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※2022年1月21日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年1月21日 日刊ゲンダイ2面
【責任回避しか頭にない岸田政権】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 21, 2022
おそらく2月は収束どころか阿鼻叫喚
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/d3RPVE7rRA
※文字起こし
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染者急増を受け、政府が「まん延防止等重点措置」の対象拡大を決定した。
すでに適用中の沖縄など3県を含め、重点措置の対象地域は、東京や群馬、埼玉、千葉、神奈川など計16都県。さらに大阪、京都、兵庫の関西3府県から要請があれば、週明けにも適用する方向で検討している。
期間は21日から2月13日までの24日間。各都県は飲食店への営業時間短縮や酒類提供停止の要請などを通じて感染の抑制を図る方針。飲食店への時短要請は、各都県が認証した店で午後9時、非認証店で同8時まで。
酒類提供をめぐっては、岐阜、長崎、宮崎3県が一律停止を決めた一方、東京などは認証店で認める方針だ。
適用期間が3週間余りとなったのは、2週間で対策を徹底し、残りの1週間でその効果を見極めるため──という。だが、この2年を振り返ると、政府が国民にコロナ対策の徹底を呼び掛けて始まった「勝負の2週間」はその後、「ヤマ場の2週間」「瀬戸際の2週間」「正念場の2週間」「運命の2週間」……とズルズルと続いただけに、今回もどうなるか分からない。いずれにしても、再び年初から不自由な国民生活を余儀なくされるワケだ。
腰の定まらない岸田の姿勢
「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」「依然として世界の人々の健康に悪影響を与える特殊な事態」
WHO(世界保健機関)が強い懸念を示す「オミクロン株」。日本国内でも、12日に1日当たり1万人を超えた全国の新規感染者数は、1週間後の19日には4万人超となり過去最多を更新した。
今のところ重症者の割合は比較的低いとはいえ、高齢者の感染者が増えれば医療体制の逼迫は避けられない。国民一人一人の感染対策の徹底はもちろんだが、一刻も早い収束に向け、何よりも強く求められているのは、迅速かつ実効性のある政府方針、対応だろう。
ところが猛威を振るう「オミクロン株」と対峙する岸田首相の腰の定まらない姿勢を見ていると、果たして、この国のリーダーとして新型コロナと本気で戦う自覚があるのかと首をかしげざるを得ない。どこか他人事のような言動が目立つからだ。
例えば、政府は当初、「オミクロン株」による「ブレークスルー感染」を避けるため、ワクチン接種証明書か陰性証明を条件に行動制限を緩める「ワクチン・検査パッケージ」の全面停止を検討していたはず。しかし、見直しを求める声を受けた岸田は「一時停止を原則としつつ、知事の判断で適用も可能」などと曖昧な方針を打ち出し、判断を知事に丸投げ。結果、自治体の判断によっては、対象者全員に検査を実施した場合、5人以上の会食や収容率100%でのイベント開催も可能になったからワケが分からない。
自治体ごとに対策、対応が異なるのであれば重点措置の効果について「効果は大変薄い」(中村時広愛媛県知事)と疑問の声が出るのも当然ではないか。福田赳夫元首相の秘書を務めた中原義正氏がこう言う。
「新型コロナ対策は誰が首相であっても対応は難しいかもしれない。しかし、だからこそ、トップとして国民にきちんとした方向性を示すべきなのに、連日、高級料亭で会食する緊張感のなさ。これでは国民が政府対応を信じるはずがない。岸田首相はすべてが中途半端で、コロナ対応など期待できるはずがない」
先手のイメージ重視でビジョンや方向性は何もない |
「確保した医療体制がしっかりと稼働するよう各自治体にさらに準備を進めてもらい、メリハリの利いた対策で感染者数の増加を抑制することが必要だ」
岸田が「都道府県との密接な連携」を訴えるのは、菅前政権が自治体の意向や意見を無視する形でコロナ対策を推し進めて「瓦解」したからだ。岸田政権としては菅前政権と同じ轍を踏まぬよう自治体の要望を聞くフリをせざるを得ないのだろう。20日の参院本会議でも、岸田は「一度決めた方針でも、より良い方法があるならば躊躇なく改め、柔軟に対応を進化させる」などと答弁していたが、為政者が国民の声に耳を傾ける姿勢は必要とはいえ、意見が出るたびに政府方針がクルクル変わってしまえば、振り回されて迷惑をこうむるのは国民なのだ。
「オミクロン株」についても「メリハリの利いた対策」とか力説していたが、はたから見れば、岸田政権が掲げる対策の一体どこが「メリハリ」が利いた対策なのか。政府コロナ対策分科会の尾身会長は「メリハリのついた対策とは一言で言えば人数制限」と言い、「ステイホームなんて必要ないと思う」と政府対応と矛盾する発言をしていたのも無理はないだろう。
国民はまん防措置に従って外出を控えるべきなのか、それともステイホームの必要はないのか。司令塔の姿勢が「その場しのぎ」「場当たり的」「丸投げ」としか見えないから、国民は右往左往してしまうのだ。
「検討」多用はヤル気のなさの表れ
17日付の朝日新聞は、<昨年12月の臨時国会の予算委員会で、首相は「検討」という言葉を少なくとも68回使い、与野党との論戦を乗り切った><首相は「検討する」といったん引き取ることで、自身の強みと自負する「聞く力」と「丁寧さ」をアピールする狙いがありそうだ>などと報じていたが、これは岸田のヤル気のなさを表していると言っていい。なぜなら、官僚用語で「検討する」は「先送りして何もしない」という意味で用いられているからだ。
<私は、岸田氏の会見を見るたびに、違和感を抱く。なぜなら、岸田氏が非常に困難な課題について語るとき、「涼しい顔」で用意した紙を読むだけで全く危機感が伝わってこないからだ>
<官僚が用意した従来の政策の延長策を語るのみ。それでも、「涼しい顔」をしていられるのは、それで問題ないと思っているからだ。だとすれば、それこそ本当に日本の危機ではないのか>
元経産官僚の古賀茂明氏も「週刊朝日」(1月28日号)のコラムで、<「涼しい顔」に騙されてはいけない>と題し、こう書いていたが、要するに岸田の頭にあるのは「政権維持」だけで、先頭に立って批判されるより無難路線ということではないのか。だから、何がなんでもコロナを押さえてやるという気迫が伝わってこないのである。
その証拠に「オミクロン株」について聞かれても、官僚答弁のようか台詞でノラリクラリはぐらかし、対策は丸投げなのだ。これでは、運任せ、天任せと言われても仕方がない。どうりで頼みの
政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「岸田首相は方針を変える際に『柔軟に対応』と言っていますが、よくよく考えれば、本来は方針を決める時にベストな対応をするべきだったわけで、それが度々変わるのは最初の対応に問題があったということ。どうして、それが繰り返されるのかといえば、まずは『先手』というイメージ重視で、政権としてのビジョンや方向性がきちんと定まっていないからです。菅前首相が『覚悟』を多用していましたが、岸田首相は『覚悟』がなさ過ぎるでしょう。朝令暮改といっていい対応が果たしていつまで続くのかは疑問です」
「オミクロン株」はその急激な感染者増から「2月収束説」も流れているが、やってるふりみたいで丸投げの岸田首相が司令塔では心配だ。阿鼻叫喚の最悪事態に備えた覚悟が国民には必要になるだろう。
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