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ウクライナの東・南部4州併合で自ら退路を断ったプーチン大統領/孫崎享・日刊ゲンダイ
公開日:2022/10/07 06:00 更新日:2022/10/07 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/312478
ロシアのプーチン大統領は9月30日、ウクライナの東・南部4州を併合する演説を行い、各州の代表と併合の文書に署名した。
留意しなければならないのは、この併合はロシアが攻め入り、有利な状況の下で行ったのではない。米国の巨大な軍事支援のもとウクライナ軍が奪回の攻勢をかけ、その作戦が成功する可能性が高いとみられている中で行われたことである。
形式的に今後の軍事行動は「祖国防衛戦争」になる。いかなる状況であれ、プーチンは4州で敗北することは許されない。負ければ、プーチン政権は崩壊する。プーチンはそうした状況に、自らを追い込んだのである。
プーチンの演説を見ると、感情の異常な高ぶりがうかがえる。米国もこの状況は十分に理解していて、米ワシントン・ポスト紙は「軍事的後退にもかかわらず、ウクライナでの戦争にロシアを再び関与させ、西側諸国との対立をエスカレートさせている」と報道。同ニューヨーク・タイムズ紙は「自己の生存をかけた戦い」と位置付けた。
ロシアにとって、ウクライナ東部の戦闘は厳しく、多くの兵員を失った。戦い続けるには予備役の招集も行わざるを得ない。「祖国防衛戦争」と位置付けることによって、強制力の裏打ちを行ったのである。
負けられない戦争を継続するためには、もはや手段を選ばない。それは核兵器の使用も意味する。
確かに世界的に見て、広島、長崎への原爆投下以降、核兵器の使用はない。それは核保有国が、国家や指導体制が軍事的手段によって崩壊させられるという危機に直面しなかったことにもよる。
しかし、バイデン米大統領は明確な形でプーチン政権の打倒に言及し、仮に東・南部4州が奪回されるという事態になればプーチン政権は存続できない。核保有国がここまで追い込まれたことは、第2次大戦後はない。
プーチンは演説で「米国は広島、長崎に原爆を投下し、核兵器使用の“前例”を作った」と指摘していた。米国安全保障関係者の間では、これまでもロシアが核兵器を使用する可能性を検討してきたが、現実味を帯びた選択肢になりつつある。
私は従来、@NATOはウクライナに拡大しないA東部の州には民族の自決権を与える形での停戦──を主張してきたが、西側の柔軟性の欠如が危機を高めてきているとも言えるだろう。
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