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コロナ禍の3年間で感染症の基本知識と予防法が身につかなかったのはなぜか 新型コロナを終わらせろ
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278803
2023年03月07日 日刊ゲンダイ
3年間で学んだことは…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
「新型コロナがどのように感染するかはもちろん、飛沫が2メートル先に落下することも知らない。知っているのは政府に言われたときにワクチンを打ち、マスクをすればいい、ということだけ。しかも、この2つの効果についてはさまざまな考え方があり、専門家の間でも意見が分かれる。そのため子供たちはワクチンとマスクの効果があやふやだと思っている。この3年間、新型コロナの渦中にいて感染症について学んだのはそのことだけで、本当のことは何も学んでいない。とても驚きました」
こう言うのは公衆衛生に詳しい岩室紳也医師だ。最近、講演会先で接した中学3年生や学校関係者と話していてそう実感したという。
新型コロナウイルスは数万個体内に入らないと感染しない、など感染症の基本さえ知らない人が多すぎると岩室医師は言う。
「今のままでは新たな感染症が出現したときには、同じ騒ぎの繰り返しになるでしょう。むろん、当初、新型コロナは新しい感染症でわからないこともあった。そのため政府も自信をもって話せることが少なかったのかも知れません。しかし、混乱を恐れてか、たとえばエアロゾル感染が明らかになっても従来の情報を修正することを怠った。政府がやってきたことは専門家会議の議論の内容を整理することなく新聞やテレビに報じさせてきただけ。国民の幅広い層に小中学生でもわかる言葉で正しい情報を流す努力がなされていなかった。その結果、多くの国民は『よくわからないが、ワクチンとマスクをしていればいいのだろう』と単純化して理解した気になってしまった」
たとえば、エアロゾルは、酸素や二酸化炭素よりも重い。にもかかわらず部屋の空気の入れ替えといえば一般の人はCO2を減らすための換気でよいと思ってしまう。
「お風呂の湯気をいくら換気扇で外に出そうとしてもできません。それと同じで二酸化炭素より重いエアロゾルはサーキュレーターのような機械を使って追い出さないと出ていかないのです」
自分よがりの学者が原因
新型コロナ禍に3年間も身を置きながら多くの人が感染症についてなぜ学べていないのか? 専門家と言われた人たちが、感染症の予防啓発の難しさを軽視してきたからだ、と岩室医師は言う。
「政府の専門部会に参加した一部の科学者、医師らが議論し、その結果が政府の方針とされるだけだったように思います。私自身もコロナの前は認識していなかったエアロゾルについて、どう伝えたらいいか、試行錯誤をしてきました。伝えようと思ったことが思い通りに伝わらないことは多々あります。ところが政府お抱えの専門家は国民に対して持論を展開するだけで、国民が受け止められる情報発信を行ってきませんでした」
国が税金の中から少なからぬ費用を捻出し学者たちの研究を応援してきたのは、新型コロナのような未曽有な事件で力になってもらいたかったためではないか。
「にもかかわらず優秀で能力のある学者の声や、発信力のある現場の実践者の声になぜ耳を傾けなかったのか。とくに普及啓発を軽視したことが間違いだったと思います。そのため、多くの人にとって3年間は何も得ることのない、空騒ぎの期間に終わってしまった。だからこそまずは、今の新型コロナ騒動を終わらせて、多様なアプローチで新型コロナ対策を議論する新たな場をつくるべきではないのでしょうか」
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