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※2022年1月31日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年1月31日 日刊ゲンダイ2面
【何から何までてんでダメ】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 31, 2022
もう見えてきた「聞くだけ」政権の限界
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/AOWCIfzcPl
※文字起こし
国会は31日と2月2日に衆院予算委で岸田首相出席の集中審議を開催するが、新型コロナ対策でワクチン3回目接種が遅れていることや自宅療養者が激増していることについて、岸田政権の「後手後手」対応が追及されそうだ。
30日のNHK「日曜討論」でも、立憲民主党の小川政調会長が「無策に見える」と厳しく批判していた。
「政府・与党は、オミクロン株の重症化率がデルタ株に比べて低いとされていることを強調しすぎていて、誤ったメッセージを与えている。感染が広がり、多くの犠牲を生みながら、集団免疫を確保することに委ねているように見える」というのだ。
たしかに、岸田政権のコロナ対応を見ていると、オミクロン株の爆発的な感染拡大で陽性者数が増えたら入院基準を変える、検査キットが足りなくなったら検査なしで陽性を確定診断できるようにする、濃厚接触者が増え過ぎて追跡できなくなったら自己申告制にする等々、手に負えない現状を追認しているだけなのだ。
小川が「日曜討論」で「患者野放し」と批判したのはその通りで、オミクロン株は重症化率が低いことを頼み、自然に収まるのを待っているだけに見える。政治がまったく機能していない。
28日には、磯崎官房副長官も新型コロナに感染。しかし、首相官邸内に濃厚接触者はいないとすぐに発表された。頻繁に会っている岸田ら政権幹部がPCR検査を受けた結果なのか、無症状だから大丈夫と判断したのかもよく分からない。
前2政権の失策から学んでいない
政府は28日、オミクロン株対策と称して、濃厚接触者の自宅などでの待機期間を10日間から7日間に短縮すると決定したが、これも濃厚接触者の急増で、期間短縮しないと社会活動が維持できなくなる可能性が高いからだろう。医療従事者や公共交通機関、生活必需品製造などに従事する「エッセンシャルワーカー」の場合は、感染者との最後の接触後、5日目で待機の解除を認めることにした。
「インフルエンザも発症から5日間は自宅待機が一般的ですから、同等の扱いに近づいている。では、新型コロナも感染症法上でインフルエンザと同等の5類に引き下げるかというと、そういうわけではない。しかも、感染してもタミフルなどの特効薬が処方されないのでは、インフルエンザより無軌道な状況になりつつあります。せめてワクチン3回目接種がもっと進んでいれば状況は違ったかもしれませんが、感染力が強いオミクロン株になす術なく、傍観しているだけに見えます。安倍政権、菅政権のコロナ失策から何の教訓も得ていないのでしょう。『後手後手』と批判された菅政権は、まがりなりにも官邸主導でワクチン接種を強力に推し進めた実績がある。その“貯金”で、昨年秋の岸田政権発足時から感染状況が落ち着いていた準備期間があったのに、甘く見ていたとしか思えません」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
31日から自衛隊の大規模接種センターがようやく再開するが、モデルナ製のワクチンが使用されることで3回目接種が思うように進まないのではないかと懸念されている。
岸田は「私自身、1、2回目はファイザー社のワクチンを打ちましたが、3回目はモデルナ社のワクチンを打つ予定です」とアピールしているが、モデルナの枠が埋まらない自治体も続出している。
後追い、丸のみ、丸投げで緊急事態宣言の支離滅裂 |
「コロナ対策にかぎらず、岸田首相の手法はすべてが後追い、丸のみ、丸投げ、朝令暮改の連続なのです。現状は後手後手よりひどい。間違った政策をすぐに改めるのは悪いことではありませんが、正しいかどうかの熟慮もないまま、ただ流されて右往左往し、漂っている小舟のような政権です。感染拡大で自治体から『まん延防止等重点措置』の要請があれば丸のみし、専門家から何か指摘されれば受け入れる。それで具体的なことは自治体や役所に丸投げする。やってるフリと責任回避だけで、トップリーダーの指導力というものがまったく感じられません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
ワクチン接種も遅々として進まない中、東京都では、小池都知事が「病床使用率50%で緊急事態宣言を要請」と明言した基準が迫る。それで宣言発令を要請したら岸田政権は認めるのか。これだけ陽性者を野放しにしておいて、緊急事態宣言で行動制限をかけるなんて支離滅裂だ。岸田はオミクロン株に合わせて対処法を変えたように装ってその場しのぎを続けているが、実態は政策の破綻なのである。
「総理は3月の自民党大会と夏の参院選を乗り切ることを最優先に考えている。そのためには安全運転が第一で、何か新しいことをして批判されるのは避けたい。思いつきのアベノマスクは当然ながら、菅前総理が強権的に進めたワクチン接種事業も当初は批判を浴びたことが念頭にあるのでしょう。それよりは、何もしない方がマシだと考えているのだと思います。自身の責任を問われないため、周囲の意見を丸のみする。今はじっと我慢の心境なのでしょう」(官邸関係者)
それでコロナ無策、物価上昇や株価暴落にも打つ手なし。不幸なのは国民である。ご自慢の「聞く力」だけでは限界ということだ。
すべてが行き当たりばったり
新潟県の「佐渡島の金山」について、一度は見送りながら、世界文化遺産への登録をユネスコに推薦すると決めた一件でも、岸田は「聞く力」を発揮して迷走している。
日経新聞(30日付)によれば、官邸は当初、世界遺産問題に関心が薄く、外務省にも「韓国を無視して推薦すればユネスコ内で日本の信頼を損なう」との見方があって、推薦を見送る方向で検討していた。
だが、韓国への強硬姿勢を求める安倍元首相や高市政調会長ら保守層から突き上げられて態度を一転、28日に自ら申請を明言した。
<「国内政局がある。保守派の離反を招くかもしれない」。首相は周囲に外交の観点だけでは判断できないとの認識を示した。夏の参院選を控えて自民党の岩盤支持層が揺らぐ懸念を抱いた>
<推薦するうえで首相が懸念したのは韓国ではなく米国だった。バイデン大統領は日韓関係の改善を期待している>
<首相は26日、安倍氏に電話し意見を聞いた。安倍氏は「米国は事前に言えば難色を示すのは当然だ。1年半は我慢するしかない」と訴えた>
米国は日韓との協調でロシアや中国と対峙する方針で、それは岸田も承知しているはずだ。ところが、安倍の言いなりで韓国を刺激し、米国をもイラつかせた途端、北朝鮮から「ロフテッド軌道」のミサイルを撃たれたのは笑えない話である。
「韓国の反発は必至で、米国も不快感を示す状況で、世界遺産に登録される勝算もない。安倍元首相らに言われた通り推薦したから、それで自分の役目は終わったということなのでしょうか。岸田首相の戦略が見えません。すべてが行き当たりばったりなのです」(五十嵐仁氏=前出)
それにしても、安倍は相変わらず勝手な男だ。自身の岩盤支持層をつなぎ留めるために岸田に方針転換を促し、それで米国との関係が悪化しても知らんぷり。「1年半は我慢して」とは、無責任に過ぎるのではないか。他国との関係がこじれても、自分さえ安泰ならいいのか。岸田も、そんなヤカラの言うことを聞いて何になるのか。それが本当に国益に即した判断と言えるのか?
予算委では、佐渡金山の推薦をめぐる経緯でも説明を迫られそうだ。
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