぐ起きているわけではない」と答弁した。数字上、病床は逼迫していないという立場だ。しかし、入院のハードルはかつてなく高く、自宅療養中の死亡が地方にも広がりつつある。
◇ ◇ ◇
14日の厚労省の発表によると、9日時点のコロナ療養者は83万9580人。このうち入院しているのは、たったの2万6734人で入院率は3.2%だ。陽性者100人に3人しか入院できない。
第5波のピークだった8月25日時点の入院率は11.5%(2万4126人/20万9703人)。第6波の入院率の低さが際立っている。
ワーストは兵庫の1.9%。以下、京都(2.3%)、大阪(2.3%)、東京(2.4%)、神奈川(2.5%)、福岡(2.7%)と都市部の入院率が低い。
高い順では島根(14.8%)、岩手(12.7%)、鳥取(9.6%)、和歌山(9.4%)。患者に手厚い地方でも1割程度の入院率にとどまっている。第6波では、ケタ違いの感染者が発生しているが、軽症も多く、入院するケースが少なくなっているのだろう。
入院が必要な患者は病院に入れているのだろうか。気になるのが自宅療養中の死亡例が地方で確認されていることだ。
日刊ゲンダイは自治体の発表や報道をもとに第6波の自宅療養中の死亡例を調べた。すると、5県で県内初の自宅療養中の死が確認されていた。宮崎(4日)、青森(5日)、滋賀(7日)、鹿児島(12日)、茨城(14日)の5県だ(日付は発表日)。
茨城の70代男性は8日に発熱し、10日に陽性が判明。基礎疾患があったが軽症だったため、医師がすぐの入院は必要ないと判断した。保健所が症状などを聞き取る予定だった12日早朝、家族が異変に気づいた。救急隊が来た時は死亡していたという。茨城県の病床使用率は37.6%(14日時点)だ。県に聞いた。
「県内の病床は逼迫しておらず、必要な患者には入院いただけています。70代の男性は、医師が入院不要と判断し、自宅療養となりました。今回のケースを踏まえ、今後は軽症でも容体が急変することを考慮し対応したい」(感染症対策課)
軽症の高齢者をどう守るのかという難問
新型コロナの症状が改善し、自宅療養する女性(左)を病院から送り届けた介護タクシー「かご屋」の木原代表(都内)/(C)共同通信社
第4波や第5波の時は、大阪や東京の病床がパンク。重症者も入院できず自宅療養者の死が相次いだ。第6波では病床は空いているが、軽症のため入院不要と判断された高齢者が自宅で亡くなるケースがほとんどだ。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「軽症の高齢者をどう扱うのかは難しい問題です。どんどん入院させればいいわけではない。同居家族がいる場合、自宅で療養する方が快方に向かうことも少なくありません。ただし、自宅療養とする場合、急変時にすぐに医療にアクセスできる体制を充実させることが必要です。1人暮らしの場合は自宅療養は危険です。東京都が軽症〜中等症1の高齢者を受け入れる臨時施設やリハビリを含め治療ができる拠点を整備するようです。評価できる試みだと思います」
15日発表された死者数は過去最多の236人。とうとう200人を超えてしまった。オミクロン株の怖さは、たとえ軽症でも高齢者の場合、死につながるケースがあることだ。軽症者の死をどう防ぐのか──。やれることはいくらでもあるはずだ。
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