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※女性自身 2023年3月28日・4月4日号 各誌面クリック拡大
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コロナ5類移行の治療費負担増額リスト7 受診控えで在宅死急増の危機
https://jisin.jp/domestic/2188666/
2023/03/22 06:00 『女性自身』編集部
ワクチンも自費になる可能性が(写真:時事通信)
「政府のコロナ対策は、国民を守ろうとしているとは思えません。今後、いま以上に入院しづらい状況になる可能性があります」
そう懸念を示すのは、コロナ病床を有する立川相互病院(東京都立川市)の副院長、山田秀樹さん。
岸田文雄首相(65)は、5月8日から新型コロナ感染症の法的位置付けを、現在の2類相当から、季節性インフルエンザと同等の5類へ引き下げると決定。これに伴い、コロナ対策に充てられていた医療機関への補助金等は段階的に縮小され、公費で賄われていたコロナの検査や入院・治療費等は自己負担が求められるように(表参照)。
【解説】負担増!リスト7+対応の変化
5類になれば、「どこの病院でも診てもらえる」「入院がしやすくなる」などの報道もあるが、医療関係者の見方は、その逆だ。
「厚労省は、5類移行後はインフルエンザと同じように、一般病棟の一部を区切り、コロナ患者を入院させてよいと見解を示しています。しかし、これは現実的ではない。というのも、第7波以降、コロナで入院するのは8割が高齢者。認知症や、コロナを機に寝たきりになった方も多く、介護に人手がかかるため、一般病棟の看護人員だけでは対応がむずかしい。また、病棟を区切っているだけでは認知症の方が徘徊し、たちまちクラスターが起きるでしょう」(山田さん)
医療機関としては5類移行でコロナ対策費用が削られても、感染対策を緩めるわけにはいかない。手当が削られると負担だけ増える。
「当院では、コロナ禍の品薄と物価高騰で、手袋代だけでコロナ前より約2000万円出費が増えています。当院はコロナ患者の受け入れを続けるつもりですが、経営的に厳しくなる病院はコロナ病床を縮小していくのではないでしょうか。また、高齢者は、肺炎になっていてもご自身で異変に気づきにくい。これまでのような保健所や医師による健康観察も終了することを考えると、急変して救急車で運ばれてくる方が増え、より医療ひっ迫しかねません」(山田さん)
かりに、民間病院でのコロナ病床が減った場合、命の砦となるのは、公立・公的病院などだ。政府は昨年末に感染症法を改正。公立・公的病院のほか、地域医療支援病院などには罰則付きで感染症患者の受け入れを義務付けた。ところが、「この受け皿も少ない」と話すのは、医療制度研究会の副理事で医師の本田宏さん。
「英・仏などは8割が公立病院ですが、日本は、公立・公的病院が非常に少なく全体の2割程度。とくに地方では、公立・公的病院の統廃合が進み、病床が減らされています。コロナのみならず、新たな感染症が流行した場合も、入院できない人が増えると懸念しています」
病院に入院できないなら自宅療養しかないが、「患者は厳しい状況に置かれている」と危機感を示すのは、ひなた在宅クリニック山王の院長、田代和馬さん。
「患者さんには困窮されている方も少なくありません。第8波で肺炎になった患者さんを往診した際、医療ひっ迫の最中で入院ができず、自宅に酸素呼吸器を設置して対応しようとしました。呼吸器は電気代が月約4000円。〈とても払えないから〉とお断りされたんです」
病院で電気代を負担するから、と言っても頑なに断られ、なんとか呼吸器なしで乗り切ったという。
「リスクの高い患者の場合、抗ウイルス薬を使用することも多いが、1割負担でも約1万円かかる見込みです。そのうえ往診料も必要になるので、がまんした結果、手遅れになる方が増えるかもしれません」(田代さん)
患者の負担額が増えると診療控えによる症状悪化が懸念される。重症化や死亡リスクを下げるためには、今後も年に2回のワクチン接種が推奨される。しかし、表のように、今後はワクチン接種も9600円の実費が必要になる可能性が。PCR検査は2550円、抗原検査は1350円。外来診療を受けると最大4000円を超える可能性も。
入院して呼吸器を付けた場合、一日あたり約3000円。ECMOを利用した場合は、処置料が一日あたり約9000円のほか初期管理費が約9万円かかるという(いずれも自己負担3割の場合)。高額療養費制度が適用されても、負担は大きいだろう。
ケアプランセンターさくら(大阪市西成区)のケアマネジャー、竹内智子さんは、「とくに高齢者が置き去りにされている」と憤る。
「週に数回の通所介護を利用して、なんとか一人暮らしされている高齢者も多くいます。5類に移行しても、コロナに罹患すれば通所サービスは利用できません。今までは、行政から医師や看護師の派遣もあったが、今後どうなるのか知らされてもいません。打ち切られた場合は、在宅死が増えるのではないか。マスクを付ける、外すの議論どころではないのです」
警察庁の調べによると、医療機関外(自宅や施設等)で死亡した方のうち、死後にコロナ感染が判明したのは今年1月だけで過去最多の898人に。コロナ5類移行によって患者の負担額が増え、在宅死のさらなる増加が懸念されている。
出典元:「女性自身」2023年3月28日・4月4日合併号
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