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虚栄など捨てて、今年は「変革」の年といきたいもんだ 井筒和幸の「怒怒哀楽」劇場
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/299654
2022/01/08 日刊ゲンダイ
年も明けたが、おめでたい顔をした人なんて、どこにいるんだか。おめでたいどころか、明治神宮だお伊勢さんだ、愛知の熱田に太宰府天満宮だとどこも去年の2倍3倍の初詣客が詰めかけた。ニュースに映っただけで分かったが、若者や中年の誰もが笑顔ひとつなく深刻そうにさい銭を投げて必死に手を合わせ、今年こそ幸せになれますようにと哀願していた。浮かぬ顔が多かった。でも、プーチンの軍隊がウクライナ侵攻しないように、習近平の中国軍が台湾軍と戦わないように、米軍の辺野古基地が撤去されますようにと世界の平和を祈ってるようには誰も見えなかったが。日本人は“神頼み”しかないのか。古墳時代の政も神頼みだった。その癖なのか、でき損ない政策を糾弾し、でき損ないの政府に抗議デモをするでもなく、大衆は神さんを拝んできた。その昔、初詣には何度かつき合ったが、駐車場はバカ高いし、人混みで風邪までひいたのでアホらしくてやめた。
元から神も仏も無縁だし、映画館に出向くほどの映画もないし、CSチャンネルをザッピングしてたら、日本がやらかした戦争時代の検証番組に出くわした。温暖化の未来に不安をかきたてる取材モノや、中国まで制覇を企んだ強欲な豊臣秀吉のホラ話よりは暇つぶしになるかと。
番組は、白黒フィルムに写る無数の日本軍兵士の一糸乱れぬ行進から始まった。現在の北朝鮮軍と変わらない画像だ。そこに、英語ナレーションの字幕が「かつて日本は大日本帝国と呼ばれ、アジアの大部分を支配下に置いた」と。「大日本」とは久しぶりだが、画像もこれがほんとに日本兵かと目を疑うほど奇っ怪で異様だった。アメリカ系の制作プロの提供だとこうなるのか。でも、大東亜共栄圏と勝手に名乗っていた80年前を記憶する者は少なくはなったが、台湾、朝鮮、傀儡国満州と順に、アジアに日本が侵略したのは確かだ。何年か前に国会で「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない。どちらから見るかで違う」と放言した厚顔な首相もいたが、では今の若者がアジアの戦争について一体、何を知ってるのかと思うと、番組を見ながらむなしくなった。日本兵やどこかの国の子供らの死体の山が映ると、軍事裁判に立ち会わされてるようだった。ナレーションが「侵略が生んだ悲劇の数々を日本人は知らされず、日本は西洋からアジアを救う神の国だと教えられた」と続き、画面では何千人もの小中学生と父母らが神社境内で一斉に腰をかがめて、神主におはらいされていた。そして、「これらは虚構だった」と字幕が出た。
沖縄の洞窟から避難民の母子らが放心した顔で這い出る画像も初見だった。「兵隊と共にお国のために死ぬように教育された」と。むなしい限りだ。正月からこんなものを見てるんじゃ、おめでたいわけがないな。この国はいまだに紅白歌合戦をやっている。虚栄など捨てて、今年は「変革」の年といきたいもんだ。
井筒和幸 映画監督
1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。
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