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3回目接種遅れの元凶は後藤厚労相と堀内コロナ担当相 昨秋“前倒し”に急ブレーキの不可解
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301336
2022/02/15 日刊ゲンダイ
「6カ月は例外的」(堀内詔子ワクチン担当相=左)、「自由な前倒しではない」(後藤茂之厚労相)/(C)日刊ゲンダイ
第6波の新規感染者数は減少傾向が見られるが、重症者、死者数は今も深刻な事態が続いている。悔やまれるのは、3回目接種の前倒しが遅れたことだ。「8カ月に根拠なし。完全に厚労省の間違いだ」(河野前ワクチン担当相)と、政治家は官僚を“悪者”扱いだが、ブレーキをかけたのは岸田政権の2閣僚だ。
◇ ◇ ◇
14日の衆院予算委員会で、立憲の長妻昭議員は「前倒しの判断が遅れたことは人災だ」として、昨年11月の前倒し決定をめぐる経緯を取り上げた。
11月15日、専門家で構成する厚労省のワクチン分科会は3回目接種の時期について、2回目接種完了から「原則8カ月」としながらも、感染状況による自治体の判断で「6カ月」と認める方針を了承した。
ところが翌日、2人の大臣が閣議後会見の場で、急ブレーキをかけたのだ。
6カ月後接種について、後藤厚労相は「クラスター発生など非常に特殊な場合だ。自由に地域の判断で前倒しするものではない」と言及。堀内コロナ担当相は「例外的な取り扱い。現在の感染状況では、自治体は6カ月を前提に準備する必要はない」と断じた。
次の波が来る冬の前に、リスクの高い高齢者施設などで3回目接種を急ぎたかった自治体はブレーキ会見に大混乱。長妻氏の元にも問い合わせが相次いだという。
予算委で長妻氏に会見発言の真意を問われた後藤厚労相は、感染状況によるとしたワクチン分科会と「違いはない」と前置きし、「知事会など自由に6カ月に前倒しができることに強い憂慮を表明した団体もあり、原則ルールを明確にした」と答弁。当時、前倒しによる混乱を懸念する自治体はあったが、11月21日の全国知事会の緊急提言は「判断基準の明確化と確実なワクチン確保」だった。前倒しに難色を示したわけではない。
ブレーキ会見後、両大臣はそろって岸田首相と面会
「医療従事者576万人・高齢者3273万人」の対象者全員に接種をしても、お釣りがくる量が国内に存在していた/(C)共同通信社
堀内コロナ担当相は「当時の感染状況では8カ月を前提に準備していただく状況だった」と答えた。前倒しは「不急」と判断していたことが分かる。決して官僚ではなく、政治判断で前倒しにブレーキをかけたように見える。
しかも、昨年11月1日時点のワクチンの在庫は、国と市中を合わせて4690万回(ファイザー2370万回、モデルナ2320万回)分もあった。医療従事者576万人、高齢者3273万人の対象者全員に接種しても、お釣りがくる量が国内に存在したのだ。
長妻氏は「官僚はワクチン分科会の議論で着地をしたが、その上の政治家、両大臣がブレーキをかけたのが真相じゃないのか。岸田首相がどう関わっているか明らかにする」と意気込んだ。
実は当時のブレーキ会見後、両大臣はそろって岸田首相と面会。岸田首相は「原則8カ月」を自治体に丁寧に説明するよう指示したとNHKは報じたが、後藤厚労相は「やりとりは明かせない」と隠した。
「昨年11月は感染が下火だった。政府・与党内で、わざわざ混乱を伴う前倒しをしなくても、何とかなるとの楽観論があり、政治判断で8カ月が堅持されたようです。もし、昨年11月15日の時点で在庫がある自治体の前倒し接種を認めていれば、多くの高齢者は1月中に3回目接種を完了させ、ひいては現在の重症者や死者はもっと少なくて済んだはずです」(医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏)
当時、各国が前倒しを加速させる中、なぜ、岸田政権はブレーキをかけたのか──。野党はしつこく追及し、政策決定プロセスを明らかにすべきだ。
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