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ドイツの劇場はノーマスクで“密” 「コロナは恐れる病気ではない」という大人の認識 三枝成彰の中高年革命
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/310426
2022/08/27 日刊ゲンダイ
ドイツで開催されたイベントでは誰もマスクをしていない(市民の前で話をするオーラフ・ショルツ独首相)/(C)ロイター
ドイツの「バイロイト音楽祭」で大作曲家リヒャルト・ワーグナーのオペラ(楽劇)を見てきた。何より驚いたのは、満場の観客の誰もマスクをしていなかったことだ。
会場は独南部バイエルン州のバイロイト祝祭劇場。1876年、ワーグナーが自ら計画し、建設した。木造の劇場で客席も硬い木製。あえて建設当時の雰囲気を変えていない。だが、さすがに音響は最高である。
ワーグナーのオペラは概して長い。超大作「ニーベルングの指環」は4部作で4日間、上演時間は合計20時間半(休憩を含む。実質的な上演時間は約14時間程度)に及ぶ。
おまけに客席にはエアコンがない。
音楽祭は毎年7、8月の真夏に行われるが、劇場はあえて空調を備えていないのだ。数年前、外気温が31.2度のとき客席は40度だった。このつらさは行った者にしかわからないだろう。今回は少し秋めいて涼しかったが。
チケットは抽選販売で、世界中からワーグナー好きが集まる。1900余りの座席は隙間もほぼなく、満席だとまさに“密”だ。
コロナ全盛の2020年、音楽祭は中止となった。昨年は座席数を減らしての開催。そして今年はほぼ通常に近い形での開催で、連日盛況だった。
その客席を見渡して誰もマスクをしていないことに気づいたのだ。今まで数十回行っているが、いつも通りなのが信じられなかった。飲食店でもみなノーマスクである。
この2年、私たちは嫌というほど「3密回避」「ソーシャルディスタンスの確保」「イベント・営業の自粛」を言われ続けてきた。今回、日本の航空会社の待合室と機内でもマスク着用が義務付けられていた。生真面目でルールに厳格なドイツ人もさぞかし……と思いきや、肩透かしを食らった気分だった。
ドイツのコロナ感染者数は累計3180万人。人口8300万人の2.6人に1人以上の感染率だ。
日本の累計感染者数は1730万人。人口1億2400万人に比して7.1人に1人だ。死者は世界645万人のうち、日本は3万7300人。インフルエンザの死亡者数は毎年約1万人だから、コロナの死亡率が格別高いとはいえないだろう。
この認識の違いは何なのか。日本で2.6人に1人が感染していたら、どれだけの騒ぎになっていたことか。今やマスクを外すきっかけを失っている私たち日本人は、ドイツや欧州諸国の思い切った判断に驚かされる。状況を冷静に見て「コロナは恐れる病気ではない」と考えるのは、“大人”の認識だ。
日本人は何かを始める時は一斉に右へ倣えだが、やめるとなると気がとがめる人が多く、「お上のお達し」にも弱い。コロナで亡くなられた方々は本当にお気の毒だが、「お上のお達し」を唯々諾々と受け入れてきた結果、失わずとも済んだ多くを失ったとも言えるのではないか。日本人も世界に倣って冷静な“大人”の認識を持てば、失ったものを取り戻す力となると思うのだが。
三枝成彰 作曲家
1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。
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