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やってる感アピールに辟易。岸田首相「指針演説」にチラつく安倍氏の影
https://www.mag2.com/p/news/525287
2022.01.20 『きっこのメルマガ』 まぐまぐニュース
17日に招集された通常国会で施政方針演説に臨んだ岸田首相ですが、その語り口を含むすべてが一国を任せるに足るものではなかったようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、首相の演説内容を紹介しつつ「無神経で無責任かつ消極的にすぎる」と酷評。さらに演説の中に勝海舟の言葉を引いた首相に対して、厳しい注文をつけています。
新しい資本主義という幻
1月17日、第208通常国会が召集され、岸田文雄首相は衆参両院本会議で、就任後初の施政方針演説を行ないました。あたしはインターネットの中継で初めから観ていましたが、舌足らずの幼稚園児のようなしゃべり方の安倍晋三元首相、ロレツの回らない酔っ払いのようなしゃべり方の菅義偉前首相と比べると、滑舌良くハッキリ分かる日本語がしゃべれるだけでも「いくらかマシか」という印象でスタートしました。
しかし、あたしの予想は冒頭からハズレてしまいました。この日は阪神淡路大震災から27年目の日であり、当時の被災地では各所で追悼の集まりが行なわれました。あたしも発生時刻の午前5時56分、黙祷を捧げました。このような特別の日なので、岸田首相の施政方針演説は、阪神淡路大震災の犠牲者への追悼の言葉から始まるとあたしは予想していました。
しかし、残念ながら、岸田首相の口からは、犠牲者への追悼の言葉はひと言もありませんでした。また、前日のトンガの海底火山の噴火に対するお見舞いの言葉も、噴火にともなう津波(海面上昇)によって漁船が転覆するなどの被害を受けた日本人への言葉も、いっさいありませんでした。
その代わりに岸田首相の口から出たのは、新型コロナに感染して苦しんでいる人たちへのお見舞いの言葉と、新型コロナ対応の最前線で働いている医療機関や介護施設の人たちへの感謝の言葉でした。そして「岸田政権の最優先課題は新型コロナ対応です」と断言したのです。
あたしは思わず「はぁ?」と言ってしまいました。確かに、感染して苦しんでいる人たちは大変だと思います。しかし、新型コロナで苦しんでいるのは、感染者だけではありません。外食産業を筆頭に様々な業種が大打撃を受けており、新型コロナを理由に職を失った人も数えきれないほどいます。
2021年11月10日配信の第142号のこのコーナーで取り上げましたが、若い女性の自殺者は前年同月比で80%超も増加し、その大半が「新型コロナにより職を失い生活に困窮したことが原因」なのです。あたしも、この2年間、本職であるブライダルのヘアメイクの仕事がほぼゼロになり、収入は激減しました。しかし、あたしはミュージシャンや役者などと同じくフリーランスなので、何の公助も受けられません。
【関連】女性自殺者の急増を隠蔽する自公政権の姑息。80%超「増加」の真相
これほど多くの国民が新型コロナで苦しんでいるのに、感染者以外にはひと言もなし。新型コロナによる生活困窮者に触れてしまうと、野党から岸田政権の失策を指摘されるので意図的に避けたのでしょうが、一国の首相としては、あまりにも無神経で無責任だと思います。
さらには、二転三転しながら直前まで何も決められない優柔不断な対応を「一度決めた方針でも躊躇(ちゅうちょ)なく改める柔軟な対応」などと言葉の言い替えで自画自賛する始末。その上、具体策として「医療関係者と高齢者への3回目のワクチン接種の前倒し」を挙げるとともに「5,500万人の一般向け接種も、少なくとも7カ月、余力のある自治体では6カ月で接種を行います」と明言したのです。
肝心のワクチンがいつまでにどれくらい用意できるのか白紙状態なのに、どうしてこれほど無責任なことが言えるのでしょうか?これはどう見ても「やってる感」をアピールしただけの「絵に描いた餅」です。全国の自治体からも「いつまでにどれくらいのワクチンが届くのか、未だに一度も連絡がないので困惑している」との声が相次いでいます。何もやっていないのに「やってる感」のアピールだけは忘れない。安倍政権からの伝統芸ですね。
それでも、9項目のうちの1項目である新型コロナ対策に、施政方針演説の約4分の1の時間を割いたのですから、岸田首相が新型コロナ対策に重心を置いていることだけは伝わりました。しかし、その内容はと言えば、ワクチン推進に検査拡充、仕事はテレワークで学校はオンライン授業と、これまでと何ひとつ変わらない小手先の対策を羅列するだけで、抜本的な対策は皆無でした。
在日米軍による感染拡大の問題についても、国民の7割以上が求めている「日米地位協定の見直し」にはいっさい触れず、それどころか逆に「地位協定に基づく日米合同委員会においてしっかり議論していきます」などと、現在の不平等な地位協定を追認したのです。そもそも、不平等な地位協定に基づいた場での議論など意味がありません。この人、もしかしてバカですか?
その一方で、昨年12月の所信表明演説であれほど意欲を見せていた「GoToトラベルの早期再開」には、いっさい触れませんでした。これは、今後のオミクロン株の感染爆発を見越してのことで、野党からの批判を避けるために削除したのです。冒頭での「新型コロナによる生活困窮者スルー」と言い、この「GoToトラベルの削除」と言い、米軍には何も言えない腰抜けのくせに、野党対策だけは抜け目のない岸田首相です。
お次は岸田首相の看板政策「新しい資本主義」ですが、ここでは毎度お馴染みの「立て板に水」の名調子が炸裂しました。新自由主義的な考え方によって生じた格差や貧困の拡大など様々な弊害を「新しい資本主義」による成長と分配の好循環で是正していく、という耳タコのあれです。これを言ったら身も蓋もありませんが、そもそも「成長と分配の好循環」というのは資本主義の基本中の基本であって、ぜんぜん新しくありませんけど。
その上、国民が知りたいのは「どのような政策で成長と分配の好循環を作り出すのか」という点なのに、今回も実現可能な具体策にはまったく踏み込みませんでした。「デジタル田園都市国家構想」だ何だとイメージ優先の理想論的な看板を乱立させることで、実体のない「新しい資本主義」に肉付けをして、あたかも幻が現実であるかのように錯覚させるという、いつもの姑息な手口でした。
ちなみに、この前日16日のNHK『日曜討論』をラジコで聴いていたら、自民党の茂木敏充幹事長は「新しい資本主義」について、岸田首相とはまったく違う説明をしていました。ようするに、自民党の幹事長でさえも「新しい資本主義」がどのようなものなのか分かっていないのです。しかし、それは当然です。何しろ言い出しっぺの岸田首相自身も説明できないのですから。
岸田首相は、光ファイバーだドローンだサテライトオフィスだと、それらしい単語を並べて必死に「新しい資本主義」のイメージ作りをしていましたが、すべての内容を噛み砕けば、結局はデジタル利権とマイナンバー利権に終始した、これまで通りのアベスガ政治の延長ということなのです。
キャパの都合で、今回はここまでしか取り上げられませんが、他の項目も含めて、あたしが何よりも脱力してしまったのが「いつまでに何々を達成します」という明言が全くなかったことです。それどころか「賃上げが実現することを期待します」って、何ですか?この他人事ぶりは?
他にも「目指します」とか「取り組みを進めます」とか「働きかけていきます」とか「正面から向き合います」とかばかり。目指すだけ、取り組むだけなら、誰でもできます。安倍元首相のように、できもしない大風呂敷を次々と広げ、先送りを繰り返した挙句に丸投げ、というのも困りますが、一国の首相がここまで消極的というのも、リーダーシップという観点からはどうなのでしょうか?
岸田首相は、今回の施政方針演説の冒頭に「行蔵(こうぞう)は我に存す」、締めくくりに「己を改革する」という勝海舟の言葉を引きました。前者は「自分の出処進退は自分で決める」、後者は「改革を目指す者はまず自分を改革する」という意味です。そして岸田首相は、次のように述べました。
「今、新たな時代を切り拓くに当たり、統計の不適切処理はもとより、われわれ政治行政が、自らを改革し、律していくことが求められています」
この言葉が嘘でないと言うのなら、まずは人の命まで奪われた森友学園問題、そして巨額の税金が時の首相の友人のために使われた加計学園問題、これまた税金が首相のために使われた「桜を見る会」の問題など、国民の大多数が未だに1ミリも納得していない数々の政治私物化疑惑を徹底解明し、安倍元首相に支配された自民党を無血開城して見せてください。それが新たなリーダーの最初の仕事です。
(『きっこのメルマガ』2022年1月19日号より一部抜粋・文中敬称略)
image by: 首相官邸
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