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露国の軍事情報を集めていた米記者の逮捕を批判してもアッサンジの逮捕は容認
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202304020000/
2023.04.02 櫻井ジャーナル
ウラル山脈の中にある都市、エカテリンブルグでウォール・ストリート・ジャーナルの記者、エバン・ゲルシュコビッチが3月29日、あるいは30日にロシアのFSB(連邦安全保障局)に逮捕されたようだ。アメリカの記者が逮捕されたのは冷戦以来、初めてだという。ゲルシュコビッチはウクライナでの戦争やワーグナー・グループを調査、ロシア当局によると、記者の立場を利用して軍需企業に関する機密情報を入手していたようだ。
ゲルシュコビッチ個人の話ではないが、ウォール・ストリート・ジャーナルを含む西側の有力メディアはウクライナの戦況やロシアの状況について正しい情報は伝えてこなかった。アメリカ/NATOの好戦派が人びとに信じさせたい話を流してきたわけで、ゲルシュコビッチがジャーナリストとしての仕事をしていたとは言い切れない。
そもそもジャーナリストの仕事は情報機関の仕事と似ている。違いは誰のために隠された情報を調べるのかということだ。ジャーナリストは情報を公にするのだが、情報機関は権力者に情報を知らせる。権力者と癒着し、重要な情報を庶民に伝えないならば、「ジャーナリスト」というタグをつけていようと、情報機関のエージェント、あるいは手先にすぎない。
日本でもマスコミは基本的に支配体制のために存在している。かつては気骨ある記者が活躍する余地が存在していたが、1980年代にそうした記者は駆逐された。東電福島第一原発の炉心溶融事故やCOVID-19に関する「報道」を見るだけでもわかるだろう。
ウクライナ東部のドンバスでは2014年からクーデター軍と反クーデター軍との間で内戦が続いている。クーデター軍の主体はネオ・ナチであり、後ろ盾はアメリカ/NATOだ。地元の記者によると、アメリカ/NATOの情報機関が好んで利用する隠れ蓑は援助隊員、OSCE(欧州安全保障協力機構)、ジャーナリストだ。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、アメリカの支配層は第2次世界大戦が終わって間もない頃から情報操作を目的とするプロジェクトを始めた。「モッキンバード」である。
このプロジェクトをCIAで担当していたのはコード・メイヤーで、実際の活動を指揮していたのはアレン・ダレス、ダレスの側近だったフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだとされている。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)
グラハムは第2次世界大戦中、陸軍情報部に所属、中国で国民党を支援する活動に従事していた。その時の仲間のひとりがヘルムズ。そのほか後にCIA副長官になり、CSISの創設に関わったレイ・クライン、グアテマラのクーデターなどに参加し、ウォーターゲート事件で逮捕されたE・ハワード・ハント、そしてさまざまな秘密工作に関与し、駐韓米軍の司令官を務め、WACL(世界反共連盟)の議長を務めたことジョン・シングローブも含まれる。
ワシントン・ポスト紙の記者として「ウォーターゲート事件」を暴いたカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。
その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとバーンスタインにCIAの高官は語ったという。ニューズウィーク誌の編集者だったマルコム・ミュアは、責任ある立場にある全記者と緊密な関係をCIAは維持していたと思うと述べたとしている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
CIAのメディア支配はアメリカ国内に留まらない。例えば、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。
CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ていると彼は警鐘を鳴らしていた。彼の警告通り、アメリカ/NATOはロシアと核戦争する寸前まできている。なお、ウルフコテは2017年1月に心臓麻痺で死亡した。
西側で権力犯罪を暴くとどうなるかはジュリアン・アッサンジの例をみるだけでもわかる。彼は内部告発を支援してきたウィキリークスの象徴的な人物だ。アメリカの支配層にとって都合の悪い情報を明らかにしたわけである。
アッサンジは2019年4月11日、ロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕された。それ以降、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されている。容疑はハッキングのほか「1917年スパイ活動法」に違反したとしているが、ハッキングはでっち上げだったことが明らかになっている。
ハッキングで最も重要なアメリカ側の証人はシギ・トールダルソン。2010年当時、ウィキリークスの活動にボランティアとして参加していたが、後にFBIへの情報提供者になった。ウィキリークスはこの人物が寄付のうち5万ドルを横領したと疑っていた。
トールダルソンはアッサンジが2010年の初めにアイスランド政府のコンピュータに侵入して情報を盗むように指示したなどと主張したが、後にそれは嘘だとメディアに証言している。トールダルソンは第三者から書類を受け取り、チェックしないままアッサンジに渡したという。
その当時、トールダルソンは「サブ」と呼ばれていたヘクター・ザビエル・モンセガーと接触していた。この人物はハッキング・グループのリーダーだが、逮捕され、懲役124年が言い渡される可能性があった。そこで司法取引に応じ、FBIの情報提供者になったのだ。
アメリカの当局はアッサンジがスパイ行為を働いたとしているが、彼はオーストラリア人であり、活動の中心はヨーロッパ。アメリカがアッサンジを国外で拘束し、処罰できるということになると、世界のどこにいてもアメリカの犯罪的な行為を明らかにするとアメリカの刑務所へ入れられることになる。
アメリカの支配層を怒らせたであろうウィキリークスが発表した情報のひとつはイラク戦争における行為。イラク戦争においてアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが2007年7月、ロイターの特派員2名を含む非武装の一団を銃撃して十数名を殺害する場面を撮影した映像を公開したのだ。
また、2016年のアメリカ大統領選挙でDNC(民主党全国委員会)がヒラリー・クリントンを勝たすためにバーニー・サンダースの足を引っ張ったことも明るみにだした。その実態を明らかにする電子メールをウィキリークスが明らかにしたのである。それを誤魔化すためにアメリカの有力メディアがCIAやFBIと共謀して引き起こしたのが「ロシアゲート」騒動だ。
ゲルシュコビッチのケースは情報が少ないので何とも言えないが、有力メディアの対応がアッサンジのケースと違いすぎる。
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