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※週刊ポスト 2023年3月10・17日号 誌面クリック拡大
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変異株未対応コロナワクチンはいつまで打つべきか 「誰を対象にするのか」を議論する時期へ
https://www.news-postseven.com/archives/20230227_1844645.html?DETAIL
2023.02.27 19:00 週刊ポスト NEWSポストセブン
6回目以降も2価ワクチンが使用される予定(時事通信フォト)
政府はあくまで「ワクチン推進」のスタンスを崩さない。しかし、ウイルスの変異に“一歩遅れた”ワクチンに効果はあるのか。専門家に聞いた。
厚生労働省は2月22日、高齢者や重症化リスクの高い人を対象に、5月中にもワクチンの追加接種を開始する調整に入った。全世代を対象にした接種は9月スタートを目処にしており、これで日本は「6回目」のワクチン接種へと進む。
政府は5月にもコロナの感染症法上の位置づけを「5類」に引き下げると表明しており、“ただの風邪”扱いになるなか、全額公費負担でさらなるブースター接種を決めたことになる。全国紙記者が語る。
「5月以降に使用するワクチンはオミクロン株BA.4-5と従来株に対応する『2価ワクチン』になる予定です。アメリカや欧州を中心にさらなるオミクロンの変異株『XBB1.5(以下XBB株)』が猛威を振るうなか、ひとつ前の流行株にしか対応していないワクチンをまた打って効果があるのか、懐疑的な見方もあります」
しかも5月に先行接種を受けた人たちは、秋から冬にかけてさらなる追加接種を可能にする方針だという。間を置かずに7回目が始まるのだ。
「年末年始に想定される感染拡大に備えるためだとしています。現在、コロナワクチンは無料で受けられる予防接種法上の『臨時接種』に位置づけられており、3月末で期限を迎えますが、政府はこの位置づけを2024年3月末まで延長する方針も示しました」(同前)
あくまでもワクチンにこだわる政府に対し、SNSでは〈いつまで打ち続ければいいのか〉〈さすがにこれ以上の接種は躊躇する〉といった声が溢れる。
果たして6回目、7回目は打つべきなのか。関西福祉大教授(渡航医学)の勝田吉彰氏が語る。
「確かにコロナワクチンは、インフルエンザワクチンのように流行する株を予測してその年のワクチンを作ることはできず、変異型の登場に合わせて後から改良していく必要があります。ただし、それで現在のワクチンの有効性が否定されるわけではない。
ワクチンを打つことでできた免疫記憶とそれによる抗体は、新たな変異型に対しても一定程度の効果はあるということは、医学的に証明されています。2価ワクチンがXBB株に無力というわけではないのです」
厚労省も2価ワクチンの追加接種後の中和抗体価がXBB株に対しても高かったと報告している。
ワクチンを打つ岸田文雄・首相(時事通信フォト)
イタチごっこは終わる
昭和大学医学部客員教授(感染症学)の二木芳人氏もこう話す。
「効果のあるワクチンに対してウイルスはその免疫を回避すべく変異をしていく。ワクチンを打つほどウイルスの変異を助長する点は否定できず、感染予防効果が薄れていく可能性はありますが、重症化率や死亡率の低下という観点では2価ワクチンの追加接種は有効です。感染率だけに目を向けてワクチンの是非を論じるべきではありません。
また、現在使われているワクチンは特定の遺伝子情報を投与するmRNA型で、比較的早く新たな変異株に対応させることができる。目下、世界中の研究機関がどんな変異型にも効果がある『ユニバーサルワクチン』の開発に取り組んでおり、これが実現すれば変異株とワクチンのイタチごっこも終わります」
一方、医療ガバナンス研究所の上昌広氏は「2価ワクチンは新たな変異株にも有効だろう」としつつ、こう話す。
「接種対象はもう基礎疾患のある人や高齢者を中心にすべきという意見は出てくるでしょう。健康な現役世代は十分な免疫があると言われており、国を挙げて全世代に接種を推奨する時期は過ぎたという声があります。
ワクチンは稀ですが重篤な副反応もあり、命を落とすケースも考えられる。子供が打つべきかどうかも意見が分かれています。6回目、7回目と接種が続くなかで、“誰を対象にするのか”という議論を深めていく時期に来たのだと思います」
英オックスフォード大学の公開する「Our World in Data」によれば、人口100人あたりのワクチン接種回数は日本が307.78回で世界1位(2月20日現在)。今後も議論を続けながら、ワクチンと付き合っていくことになりそうだ。勝田氏が語る。
「そのうち、何回目という言い方もなくなるのではないでしょうか。インフルエンザのワクチン接種を50回目、60回目と数えている人はいません。コロナワクチンも毎年1回定期的な接種シーズンが来て、希望する人が淡々と接種する。日常の一コマになっていくのだと思います」
“ウィズワクチン”の未来が近づいている。
※週刊ポスト2023年3月10・17日号
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