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バイデンVS.トランプ 再対決への現在地/橋祐介・nhk
2023年04月12日 (水)
橋 祐介 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/482063.html
来年のアメリカ大統領選挙は、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領の再対決になるのでしょうか?トランプ氏は先日ニューヨーク州で起訴されて“渦中の人”となり、バイデン氏はまだ立候補を正式に表明していません。しかし、少なくとも現状は、この2人が、再び雌雄を決する公算が大きくなりつつあるようです。
現在地を分析し、見通しを探ります。
大統領経験者として史上初めて起訴されたトランプ前大統領。メディアはその一挙手一投足を追いかけて、“トランプ劇場”が久々にニュースを席捲した観がありました。
トランプ氏は「起訴は政治的迫害だ」「不当な選挙妨害だ」として無罪を主張し、支持者らに結束を呼びかけました。
(トランプの発言 4月4日/フロリダ州)
「こんなことがアメリカで起きるとは思わなかった。私が罪を犯したとすれば、我々の国を破壊する者を恐れず守ったことだけだ」
いまトランプ氏をめぐって捜査が進められている疑惑は4つあります。
▼FBIが去年8月、トランプ氏の邸宅を捜索し、最高機密を含む機密文書が見つかった問題では、文書の返還を故意に拒んでいたとして、司法妨害の疑いが持たれています。
▼おととし1月の議会乱入事件では、トランプ氏が支持者らを煽り、権力移行に違法に介入したとされる疑惑。
いずれも政権から独立した権限を持つ特別検察官が捜査にあたっています。
▼3年前の大統領選挙で南部ジョージア州の開票結果を覆そうと、選管当局に違法な圧力をかけたとされる疑惑は、州都アトランタを管轄するフルトン郡の検事が捜査しています。
▼そして今回のニューヨーク州マンハッタン地区の検事が捜査していた“口止め料”問題。かつて不倫関係にあったと主張する女性らへの支払いを隠蔽するため、トランプ氏がビジネス記録を改ざんしたなどとして、あわせて34の罪で起訴されました。
公判前手続きの次回の対面審理は12月に予定され、裁判は長期化も予想されています。
トランプ氏の起訴について、世論の賛否は割れています。起訴は妥当な判断だとする人はこの世論調査では、半数足らずでした。
これを党派別に見てみると、起訴は妥当な判断だとする人は、民主党支持層では8割以上に上るのに対し、共和党支持層では逆に2割にも届きません。インディペンデント=日本で言う無党派層では、わからないと答えた人が3分の1ほどでした。
ニューヨークは、トランプ氏の出身地ですが、民主党の固い地盤で、捜査にあたった検事局のトップも、選挙で選ばれた民主党員です。共和党議員の多くは、「起訴は政治的な動機に基づくものだ」とするトランプ氏の主張に同調しています。トランプ氏にとって、今回の起訴は、共和党内の支持固めには、今のところ“追い風”になっています。
実際、共和党の大統領候補選びで、トランプ氏は支持率トップを独走しています。目下の最大のライバルと目されるフロリダ州のデサンティス知事との差も、今回の起訴のあと、さらに広がっているのです。
ただ、このままトランプ氏が、共和党の大統領候補の座を手中に収めるかと言えば、そう単純な話でもなさそうです。
大統領選挙は、来年2月から始まる党内の予備選挙と、7月の党大会から11月の本選挙までの2段階を踏みます。予備選挙は投票率が低く、トランプ氏のように固い岩盤支持層を持つ候補が有利です。
これが民主党候補と対決する本選挙になると、今度は無党派層など、党外にも支持をどこまで広げられるかが勝敗の鍵を握ります。前回トランプ氏の敗因の一つは、過激な主張が無党派層の支持を遠ざけたからでした。次回はこれに法廷闘争が加わるかも知れません。
刑事裁判の被告になるトランプ氏は、仮に有罪判決を受けても、立候補は法的に可能です。前例もありました。労働運動の先駆的な指導者ユージン=デブスは、第1次世界大戦へのアメリカの参戦に反対し禁錮刑に服しましたが、1920年の大統領選挙に獄中から立候補し、一般投票で90万票以上を獲得しています。
トランプ氏は“不動産王”と呼ばれた時代から多くの訴訟を抱えて法廷闘争を熟知しているとされ、自らの著作に「私の流儀の鍵は強がることだ」と書いています。今回の起訴でも、罪を認めて司法取引に応じることはないでしょう。
問題は、そうしたトランプ氏に無党派層がついてくるかです。今回の“口止め料”問題にとどまらず、より重大なほかの疑惑が立件されたら、党外に支持を広げる可能性はさらに低下します。いまは表立った批判を控えている共和党内のライバルも、本選挙で勝ち目が薄い人物を大統領候補にするべきではないとして、攻勢を強めるかも知れません。
共和党全国委員会は、ことし8月、主な候補者による第1回の討論会を開きます。それからほぼ1年後、トランプ氏が共和党大会で大統領候補の指名を確実に獲得できるだろうとは言えません。
今度は民主党の側を見て参りましょう。いまバイデン大統領は、イギリスの北アイルランドと、自らの祖先の地として思い入れが深いアイルランドを歴訪しています。
トランプ氏の起訴については、「ノーコメント」をくり返し、静観の構えです。
こちらは、来年の大統領候補を誰にするべきかを民主党支持層にたずねた最新の世論調査です。バイデン氏と答えた人は半数に満たず、別の候補を選ぶべきだとする人が過半数を占めています。政権運営への不満よりも、すでに80歳になったバイデン氏の高齢問題が、懸念されているようです。
大統領の支持率は、いま40%台前半です。高い数字とは言えませんが、去年の中間選挙で民主党が善戦したことから、バイデン氏は党内で求心力を回復し、再選に反対する有力な候補者は見当たりません。
バイデン氏自身は、来年の大統領選挙には「立候補する予定だが、まだ表明する準備が出来ていない」としています。トランプ氏の起訴を受けて、タイミングを探っているのでしょう。
もともとバイデン氏は、熱狂的な支持者が少なく、前回はトランプ再選を阻止するため、いわば消極的な理由から選ばれた大統領でした。
トランプ氏への追い風が長く続かず、共和党で若い候補が台頭してくれば、バイデン氏もまた民主党内で、世代交代を求める圧力にさらされるかも知れません。
ただ、民主党内では、バイデン氏が対決する共和党候補としては“トランプ氏が最もくみしやすい相手”と考える人が、実は意外に多いのです。
前回の対決でバイデン氏が勝利した実績に加えて、去年の中間選挙でも、トランプ氏が推薦した共和党候補は、激戦州で軒並み民主党候補に敗れているからです。
党内抗争が盛んな民主党も“打倒トランプ”という共通の目標があれば、まとまりやすく、女性や若者、マイノリティーの投票意欲をかきたてやすいという指摘もあります。
しかし、社会の分断はさらに加速するでしょう。トランプ氏は、前回の敗北も、いまだに認めていないのです。
過去59回行われた大統領選挙で、同じ顔合わせの再対決は6回ありました。バイデン氏とトランプ氏が再び対決すれば、1956年のアイゼンハワー再選の時の選挙以来、68年ぶりになります。
前回と同じ選択肢、しかも2期目の就任時にはそれぞれ82歳と78歳になる2人のどちらかにアメリカの未来への舵取りを本当に託すのか?若い有権者の間からは強い不満の声も聞かれます。トランプ氏の法廷闘争の行方と相まって、来年のアメリカ大統領選挙は、かつてなく多くの不透明な要素をはらんでいます。
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