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武器を与え「戦争ヤレヤレ」とあおった西側をインフレが襲う想定外 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310696
2022/09/02 日刊ゲンダイ
G7でも食料値上がりが加速(米・首都ワシントンのスーパーマーケット)/(C)共同通信社
ロシアのウクライナ侵攻以降、米国が主導する西側の政策は明確だった。
ウクライナに武器支援を行い、ロシアが勝利しないよう、かつ、ロシアを完全撤退させるまでやっつけない。そして戦争を長期化させ、ロシアを疲弊させる。さらに経済面では、ロシアの石油・天然ガスの購入をボイコットする。ロシアの貿易にドルを使わせない。ロシアと提携する企業を撤退させ、ロシアを経済的に破壊させ、プーチンを引きずり降ろす。
当初はこの戦略が成功し、ロシアの通貨は見る見るうちに下落した。ところが、ロシアの侵攻から約半年たった今、どうなっているだろうか。軍事面はもくろみどおり、長期化させることが進行中である。だが経済面は様相が全く違う。
ロシア原油が市場に出ないことで石油価格が高騰した。ロシアは、輸出量は減ったものの、石油価格の高騰で、逆に昨年より輸出で得る収入は4割ほど増加した。GDPの落ち込みも5%程度で収まっている。
一方、制裁を科している西側はどうか。エネルギーや食料が高騰し、インフレが進行。当然、購買力は落ちた。この被害を最も深刻に受けているのが欧州だ。
日経新聞(8月26日付)は次のように報じた。
(1)ウクライナ侵攻から半年がたち、投資マネーが資源高に苦しむ欧州から退避している。
株式の時価総額は主要地域で最も減少し3.6兆ドル(約490兆円)が消失した。減少額は中国(1.7兆ドル)、米国(1.5兆ドル)などと比べても突出している。
(2)ユーロ相場は7月、20年ぶりに1ユーロ=1ドルの等価を割り込んだ。
欧州に比し比較的良好である米国でも、物価高は深刻である。米連邦準備制度理事会(FRB)長官が、「金利を引き上げてインフレを引き下げる中央銀行のキャンペーンは、家計、企業、ひいては株価に苦痛をもたらすとしても、“無条件”である」との厳しい警告を発した。
これによって、「米国株式市場=大幅安、ダウ1000ドル超の下げ」という状況が到来した。
ウクライナ問題は西側が「NATOはウクライナに拡大しない」「ウクライナ東部に民族の自決権を与える」ことを受け入れれば解決する。
今や制裁を科されたロシアよりも、武器を与え、「戦争ヤレヤレ」とする西側を経済的不況が襲いかかっている。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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