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※2022年1月24日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年1月24日 日刊ゲンダイ2面
【こんなデタラメを許したら野党はオシマイ】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 24, 2022
国交省統計不正 黒幕は誰なのか
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/F5xmuRk2Dc
※文字起こし
これで幕引きは許されない。国交省の統計不正で事務方トップの山田邦博次官と当時の担当幹部ら10人の処分が決まった。斉藤鉄夫・国交相も「国の統計の信頼性を損なった責任を痛感している」と語り、自身や副大臣、政務官計6人の就任時から4カ月分の給与などを自主返納した。
しかし、役人のうち最も重くても「減給3カ月」の大甘処分だ。対象は省内の統計データの全体的な責任者である局長級の幹部と担当室長の2人。不正を認識しながら、改ざんデータを公表し続けたのを重くみたというが、あくどい隠蔽工作を働いても、この程度で済まされるとは驚きだ。
処分は14日に公表された第三者検証委員会(委員長=寺脇一峰・元大阪高検検事長)による報告書を受けた措置だが、この内容がフザけている。調査期間は年末年始を挟み、たった3週間。そんなスピード調査で十分な背景が解明されるはずがない。
だから、不正のあった「建設工事受注動態統計調査」が2000年に導入された当初から、建設業者が提出する調査票を無断で改ざんし、数カ月分を最新1カ月分に合算していたのに、〈真実を歪める何らかの意図が働いたとはいえない〉と指摘。13年4月からは未提出の業者分について推計値を計上し始め、合算も続け、二重計上により数字が過大になっても、最初の担当職員が二重計上が生じることを認識していなかったとし、〈作為的に生じさせたことは確認できない〉とする。
まるで、これらの不正に関わった職員に「罪を犯す認識はなかった」と言わんばかり。おかげで作業にあたった職員たちの処分はチャラだ。
組織ぐるみの不正・隠蔽は統計法違反
断っておくが、統計法第60条には次のように書かれてある。
〈次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する〉
〈二 基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者〉
統計不正は立派な犯罪だ。しかも、国交省の職員たちは都道府県の担当者に調査票のデータを消しゴムで消すように指示。厚労省の統計不正が発覚し、19年に政府が一斉点検に乗り出してもダンマリ。会計検査院に不正を指摘された直後の20年1月には都道府県に指示を取りやめこそすれ、場所を本省に移し、改ざん作業を継続。昨年12月に朝日新聞が報じるまで不正を一切公表せず、知らぬ存ぜぬを決め込んでいたのだ。
これだけ組織ぐるみの隠蔽工作を図った連中に「罪を犯す意思はなかった」とは言わせない。刑事告発を視野に入れるべき違法行為だ。
それでも検証委はトップに元検事を担ぎながら、報告書は統計法違反に当たるかどうかに言及しない。トップである寺脇委員長は「統計法に違反するかは所管する総務省の解釈」と逃げ腰である。
報告書は国交省の対応について、「問題の矮小化を図り、明確でない説明を繰り返した」「事なかれ主義の表れ」と結論づけたが、そっくり、その言葉を検証委にお返ししたくなる。
明白なのは官僚に改ざんの必要性がないこと |
「法の専門家が何人も委員に名を連ねながら、なぜ、検証委は違法性の認識について踏み込まないのか。理解に苦しみます」と語るのは、立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)だ。こう続ける。
「不正の動機や誰かの指示があったのかについても報告書は触れずじまい。事実の羅列にとどまって問題の背景に切り込まず、形だけの調査で早期の幕引きを図る岸田政権に協力している印象です。そもそも国家の側に立ってきた“ヤメ検”が検証にあたるのも疑問ですし、職員の処分も何らかのケジメをつけるためのアリバイづくりでしょう。国民が疑念を抱く“ウミ”を出し切らなければ、統計への信頼を取り戻せるわけがありません」
建設工事受注動態統計は53ある基幹統計のひとつ。GDP算出にも活用される重要な統計だ。不況業種指定の判定時にも使われ、不正による数字の上振れで、本来なら不況業種として受けられた国の助成が受けられない被害も想定される。しかし、元データを消しゴムで消しているため、検証も訂正もできずに業者は泣き寝入り。つまり、統計不正の被害は国民がかぶるのだ。
検証委の報告書はGDPに与えた影響についてもノータッチ。岸田首相は「GDPに直接の影響はない」と言い切るが、元データがない以上、影響がないかどうかは判断しようがないはずだ。
なぜ、これだけ大それたことを国交省の役人はしでかしたのか。ハッキリしているのは官僚たちにデータを改ざんする必要性が見当たらないことだ。なぜなら、建設業の受注実績が良かろうと悪かろうと、彼らに直接の影響はないからだ。
基幹統計の改ざんによって実態よりも良く見せたかった「黒幕」は誰か。それまで以上に統計の数字が過大となる二重計上の開始は、第2次安倍政権の発足直後。安倍元首相は何かにつけて「民主党政権時代は約495兆円だった名目GDPが、安倍政権になって500兆円を超えるようになった」と自慢してきた。そう考えれば、統計不正は当時の官邸の意向が働いていたり、官僚たちの「忖度」の可能性だって十分に考えられる。
飼い犬にかまれたのに叱らない不自然
何しろ、安倍政権は16年にGDPの算出方法にまで手をつけ、大幅にカサ上げ。前年度の名目GDPは、ピークだった97年度と20.7兆円もの開きがあったのに、改定後はその差を0.9兆円まで縮めたほどだ。
具体的には、それまで算出時に加算されなかった研究開発費や特許使用料などを次々と加えるなどして下駄を履かせ、水増ししたのである。
このころ安倍は2020年をメドに「名目GDP600兆円を達成する」と豪語していた。そのためなら、何でもアリの姿勢に現場がプレッシャーを感じていたのは想像に難くない。会計検査院が不正を指摘した当時の首相も安倍だ。指摘後も改ざんを続けたのだって、やめればGDPがガタ落ちする恐れがあったからではないのか。
これだけの疑念を拭ったまま、検証委に「時の政権のために二重計上を生じさせたことは確認できなかった」と報告されても、鼻白むだけだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「『政治主導』を掲げる政権にとって、国交省の不正・隠蔽は飼い犬にかまれたのと同じ。政策立案の基となる基幹統計の改ざんは、政権与党の自民党も被害者です。それこそ野党と協力して国政調査権を振りかざし、真相を徹底究明すべきなのに、怒りの声は上がらない。むしろ、隠蔽を否定する岸田首相以下、問題を矮小化し、早期決着を望んでいるように見えます。その態度が『黒幕は安倍官邸』との疑念をますます深めることに気づかないのでしょうか」
統計(statistics)の語源は(state)。統計が国家の命運を左右するのは語源からも分かる。先の大戦で軍部が統計を都合よくいじった結果、国は滅びた。77年前の教訓を忘れていはいけないのに、幕引きを急ぐ岸田政権には法への峻厳さも国民への誠実さも、みじんも感じない。安倍・菅両政権と同じだ。
「19世紀のディズレーリ英首相は『嘘には3種類ある。嘘、真っ赤な嘘、そして統計』と言ったそうですが、それが21世紀の日本で起きるとは異常です。24日から衆院予算委員会で本格論戦が始まりますが、野党はこの問題で政権を追い詰められるのか。四分五裂している場合ではありません」(五野井郁夫氏=前出)
こんなデタラメを許したら、野党はいよいよ、オシマイである。
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