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公明党 遠山元財務副大臣ら4人を在宅起訴 貸金業法違反の罪 東京地検
公明党の衆議院議員だった遠山清彦元財務副大臣や、別の公明党の元議員の元政策秘書ら合わせて4人が、日本政策金融公庫の新型コロナ対策の特別融資を、貸金業の登録を受けずに複数の企業に違法に仲介したなどとして、貸金業法違反の罪で東京地検特捜部に在宅起訴されました。関係者によりますと、遠山元議員は謝礼などとして合わせておよそ1000万円を受け取っていたということで、調べに対し、起訴された内容を認めているということです。
在宅起訴されたのは、
▽公明党の元衆議院議員で、財務副大臣を務めていた遠山清彦被告(52)と、
▽公明党の太田昌孝元衆議院議員の政策秘書だった澁谷朗被告(61)
それに、
▽東京 港区の会社役員牧厚被告(74)と、
▽東京 大田区の元会社役員川島裕被告(78)の、
合わせて4人です。
東京地検特捜部などによりますと、遠山元議員ら4人は、新型コロナで業績が悪化した企業を支援する日本政策金融公庫の特別融資を、貸金業の登録を受けずに複数の企業に仲介したなどとして、貸金業法違反の罪に問われています。
関係者によりますと、牧役員と川島元役員は、融資を希望する企業などを公庫に取り次ぐよう遠山元議員と澁谷元秘書にそれぞれ依頼し、企業側から手数料を受け取っていたということです。
遠山元議員は、みずからの当時の公設秘書2人に指示し、去年3月ごろから、ことし6月ごろまでの間に100回以上にわたって、企業などに公庫の担当者を紹介するなどして融資を仲介し、謝礼などとして合わせておよそ1000万円を受け取っていたということです。
遠山元議員は調べに対し、起訴された内容を認めているということで、特捜部は逃亡などのおそれは低いとみて、逮捕を見送ったものとみられます。
また、澁谷元秘書も調べに対し、無登録で80回以上融資を仲介し、合わせておよそ1000万円を受け取ったことを認めているということです。
遠山元議員の当時の秘書2人については、関与は従属的だとして起訴を見送ったとみられます。
遠山元議員「猛省するとともに心よりおわび」
在宅起訴された遠山清彦元衆議院議員は「このような事態にいたりましたことを厳粛に受け止め、猛省するとともに公職の身にあった者として国民の皆様には心よりお詫び申し上げます。今後、行われる公判につきましても誠実に対応してまいります」とコメントしています。
澁谷元政策秘書「大きく裏切る結果 伏しておわび」
在宅起訴された公明党の太田昌孝元衆議院議員の澁谷朗元政策秘書は「政治への信頼を崩しかねないこととなり、国民のみなさまや国民のために懸命に働いている議員、秘書のみなさまを大きく裏切る結果となり、伏してお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」とコメントしています。
公明 石井幹事長「到底許されず深くおわび」
公明党の石井幹事長はコメントを発表し「遠山氏はすでに議員辞職しているが、公明党の議員、秘書として決してあってはならないことであり、誠に遺憾で、到底許されることではない。政治の信頼を揺るがしかねない問題を招いてしまった責任を深刻に受け止めており、国民、党員、支持者に心から深くおわびを申し上げる」としています。
そして「二度とこうしたことが起こらないよう、徹底した再発防止策を講じ、信頼回復に向けて取り組んでいく」としています。
「国会議員の紹介でほぼ確実に融資を受けられる」証言も
新型コロナウイルスに関連した日本政策金融公庫の特別融資をめぐっては、起訴された会社役員らとは別の人物から「国会議員の紹介でほぼ確実に融資を受けられる」と持ちかけられたという証言もあります。
NHKの取材に対し、都内の不動産会社の幹部は「去年の12月ごろ上司の知人から『有力な国会議員の紹介で、日本政策金融公庫の特別融資8000万円を無担保、無保証でほぼ確実に受けられる』と持ちかけられた」と証言しました。
この会社は、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化していたため、すぐにおよそ4000万円の融資を申し込み、この人物を通じて必要書類を提出したということです。
その1、2週間後に、公庫の支店の課長から連絡があり、「先生からお話は伺っております。すぐに正式な書類を持ってきてください」と伝えられたということです。
この会社は過去に公庫の融資の返済が遅れたことがあったため最終的に融資は受けられなかったということですが、融資が下りれば、この人物に高額の手数料を支払う予定だったということです。
この幹部は「申し込みから1、2週間で本当に公庫から連絡が来たので、すごいと思いました。国会議員の事務所の名前を使って、融資を仲介するのはよくないことだと思いますが、背に腹はかえられず、勧誘に応じた会社は多いのではないかと思います」と話していました。
日本政策金融公庫 元職員「口利き」経験を証言
日本政策金融公庫の複数の元職員は、NHKの取材に対し、現職当時、国会議員や秘書からの融資の「口利き」を経験したことがあると証言しています。
このうち、9年前に定年退職するまで支店長などを務めた庄司進さんによりますと国会議員からの「口利き」案件は融資の現場では「紹介口」と呼ばれていたということです。
一方、公庫全体の大方針として、「紹介口」に対しても、是々非々で臨むよう指示されていたため、融資を行うかどうかの判断が変わることはなかったとしています。
ただ、中には政治家から強引に融資を進めるよう迫られるケースもあったといいます。
庄司さんは支店の融資課長を務めていた当時、国会議員の事務所から、「後援会の有力なメンバーで機嫌を損ねるとまずいので、なんとかしてもらえないか」と強く求められ、「融資はできない」と断ると、上司とともに議員会館に呼びつけられ、秘書から「おれの顔を潰すのか」などと罵声を浴びせられたといいます。
さらに庄司さんによりますと支店長だったときには本店から直接対応するよう指示されたこともあったといいます。
庄司さんは「普通は個別の融資で支店長と事業者が直接、やり取りをすることはないが、本店はすごく気をつかっていて支店長だった私がみずから対応することになった。融資の判断には全く影響なかったが、事業者の方を特別扱いをしているというポーズを取る必要があったのではないか」と話しています。
政治家からの口利きについて、庄司さんは、「日本政策金融公庫は国の政策を実現する金融機関なので介入してもよいと考える政治家もいるかもしれないが口利きが政治家の本来の仕事かということは疑問に感じる。事業者の側も、政治家にお金さえ払えば無理が通ると考えているのなら、考え方を改めなくてはならないと思う」と話しています。
今回の事件について、日本政策金融公庫は、「コメントする立場にないが、公庫ではどなたからの紹介であっても特別扱いすることは一切ございません」としています。
専門家 “政治家が個別案件に介入は本来の役割ではない”
政治学が専門の駒澤大学の富崎隆教授は、政治家や秘書が資金提供の見返りに不当な働きかけを行うのは論外だと批判したうえで、政治家からの働きかけが不当な口利きかどうかは、その内容に一般性や普遍性があるかがポイントになると指摘します。
この中で富崎教授は「政治家が有権者の要望や支援を受けて、実現のために取り組むことは民主政治の通常の姿でそれ自体が否定されるものではない。しかし、その内容が、一般的・普遍的なものでなく個別の問題で不透明な資金提供を受ければ、汚職と区別がつかない形になる」と指摘しました。
そのうえで「政治家の役割は政策の大きな方針や理念を決めることで、個別の案件に介入して力を発揮することは本来の役割ではない。政治家はこうした本来の役割を自覚し、個別の問題に介入するなら有権者に説明できるようにオープンな形で行う必要がある」と述べました。
松野官房長官「個別事件 政府としてコメント控える」
松野官房長官は、記者会見で「本日、検察当局が遠山元衆議院議員を、貸金業法違反の事実で公判請求したものと承知している。個別事件における検察当局の事件処理について、政府としてコメントすることは控えたい」と述べました。
立民 泉代表「公明党は実態を説明する責任がある」
立憲民主党の泉代表は東京都内で、記者団に対し「口利きをしたり、手数料を受け取ったりすることはあってはならない行為だ。事件の真相を明らかにする必要があり、公明党は党として実態を説明をする責任がある」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211228/k10013407141000.html
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