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ガス・テロに対する西洋の対応
2022年10月19日
ウラジーミル・オディンツォフ
Strategic Culture Foundation
最近のロシア・エネルギー週間フォーラム(REW)で、ウラジーミル・プーチン大統領は、現在ノルド・ストリーム事件が最新形式の国際テロ行為であることに疑いがないと明言した。攻撃の狙いは大陸全体のエネルギー安全保障を傷つけ、ヨーロッパの人々が安いロシア・エネルギーを入手するのを身勝手に阻止し、ガスや熱や電気や他の資源の何百万人もの人々や工業消費者から取り上げ、こうしたものを暴騰価格で買うよう強いることだった。
アメリカと西洋同盟諸国のこのような挑発政策の結果、ガス危機のさなかヨーロッパでの価格は上昇し続けている。生産の70%がすでに止められ、住民に極端な処置をとるよう強いているとアルジャジーラが報じた。一家が一部屋で眠り、身体障害者は節約するため電動車椅子に充電していない。最悪の場合、ガスがあまり高価なので製造が完全に停止し、ヨーロッパ経済は、完全な暴落段階に入ると予測される。ヨーロッパ政府はガス供給を産業活動より家庭暖房に優先順位を付けるよう強いられるだろう。
ノルド・ストリーム・パイプライン損傷はヨーロッパの利益に直接影響を与えたが、ノルド・ストリーム爆破の真実と、このテロ攻撃の見るからに明白な犯人の名前はEUで秘密にされていると中国メディア 「観察者」Guanchaは強調している。これは記事が指摘している通りアメリカからの独立を主張するEUの能力欠如の明らかな兆候だ。EUは犯人を探し告訴するには余りに弱い。
ノルド・ストリームパイプライン問題に言及して、ロシア大統領はモスクワが現行契約の下ヨーロッパにガスを全て供給する準備ができていると保証した。出来事の背後にはロシアとヨーロッパ間の結びつきを断とうとする連中がいる。そして今もちろんアメリカはヨーロッパ地域の完全支配を強化するためヨーロッパ大陸に高価格でエネルギー資源を供給できる。
現在のヨーロッパ政治エリート集団がこのガス・テロ攻撃のために全て明らかで周知の扇動者や加害者の告訴をあえてしない状態で、同じワシントンの指示で対ロシア制裁政策を浴びせ、今や自身明確な敗者となった連中からこの調査の主導権をロシアが得ることはほとんどあり得ない。ヨーロッパ国民の利益のためでなく、アメリカの利益のためだけに動く現在のEU当局の不道徳と露骨な傾向を理解し、ロシアはモスクワとの協力に本当に興味を持っている世界の他地域にヨーロッパ市場からエネルギー供給を転用すると決めたのだ。
バルト海ガス・テロに対する対応はロシア・ガス供給を中国と東南アジア向けに飛躍的に増大させるロシアの意図だった。すでに稼動しているシベリアの力パイプラインは昨年中国に150億立方メートルのガスを送った。2023年には220億立方メートルの計画で、2027年には380億立方メートルだ。ロシア・エネルギー週間で、ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相は、ロシアが、ロシアのエネルギー資源に対するこの地域の関心を考慮して興、アジアに供給するために更にガス輸送インフラを拡張すると述べた。既にサハリンから極東ルートを通って年間追加の100億立方メートルのガスを供給する中国との協定が署名されている。この方向へのガス輸送システムの拡大が今議論されており、合計年間500億立方メートルの容量を持つシベリアの力2ガスパイプラインのモンゴル部分の建設が間もなく始まる。モンゴル経由の中国向けロシア・ガス供給価格と基本的パラメータは既に承認された。シベリアの力2ガスパイプラインは2024年までに着手される可能性がある。モンゴル領域を通過するこのパイプライン部分はソユーズ・ヴォストークと呼ばれる。ガスの一部はモンゴルに供給されるだろうが中国が主な買い手だろう。シベリアの力2の容量はノルドストリーム2のそれに相当する。以前のシベリアの力1は容量年間380億立方メートルだ。
だからガスプロムの中国への年間ガス送付容量は2021年ヨーロッパでロシアの主要天然ガス貿易相手国だったドイツへの年間送付量と同等だろう。シベリアの力2パイプライン開発は西と東シベリアのガス輸送システム統一化を続け、隣接する多くのロシア地域のガス化を増し、東ロシアの経済や社会発展を更に刺激するだろう。
だがパイプライン・ガスに加え、最近LNGに対するアジア市場の関心が本格的に増加した。例えば、10月初旬、三菱商事広報担当報道を引用して、サバ-サラワク海底パイプラインで発見された漏えいのためマレーシアのペトロナスがLNG輸出で不可抗力事態を宣言したとロイターが報じた。この事件のため、日本はマレーシアからのガスパイプライン供給減少により打撃を受け、ヨーロッパが積極的に買っているスポット市場で液化ガスを探すよう強いられることになろう。マレーシアのガス問題は貿易業者がLNGのためスポット市場で日本と競争しなければならないヨーロッパにも打撃を与えるだろう。少なくとも日本政府は現在中国によってEUに再販されているLNGを含む追加容量を買うため既に日本のJERAへの1,300億円融資を認めた。
これは確実にアジア市場で、ロシアLNG、特に樺太2プロジェクトの魅力を増すだろう。これが既に日本企業が新しい樺太エネルギーオペレーターに彼らの株とLNG供給契約を維持すると発表した理由だ。
この背景に対し、ロシア・エネルギー週間でロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相は2021年に約3000万トン生産された液化天然ガス生産能力を増やすことにより輸出容量を拡大するロシアにとって重要性を強調した。
ヨーロッパ市場に対しアメリカが始めたロシアとのガス戦争からの損失は、ワシントンの「努力」のおかげで、ガス・テロへと変化し、これまでのところヨーロッパだけがこのような「西側諸国全体」行動の被害者だった。そして今EU加盟国は親米ヨーロッパ当局者に課された「ワシントンとの団結」の名のもと、露骨に暴騰した価格で、アメリカからLNGを買うことを強いられて、貧困、ヨーロッパ産業の空洞化とEU住民の増大する苦難で代償を払っている。
ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/20223/10/19/response-to-western-gas-terrorism/
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