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2022年11月15日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/213925/1
https://www.tokyo-np.co.jp/article/213925/2
2大政党の拮抗が伝えられる米中間選挙。現地では次期大統領選への関心も高まっている。出馬が取り沙汰されるのが共和党のトランプ前大統領だが、気になることもある。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係だ。同氏は教団側にメッセージを寄せたほか、共和党のお歴々も教団側と接点を持ったとされる。そんな状況に岸田文雄首相はどう向き合うのか。世界情勢を左右しうるトランプ氏や共和党にも物申すのか。(特別報道部・木原育子、中山岳)
◆中間選挙では伸び悩んだが
「痛い思いをするかもしれない」「あまり良いとは言えないようなことを暴露するかもしれない」
多くの共和党候補が苦戦する中、トランプ氏は挑発的な言葉をぶつけた。
矛先を向けたのは、フロリダ州知事のデサンティス氏。トランプ氏と距離を取りながら、中間選挙で実施された知事選で民主党候補に圧勝した。前大統領は自らの足元を揺るがしかねない政敵と見立て、警戒を強めたのだろうか。
トランプ氏はツイッターが永久凍結され、国家安全保障に関わる最高機密が不法に持ち出されたとしてFBIによる家宅捜索も受けた。にもかかわらず、強い物言いは変わっていない。
その同氏が強い関心を寄せてきたのが中間選挙だ。当初は民主党が劣勢との見方が大半だったが、ふたを開けてみれば善戦。一方の共和党は伸び悩んだ。
国際ジャーナリストの春名幹男さんは「トランプ氏が前面に出すぎたことで、無党派層や若者層が民主党に流れた」とみる。象徴的なのはフロリダ州とペンシルベニア州。冒頭のデサンティス氏は民主党候補に約20ポイントもの差をつけて勝利したが、トランプ氏がてこ入れしたペンシルベニア州で共和党の上院議員候補も知事候補も敗れた。「トランプ氏が頑張るほど共和党は一体性を欠いた。自打球で傷を負った状態に近い」
そんな中でも、トランプ氏は次期大統領選への立候補が取り沙汰されており、15日にも出馬を表明すると報じられてきた。
明治大の海野素央教授(異文化間コミュニケーション論)は「党内ではトランプ氏主導のMAGAマガ共和党(『Make America Great Again』、米国を再び強くする)と、反MAGAの対立がますます激化する」と見通す。「民主党はトランプ氏に出馬してほしいのでは。勝利の公算が大きいからだ」
◆関連団体集会にメッセージ、出席、講演も
影響力に陰りが見えるとの評だが、いまだ話題に上るのがトランプ氏だ。そこで気になってくるのが旧統一教会との接点になる。
旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」のサイトによると、昨年9月の集会では安倍晋三元首相と共にトランプ氏もビデオメッセージを寄せた。教団を率いた故・文鮮明氏の夫人について「素晴らしい人物である韓鶴子博士に感謝したい」と切り出し、9分にわたり熱弁。「文氏と安倍氏はどちらも多大な功績に値する。素晴らしい仕事をした」と持ち上げた。
今年8月の集会では、トランプ氏が改めてメッセージを送ったほか、ポンペオ前国務長官やギングリッチ元下院議長も出席。他の集会では、ペンス前副大統領やチェイニー元副大統領も講演している。いずれも共和党内の保守重鎮だ。
上智大の前嶋和弘教授(米国現代政治)は「共和党にとって旧統一教会は敬虔けいけんなキリスト教の一派で、福音派とも親和性があり重なる。イメージとして悪くないのだろう」と話す。「UPFにとって共和党は日本信者向けの広告塔で、共和党の元政権関係者にとってはお小遣いが手に入る団体なのでは」とみる。
◆歴代米大統領と教団創設者が面会か
教団系の政治団体、国際勝共連合の機関紙「思想新聞」をたどると、半世紀前から共和党の面々が接点を持ったことがうかがえる。
1992年1月1日付の同紙は、見開きの紙面で教団創設者、文鮮明氏の年表を紹介。アイゼンハワー元大統領と会見(65年)、ニクソン大統領と会見(74年)が目を引く。いずれも共和党に籍を置いた。
84年5月20日付の紙面では、教団系の米保守系日刊紙「ワシントン・タイムズ」をレーガン大統領が「朝一番に読む」と誇らしげに紹介。ほかにも、「(教団関連団体の創設大会で)へイグ元国務長官が講演」(91年9月8日付)など、共和党重鎮の名前がたびたび登場する。
元信者で金沢大の仲正昌樹教授(思想史)は「レーガン氏のワシントン・タイムズ愛読は真偽はともかく、教団内部で宣伝されていた。共和党の要人たちには教団の息がかかっていると誇示していた」と述べる。ベトナム戦争の米軍撤退(73年)後、文氏や勝共連合は米国での「共産主義化の克服」を名目に多くの集会を開いたという。
◆米下院は教団や韓国の政界工作を調査した過去
一方、70年代後半の米国では、教団側の活動を調査する動きもあった。米下院議会に設けられた「フレーザー委員会」だ。
民主党議員のフレーザー氏をトップにした組織で、韓国中央情報部(KCIA)による米政界の工作を扱った。当時の東京新聞によると、調査対象に教団側も含まれ、文氏の側近も証言を求められた。78年公表の調査報告書は、教団や関連団体が米政界への影響を強めたと指摘。教団側は先立って猛反発し、フレーザー氏らに3000万ドルの損害賠償請求訴訟を起こした。
調査が進んだのは、カーター政権時。ウォーターゲート事件で共和党のニクソン大統領が失脚した後、民主党に政権が移っていた。「教団側には『カーターはソ連・共産主義に甘い』といった認識があり、フレーザーはソ連に操られているとの見方もあった。米国で共産主義を防ぐ砦とりでとして、教団の役割をより強調するようになった」(仲正氏)
◆岸田政権に問われる対策の「本気度」
フレーザー委員会は日本でも調査した。ただ報告書では、日本人らとの面談を日本政府が拒んだとも指摘している。
当時の首相は福田赳夫氏。政府が及び腰だったのはなぜか。政治評論家の森田実氏は、文氏と関係の深かったとされる岸信介元首相の政治的後継者が福田氏だったことに着目する。
「福田氏は政治的な後見人である岸氏と一体の関係だった。頼まれたことを全くノーと言えないほど。岸氏は米国の共和党系の政治家、統一教会といずれも関わりが深い。これらも影響したのではないか」
ちなみに91年5月26日付の思想新聞は、岸氏と福田氏、安倍元首相の父に当たる晋太郎氏の3人が勝共連合に対して「陰に陽に支援、助言を行ってきた」と記している。
米国で教団と政治家の関係が調査されてから40年余が過ぎ、今は日本で自民党議員らとの関係が取り沙汰される。岸田首相は「関係を断つ」と繰り返し、教団の実態調査や被害者救済の法制化に向かう。
だが、長らく日本政界に目を光らせてきた森田氏は本気度を疑う。「内閣の人気が落ちているからやっているにすぎない」
トランプ氏が米大統領に再選されれば、同氏を含めた共和党の面々と渡り合うことも求められる。教団との関係について直言できるかといえば、森田氏は懐疑的だ。「岸田氏は誰が大統領になっても尻尾を振り、米国べったりの政治しかできないのではないか。今の自民党は、かつて民主党に政権を奪取されて下野したころに近い」
◆デスクメモ
教団を巡る国会の議論を追うと、閣僚らの残念ぶりばかりが目に付く。それはそれで問題だが、そこで話を終わらせてはならない。教団の活動は長く、幅広い。人の動き、カネの流れ。問題の本質は何か。求められるのは根気強い真相解明。支持率目当ての「やってる感」ではない。(榊)
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