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※2022年1月27日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年1月27日 日刊ゲンダイ2面
【このままでは菅前政権と同じ道】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 27, 2022
「口だけ先手」政権 ワクチンも検査キットも絶望的
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/sRxLJSkYBN
※文字起こし
「1、2回目の接種タイミングが各国と比べ遅れてしまった。間隔を空けて行わなければならないため、3回目接種がオミクロン株の感染のピークと重なってしまった」
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種率の低迷は「菅前政権のせい」と言わんばかりだ。26日の衆院予算委員会で立憲民主・江田憲司議員の質問への岸田首相の答弁である。
3回目の接種率は26日時点で、たった2.3%。OECD加盟38カ国で最下位のまま。政府は1月末までに高齢者ら約1500万人の接種を終える計画のはずが、現状は290万回弱にとどまる。遅い、遅すぎる。
予算委で江田が「もうオミクロンのピークは来週、再来週来るんですよ。シャカリキに打っても間に合わない」と迫っても、岸田は「しっかりと現実を受け止めて、ワクチン接種をしっかりと進めていかなければならない」と相変わらずノラリクラリ。
その上、ウスノロ接種の責任を菅前首相に押しつけるとは、ハッキリ言って首相失格だ。
岸田の「間隔を空けて」という言い訳も通じない。欧米各国は3回目の間隔をガンガン縮めてきたではないか。昨年11月に岸田が「原則2回目から8カ月以上」の方針を掲げた際、参考にしたという米国はとうに9月には、高リスク層を8カ月から「6カ月」に切り替え。ワクチンの感染予防効果の経時的な低下を踏まえた判断だった。
その後、11月下旬に南アフリカで従来株とは比べものにならない伝播力を持つオミクロン株が確認されると、多くの国が接種を加速させ、イギリスは2回目との間隔を6カ月以上から3カ月に、フランスも6カ月を5カ月に短縮。日本だって当然できたはずだ。
ノーガードで突き進むグズでのろまなカメ
ようやく岸田が具体的な間隔を示して「前倒し」を表明したのは、12月17日のこと。
それも「6カ月後」は医療従事者らに限定。やっと64歳以下の一般の人に対し従来の1カ月前倒しを決めたのは、年が明けた今月13日だ。この間、フランスはさらに3カ月以上に、米国も5カ月に短縮した。
26日の予算委で後藤厚労相は「当初8カ月の議論をしていたときには、オミクロン株の流行は進んでいなかった」とバカなことを言っていたが、当時から冬になれば第6波が来る可能性を多くの専門家が指摘。
オミクロン株が欧米で猛威を振るい出してから、日本を襲うまで1カ月ほどのタイムラグがあったのに、岸田政権はまったく生かそうとしなかった。
今やノーガードで国民を危険にさらし、死者数も今月中旬から、みるみる増加。25日は全国で計43人が報告され、死者40人超えは昨年10月8日以来だった。
今後も増加傾向が懸念され、重症化を抑える「武器」がないまま、「丸腰」で感染大爆発に突入すれば、オミクロン株は「軽症で済む」などと言っていられなくなるのではないか。
「いくら従来株より重症化リスクが低くとも、強烈な感染スピードで分母の感染者数が倍々ゲームで増え続ければ、死者や重症者の数が跳ね上がる。返す返すも、なぜ岸田政権は感染が落ち着いていた昨秋から全力でワクチン供給に取り組まなかったのかと悔やまれる。発足から約3カ月、何もしてこなかった政権には危機感がなかったとしか思えません」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学)
思わず岸田には「グズでのろまなカメッ!」と言いたくなる。
「後手」を批判された前政権と何も違わない |
恐らく岸田には菅政権の“トラウマ”があるに違いない。菅自ら「1日100万回接種」と自治体をせかしながら、予定量が確保できておらず、各地で大規模接種が止まる混乱を招いた。
菅政権は新型コロナの判断と対策の誤りで支持を失ったとみる岸田にすれば、二の舞いはゴメン。だから、必要量のワクチンを確保するまで、前倒しを渋ったようにも映る。それで政権延命を図っても、国民の命を救えなければ意味はない。
ワクチンが足りないなら、米ファイザー社や米モデルナ社のトップと直談判し、米国流にカネや法律を駆使して輸入前倒しを求めるべきだ。それこそ、安倍政権時代に4年8カ月も外相を務めた経験を生かすチャンスでもある。なぜ、もっと早く独自の外交パイプを使い、ワクチン企業をせっつかなかったのか。それとも、戦後歴代2位の在任期間は単なる“名ばかり外相”だったのか。
結局、岸田は感染急拡大に背中を押され、見切り発車で3回目を前倒し。ワクチンの十分な調達と供給がままならないのか、全国知事会が求める「配分計画の早期提示」に十分に応えない。
ワクチンはいつ、どれだけ届くのか。必要なタイミングで十分な量を確保できるのか。ただでさえ、各自治体とも接種券の発送や打ち手の確保などで多忙を極めるのに、主にファイザー製を使った昨年と違って、交差接種でモデルナ製も扱わなければいけない。温度の管理も違えば、1人に打つ量も異なる複雑な作業に不安の声が上がっているが、「聞く耳首相」はこうした声に応えようとしない。
こうして、また2年前からの課題だった「国と自治体との連携」「正確で的確な情報発信」が、崩壊してしまった。おかげで国民の多くは接種券の発送時期や接種の段取り、副反応の広報など何も知らされていないのだ。
失策続きの官僚と学者の言いなり
検査キットの品薄も深刻で、無料PCR検査の予約はビッチリ。先着順の会場は寒空の中、どこもかしこも朝から長蛇の列だ。
1〜2日で出ていた結果判明が数日かかり始め、一部の医療機関ではPCR検査に使う試薬も底をつきかけ、近隣の医療機関同士で融通し合うケースも出ている。
この首相は昨年から一体、何を備えてきたのか。第6波到来時に“検査難民”を想定して対策を練らなかったのは間違いない。やたら「先手」や「メリハリ」を多用するクセに、準備不足は明らかで「メリ」も「ハリ」もありゃしない。前出の中原英臣氏が言う。
「最悪なのは、感染者の同居家族などの濃厚接触者が発熱した際、医師の判断で検査せずに感染を診断するようにしたこと。検査で感染が判明してこそ初めて適切な診断や治療が施せるのに、医師にどうしろというのか。政府分科会の提言を踏まえた措置ですが、これまで彼らが効果ある対策を一つでも打ち出しましたか? 尾身会長も『人流抑制でなく、人数制限がキーワード』と言って混乱を招くなど失策続き。揚げ句に『不織布マスクを鼻まで着けて』と誰もが知っている“対策”を打ち出すだけですから、お話になりません」
国際便の停止や濃厚接触者の大学受験不可などの方針転換も、拙速な決定を覆しただけの朝令暮改。岸田は施政方針演説で「躊躇なく改め、柔軟に対応を進化させる」と誇ったが、官僚の慎重さに欠ける政策に一度はうなずく方が問題だろう。「国民の不安はパッと消える」というアベノマスクの提言以来、ロクなことのない官僚の具申を丸のみするだけで、リーダーシップはゼロだ。
「後手を批判された菅前政権と同じ轍は踏むまいと、『常に最悪の事態を想定した危機管理』を常套句にしながら、ワクチンも検査キットも絶望的惨状です。感染が穏やかだった昨秋から派閥闘争にかまけたツケで、前政権と同じ道を歩み出すとは皮肉な話です」(政治評論家・本澤二郎氏)
26日時点で東京都の病床使用率は42.8%。国への緊急事態宣言を要請する目安の50%到達は、時間の問題だ。
備えを怠り、もう一度、緊急事態なら内閣総辞職モノ。いっそ岸田は発令と同時に潔く辞任して、菅との違いを示せばいい。
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