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感染爆発の敗因は岸田首相の「人命より参院選優先」にアリ 3回目接種が進まない理由と、新変異株の脅威
https://friday.kodansha.co.jp/article/226925
2022年01月30日 FRIDAYデジタル
国内で確認された新型コロナ感染者は28日、あっさり8万人を超えた。3回目のワクチン接種は進まない。第6波の感染拡大は、収束のめどがまったく見えない。感染が拡大する東京都では、小池百合子都知事が緊急事態宣言を国に要請することを検討しているという。
岸田首相の眼差しは、3月の自民党大会、夏の参議院選挙にのみ、向かっている。が、今こそ、疲弊する国民生活を直視するリーダーシップを期待したい 写真:つのだよしお/アフロ
「岸田には本気が感じられない」
そんな現状でも、岸田文雄首相の新型コロナ対策には、菅義偉前首相が見せた「寝食を忘れて奔走」するような「本気」が感じられないと、自民党内から批判の声が上がり始めている。
「岸田首相は総裁選の時から『コロナ対策は誰がやっても同じような事態に陥る』と熱が入っていなかった。菅首相は高齢者のワクチン接種1日100万回の号令をかけたが、岸田首相は80万回でいいと。感染が落ち着いていた貴重な時期を、まったく無駄に過ごしました」(閣僚経験者)
岸田首相は、オミクロン株の猛威を軽視しているのだろうか。
「もはや、いつ、どこで感染したのかわからないという状況になっている。感染者は東京で1000人に1人、濃厚接触者にいたっては100人に1人という事態になりかねない」(都議会議員)
それら全員を「隔離」「自宅待機」としたら、社会生活は回らなくなる。じっさい、営業を縮小している飲食店やシフトを減らされて収入源の人、保育園の休園で悲鳴をあげている人など、感染しなくても「被害」は日増しに増えている。感染の威力が、すでに社会を圧迫しているのだ。
しかしなぜ、政府の対策はこれほど遅れているのか。
「岸田は、3月の自民党大会と夏の参院選に向けて、失点を作りたくないんです。菅前首相の必死のコロナ対策も当時は批判を浴びた。それなら、なにもしないでじっとしているのが得策という計算でしょう」(自民党重鎮)
「学習不足」と、もうひとつの「誤算」
「空気感染かと疑うほどの蔓延になっている」(大学病院関係者)
保健所は、業務削減によって機能をなんとか維持している状態だ。感染者の急増で無料のPCR検査もできなくなった。検査キットの供給体制が間に合わず、品不足は少なくとも1ヶ月は改善できないという。
「政府が全量買い付けるとして、メーカーに検査キットの増産を要請していますが、そう簡単にはできません。政府は、工場を24時間フル稼働すれば増産できるとでも思っているのでしょうか。検査キットに使う試薬は酵素を培養しなければ作れません。時間が必要なんです」(大学研究機関医師)
このような誤算は、新型コロナが確認された2年前から問題視されていた。医療行為に必要な防護着衣、フェイスシールド、ゴム手袋、マスクそして綿棒などが足りず「いざ治療に取り組もうとしたとき何もできなかった」と、この医師は証言している。
政府は同じ過ちを繰り返したのだ。正体不明のウイルスに立ち向かった菅政権の教訓を、岸田政権はまったく学習していなかったことになる。
さらに変異した新株『BA.2』の脅威が
就任から4ヶ月。岸田政権のワクチンの手当は遅かった。経口薬の準備も怠った。検査キットの生産体制にあまりに無知であった。日本は、奇跡のような感染の「凪」期間を無為に過ごしてしまった。「この先、さらなる脅威があります」こう言うのは前出の大学研究機関医師だ。
「オミクロン株から変異した『BA.2』という新株が検出されました。すでに4回目のワクチン接種が進むイスラエルで蔓延し、デンマークでも拡大の兆しがあります。オミクロン株に感染したあとでも、この『BA.2』に再感染する可能性があります。そうなれば、オミクロン株の感染収束後、新たな変異種『BA.2』が流行するんです。パンデミックは2波続けてやってくるかもしれません」
『BA.2』株は、PCR検査で特定できないという。オミクロン株に続く新型コロナの新変異種として、まもなくWHOがウイルス名を発表する見通しだ。毒性はオミクロン並みとされているが実態はなお不明。危惧されるのは、オミクロン株よりさらに2倍近い伝播力だ。
都の病床使用率は27日時点で42.8%。これが50%に達したら、政府に宣言要請を検討するとしている。山際大志郎経済再生担当相は、感染が急拡大するなか緊急事態宣言発出を問われ、
「病床使用率が50%になった場合に、紋切り型にやるということではなく、相談しながら決めていく」
とかわした。
小池都知事の緊急事態要請検討に対し、かなり素っ気ない会見であった。事態への認識は浅く、今後の見通しについても緊張感は感じられない。
つまりこれが、参院選挙が射程に入った岸田政権の基本姿勢だ。行動制限をともなう緊急事態宣言は国民の不興を買うし、対策をすれば失敗もある。ならば、なにもしないほうがいい…と図っているのだ。
今、岸田首相の眼中には、「参院選挙」しかない。目の前の、苦境にあえぐ国民の「命」より「選挙」が優先している。そんなディストピアが、今の日本の本当の姿だとしたら…。現場の悲鳴が政権に届くことを祈るしかない。
取材・文:岩城周太郎 写真:つのだよしお/アフロ
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