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"ウクライナの次はモルドバ?" 対立深まるモルドバとロシア/安間英夫・nhk
2023年03月10日 (金)
安間 英夫 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/480539.html
ウクライナにロシアが軍事侵攻を続ける中、ウクライナの西隣にあるモルドバとロシアの対立が深まり、“ウクライナの次はモルドバ?”かと懸念される事態となっています。
Q)モルドバはどのような国なのでしょうか。
A)
ウクライナとルーマニアの間にある国で人口は260万。
国民の大半を占めるモルドバ人は民族やことばもルーマニアと近く、国土も歴史的にオスマン帝国、帝政ロシア、ルーマニアなど周辺国の領土となり、第2次世界大戦でソビエトに併合されたあと、1991年のソビエト崩壊によって独立しました。
そして東部のウクライナとの国境沿いには「沿ドニエストル地方」という親ロシア派の支配地域があり、中央政府の支配が及んでいません。
ソビエト崩壊前後から紛争となり、ここにロシア軍の部隊1000人あまりが駐留しています。
Q)そうしたモルドバで今どのようなことが起きているのでしょうか。
A)
モルドバでは2020年、親欧米派のサンドゥ大統領が就任し、去年のロシアによるウクライナ侵攻後、EUへの加盟を申請しました。
ウクライナから大勢の避難民を受け入れる一方、ロシアからの天然ガスの供給が減少し、物価高が続いています。
こうしたなかでモルドバ国防省は2月10日、ロシアのミサイルが領空を通過したと発表し、緊張が高まりました。
また野党が主導して政権幹部の退陣を求めるデモも起きていて、サンドゥ大統領はロシアが政権転覆を画策していると非難を強めています。
モルドバ政府は沿ドニエストル地方からロシア軍の撤退を求めていく構えです。
Q)ロシアはどのような姿勢をとっているのでしょうか。
A)
ロシアは、モルドバを旧ソビエトの一部として影響圏ととらえています。
そして「モルドバとの関係が緊迫している」として、現地のロシア軍兵士に危害が加えられたら対応するとして武力行使も示唆しました。
ロシア政府は2012年、沿ドニエストル地方はモルドバの一部だとして主権を尊重する立場を公式に示しましたが、2月下旬、この立場を撤回すると表明しました。
モルドバ政府をけん制するとともに、ロシアの介入につながる動きとも受け止められます。
Q)気になりますが、ウクライナの戦火が拡大するおそれはあるのでしょうか。
A)
ウクライナ侵攻に手一杯のロシアがすぐにモルドバに戦線を広げることは考えにくいのですが、現地のロシア軍やロシア系住民を守るという名目でロシアが揺さぶりを強めたり介入したりするおそれは排除できません。
無視できない対立の火種であり、今後の動向に注目していく必要があります。
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