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※2022年1月25日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年1月25日 日刊ゲンダイ2面
【庶民生活はズタズタだ】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 25, 2022
岸田政権を襲う 前門のオミクロン 後門のスタグフレーション
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/CHdEXFpouE
※文字起こし
通常国会は24日、衆院予算委員会で来年度予算案の実質審議がスタート。「聞く力」首相は初っぱなから“臨機応変な対応”をアピールした。
目玉政策の「18歳以下の子どもへの10万円給付」について、離婚したひとり親が受け取れないケースが出ている問題で、岸田首相は「児童手当の仕組みを用いたことに伴う不公平を是正し、給付金が届くよう見直しを検討したい」と表明したのだ。政府はこれまで「制度上の対応は難しい」との立場だったが、トップ判断で見直しを指示した形だ。
もっとも、質問したのは自民党の上川陽子幹事長代理。“身内”が首相に花を持たせた“ヤラセ質問”みたいなもんだった。
昨年12月に成立した過去最大の35.9兆円補正予算。だが、その中身はといえば安倍・菅政権の踏襲に過ぎなかった。新型コロナ生活困窮者自立支援金や学生支援緊急給付金など、期間を延長しただけの制度が目立った。
もちろん、コロナ禍で苦しむ人たちを助ける制度だから継続は当然。だが、新たな政策となると、「10万円給付」が公明党の「子育て支援策」と自民党の「コロナ困窮対策」という目的の異なる政策の合作だったように、岸田に筋の通った思想がないから“柔軟”に修正すれど、どれも中途半端。経済の宏池会などと言われてきたが、その領袖がこの程度なのか。
「宏池会の創設者である池田勇人の代名詞が『所得倍増計画』です。総裁選時の演説では岸田さんの目指す方向も、国民の所得を増やすことなのだと思いましたが、どうも政策は焼き直しばかり。今まで通りではうまくいかないから賃金は上がらないのですよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
オミクロン禍はサービスや供給力に制約
「成長も分配も」と岸田は二兎を追うが、それを実現する「経済の好循環」には賃上げが必須だ。しかし、岸田が来年度予算案で拡充した「賃上げしたら減税」の“ご褒美”税制は、2013年度から安倍政権が続けてきた古びた政策。全体の7割近い赤字の中小企業には何の恩恵もなく、そもそも8年経っても賃金は上がっていない。こんな失敗税制で「3%の賃上げ」なんて実現できるのだろうか。
そうやってモタモタしているうちに、新型コロナのオミクロン株が日本列島を覆い尽くし、24日は新規感染者が3日ぶりに5万人を下回ったものの、月曜日としては過去最多。感染爆発がまだまだ続いている。
政府は25日、「まん延防止等重点措置」について18道府県の追加適用を正式に決める。既に実施中の16都県と合わせ、34都道府県に拡大。来月20日までの適用となる。
家族や友人、職場など、身近で次々と陽性の連絡が入り、誰もが警戒感を強める。東京・築地の寿司屋の店長は「昨年までとは違う。先週ぐらいから一気に人通りが引きました」と諦め顔だった。
「悪いインフレ」を放置すれば政権運営に赤信号 |
「まん延防止措置」に伴う時短営業の協力金はあるものの、「もらっても赤字」と休業を選ぶ飲食店も少なくない。「まん延防止措置」の拡大(32都道府県を想定)で経済損失は1.7兆円規模との試算もある。
24日内閣府が発表した国民経済計算によれば、家計の資産残高は2020年末時点で前年末比1.2%増だった。コロナ禍の影響で消費控えとなったうえ、国民全員に一律10万円が配られた「特別定額給付金」が金額を押し上げたのだという。
自宅にこもって消費が冷え込み、先行き不安で貯蓄が増える。これでは日本経済は縮小の一途である。
経済評論家の斎藤満氏が言う。
「オミクロン株の感染拡大は、これまでとは違う形で経済に打撃を与えつつあります。重症化しにくいながらも、介護現場や病院、保育園などで感染者や濃厚接触者が大勢出ることで、欠勤が増え、施設が機能不全に陥る。公共交通機関なども運行に支障が出ないよう代替要員確保に必死です。つまり、労働力が経済の現場に出ていけないことで、サービスや供給力に制約がかかる。第5波までの医療逼迫とは異なり、経済活動への影響が大きいのです」
オミクロン株特有とも言える経済打撃に加え、ここへきて急激に日本経済を冷え込ませるダブルパンチが、賃金が上がらないのに物価が上がる「悪いインフレ」である。
総務省が21日に発表した昨年12月の全国消費者物価指数は前年同月比0.5%の上昇ながら、品目別ではガソリン22.4%、灯油36.0%、電気代13.4%、都市ガス代13.7%とエネルギー関係が軒並み大幅な上昇率。食料品の値上がりも目立ち、輸入牛肉が11.1%、マヨネーズは13.4%、まんじゅうも7.9%上がった。生鮮食品を除く522の対象品目のうち、6割近い298品目が上昇。いずれも生活に不可欠なものばかりである。
こうした統計数字以上に生活実感はより深刻で、日銀の「生活意識に関するアンケート調査」(昨年12月時点)では、実に77%が1年前と比べ物価が上がったと答えている。
これだけ物価高が進めば、賃上げがなければ庶民の生活は立ち行かないが、岸田政権に「3%賃上げ」を迫られている経団連ですら、今春闘の経営側指針に「新しい資本主義の起動にふさわしい賃金引き上げが望まれる」と明記しながらも、一律の数値目標を掲げた呼び掛けは見送った。
中小企業はさらに厳しく、日本商工会議所の三村会頭は20日の定例会見で、本来は製品の競争力向上や価格転嫁で収益を上げた中小企業が賃上げするべきだが、「残念ながら、そういう状況ではない」と答えていた。
欧米は近く利上げを予定しているので、円安がますます進行し、輸入価格がさらに上昇してインフレが加速しかねない。消費が冷え込み、企業業績は低迷。賃金は上がらず、企業努力だけではコスト高を吸収できず、さらに値上げという悪循環。不況下の物価上昇であるスタグフレーションがひたひたと迫る。
参院選向けのバラマキ政策では無理
コロナ禍による賃金下落で、来年度(22年度)の公的年金額が0.4%引き下げられることも決まった。6月に受け取る4月分から反映される。賃金下落の影響は24年度の改定まで残るというから、悪いインフレが続く中で年金生活者の暮らしは一体、どうなるのか。コロナと物価高と年金カットの三重苦で庶民生活はズタズタである。
「スタグフレーションが国民生活に与える負担は計り知れません。まずは出血、つまり円安を止めて物価高を抑える必要がある。物価高を放置すれば、農業にしろ漁業にしろコスト高となるので、価格に転嫁しなければならなくなる。庶民生活はますます圧迫される。岸田政権はもっと機動的にやらないと。成長戦略など後回しにしても、物価高だけはすぐにでも手を打たないと取り返しがつかなくなります。米国のバイデン政権の支持率が下落しているのはインフレ急進が原因ですよ。物価を放置すれば、岸田首相も参院選に向け、自らの首を絞めることになる」(斎藤満氏=前出)
7月の参院選まで「波風を立たせない」戦略の岸田は、「やってるふり」で動くつもりがない。看板の「新しい資本主義」も、今春までにグランドデザインを描き、夏までに実行計画を策定すると悠長なもの。感染症法の改正についても、「今の法律で行ったことが十分機能するかしっかり確認した上で、考えていく」と24日の予算委で答弁していた。
夏までノラリクラリを続ける気なのだろう。オミクロンでさらなる疲弊の庶民は、夏までもつのか? へたってしまう。
「古い経済政策をどう変えていくのかが問われているのに、岸田政権は参院選を意識したバラマキ主体になってしまっている。もっと再分配の知恵を絞るべきです」(五十嵐仁氏=前出)
年初からジリジリ下がる日経平均株価も不気味。欧米各国の金融引き締め観測の影響とされるが、オミクロン対策失敗の岸田政権にマーケットが早くも愛想を尽かしたのではあるまいか。
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