【訂正】 こちらも「いい加減」な部分があった。ルーラに関しては、ルーラの無罪判決の頃から、邦字紙「ニッケイ新聞」(廃刊)と 後継の「ブラジル日報」から情報を得ていたのだが、 〜〜〜〜 《ブラジル》最高裁 ラヴァ・ジャット作戦最大の敗北=ルーラに盗聴内容を読む許可承認=これまでの判決覆る可能性も – ブラジル知るならニッケイ新聞WEB(2021年2月11日) https://www.nikkeyshimbun.jp/2021/210211-11brasil.html 邦字紙「ニッケイ新聞」廃刊へ 「ブラジル日報」が後継 | 高知新聞 https://www.kochinews.co.jp/article/detail/518305 〜〜〜〜 「ラヴァ・ジャット作戦」=「カー・ウォッシュ捜査」でルーラが政権を追われたというのは、こちらの思い込みだったことが、以下の記事を読んでわかった。 正確に言えば、この「ブラジルの陸山会事件」である「ラヴァ・ジャット作戦」(「カー・ウォッシュ捜査」)では、 ■ルーラ大統領の後継者であるルセフ大統領が弾劾され ■再度立候補したルーラは、「選挙の6カ月前、最高裁はルラの控訴を根拠なく棄却し、法令によって彼を大統領選レースから引きずり降ろ」された ・・・つまり、ルーラの後継者の大統領を追い落としルーラの大統領再選を阻んだ「ブラジルの陸山会事件」ということになる。 謹んでお詫び申し上げる。 〜〜〜〜 ブラジルでも左派が政権奪還 ルラ氏が大統領選制す 暴力や謀略乗り越え、中南米で新自由主義が終焉 | 長周新聞 https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/24976 ・・・ 右派勢力は2015年、国営石油企業ペトロブラスと政権与党との間で、定期的に国家予算の粉飾や贈収賄がおこなわれていたと摘発。ペトロブラスはNSA(米国家安全保障局)が長年、監視対象にしていた企業だった。国家予算の操作は、歴代政権でおこなわれてきた「慣例」が含まれていたが、財界が握るメディアを利用して「労働者党の腐敗」キャンペーンを煽り、議会内投票だけでルセフ大統領を「犯罪者」として弾劾・追放した。いわゆる「カー・ウォッシュ(洗車)捜査」だ。 このスキャンダルは南米各国の政権をも揺るがす一大疑獄事件となり、ブラジルでは国会議員の半数以上が捜査対象となった。ところが大統領代行となった右派・テメル副大統領にも有力な贈賄の証言や証拠があったものの不問に付され、標的は労働者党に絞られた。関係者の証言によると、テメルの起訴を阻止するため15億jもの資金が使われたという。 ついに訴追の手は、ルラ夫妻にも及び、妻マリサが心臓発作で急逝するという悲劇にも見舞われた。2013年に中東で起きた「アラブの春」に触発されるように反政府派はSNSを駆使して軍によるクーデターを呼びかけるなど常軌を逸した扇動活動を展開し、反政府派と支持派で国内世論は真っ二つに割れる事態となった。 2018年の大統領選で右派勢力はテメル後継として元軍人のボルソナロを指名した。だが、ルラ人気は根強く、支持率調査ではボルソナロの15%に対して、ルラは31%と圧倒的な強さを見せていた。ところが選挙の6カ月前、最高裁はルラの控訴を根拠なく棄却し、法令によって彼を大統領選レースから引きずり降ろした。 その後、最高裁はルラに対し、汚職とマネーロンダリングの罪などで禁固12年1カ月の有罪判決を下したが、確たる物的証拠はなく、しかも捜査を担当したセルジオ・モロ検事が最高裁判事(裁判長)も兼務するという極めて不公正な裁判となった。 ちなみに最高裁判事も兼務したモロ検事は、その後のボルソナロ政権で法務大臣に任命され、その後に就職した米国の法律事務所「アルヴァレス&マーサル」社から1年間で360万レアル(約7800万円)の報酬を受けとっていたことが物議を醸した。 また、米独立系メディア「インターセプト」(グレン・グリーンウォルド主宰)が入手・公開した会話記録では、米オバマ政権下の司法省と「カー・ウォッシュ捜査」を担当した検察官グループとモロ最高裁判事の間で、ルラの大統領選出馬を阻止する政治的取引がおこなわれていたことが明らかになっている。 裁判所出頭に応じたルラは、「不当判決」を主張して集まった何万人もの支持者を前に、「私は正義を信じる。誰も私を止めることはできない。この国には何百万人ものルラ、ブオロ、ジルマ(ルセフ)がいるのだから。たとえ私が心臓発作を起こしても失望には値しない。私の心臓は皆のなかで鼓動を打ち続けるだろう。いかなる権力も春の訪れを止めることはできない」と演説し、惜しまれながら囚われの身となった。 ボルソナロの失政 シカゴ学派招き自由化加速 2019年1月に発足したボルソナロ政権は、ルラが目指した国家主導の「大きな政府」から、経済を自由化市場に委ねる「小さな政府」への政策転換を表明した。 財務大臣のパウロ・ゲデスは、投資ファンド経営の経歴を持ち、1970年代に米シカゴ大に留学し、新自由主義やショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)を唱えたミルトン・フリードマンに師事。同じく「シカゴ・ボーイズ」とよばれるシカゴ学派の学者を経済顧問団として招いたピノチェト軍事独裁政権のチリに渡って教鞭をとり、大臣就任後は「過剰な産業保護がブラジルの成長を阻害した」として、外資や財界の要求に従い急進的な市場自由化を推進した。 ボルソナロ政権は、国営企業の民営化に着手し、鉄道や空港などの公共インフラの運営権を民間コンセッションによって大手企業に売却。さらに、国営石油企業ペトロブラスや、油田開発や生産分与をおこなう国営企業PPSA、エレクトロブラス(電力公社)、コヘイオ(郵便電信公社)など主要な国営企業の民営化を計画した。 またトランプを模倣して「銃を持つ自由」を主張し、銃規制を緩和(個人が所有できる銃や弾薬の数を拡大)。コロナ禍では「ただの風邪」として感染対策をとらず、国内の累計死者数は67万人(米国に次ぐ世界2位)に達した。犠牲になった多くが病院にもかかれない貧困層だった。 このような失政や「国家私物化」の疑惑もとり沙汰されるなかで、国内ではルラの釈放を望む声が高まり、2019年11月、最高裁が「控訴を保留したままの投獄は違法」との判決を下し、ルラは釈放される。最高裁はモロ判事がルラに対して起こした裁判の判決を「適切な管轄権を持たない裁判所によって裁かれたもの」と結論付け、すべて無効とした。 ルラは再び国内で深刻化した貧困撲滅のため、「歳出上限」を撤廃し、ボルサ・ファミリアの復活、富裕層への課税強化や配当税などの累進性強化を掲げて大統領選に出馬した ・・・
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