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サウジアラビアとイランが国交正常化(2)米国から離反するサウジ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303130000/
2023.03.13 櫻井ジャーナル
ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ネオコンの中心グループの属しているポール・ウォルフォウィッツは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。イラクのサダム・フセイン体制を倒してシリアとイランを分断したうえでシリアとイランを倒すというプランだ。(3月、10月)
このプランが実行されるのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されたが、それから10日ほど後にドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという。
イラクは2003年3月にアメリカ主導軍が先制攻撃、レバノンにはイスラエルが繰り返し軍事侵攻、シリアとリビアは2011年春にアメリカなどがアル・カイダ系武装集団を使って軍事侵略を開始しているが、シリアでの戦闘がアメリカにとって大きな計算違いになった。シリア軍が強く、倒れないのだ。
そこで2012年からシリアの反政府軍に対する軍事支援をアメリカは強化、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の誕生につながる。ダーイッシュは残虐さを演出していた。
それによってアメリカ/NATO軍の介入を正当化しようとしたのかもしれないが、シリア政府の要請で2015年9月にロシア軍が介入、アメリカ/NATOの手先として動いていた武装集団は敗走する。
ドナルド・トランプ政権は2017年4月に地中海に配備されていたアメリカ海軍の2隻の駆逐艦、ポーターとロスから巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化される。2018年4月にはイギリスやフランスを巻き込み、アメリカは100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したが、今度は7割が無力化されてしまう。前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。
ロシアの防空システムがアメリカのシステムよりはるかに性能が良いことが判明、シリアでロシア軍はその強さを世界に示すことになった。
そうした中、2017年10月5日にサウジアラビアのサルマン国王はロシアを訪問、ロシア製防空システムS-400を含む兵器/武器の供給をサウジアラビアは購入する意向だと伝えられた。アメリカの圧力で実現しなかったが、サウジアラビアのアメリカ離れがこのころから目につくようになる。
その後、サウジアラビアはイラクを介してイランと秘密裏に接触しはじめる。イラン側のメッセンジャーはガーセム・ソレイマーニーが務めた。この人物はイスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われるコッズ軍を指揮していたイラン国民の英雄だ。
この秘密交渉が表面化したのは2020年1月3日のことだった。その日にソレイマーニーがバグダッド国際空港でアメリカ軍によって暗殺されたのだ。イスラエルが協力したと言われている。その時、イラクの首相だったアディル・アブドゥル-マフディは、ソレイマーニーが緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていたと語っている。2021年8月にはサウジアラビアのハリド・ビン・サルマン副国防大臣がロシアを訪れ、ロシアのアレキサンダー・フォミン国防副大臣と両国の軍事協力を発展させることを目的とする協定に署名している。
今回の国交正常化交渉は中国が仲介したようだが、中国の戦略的な同盟国になったロシアも深く関与している。サウジアラビアだけでなく世界の少なからぬ国がアングロ・サクソンの時代は終わりつつあると考えているようだ。(了)
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