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上阪 欣史
日経ビジネス副編集長
「全国有志医師の会」という組織がある。訴えているのは、新型コロナウイルスワクチンの接種の即時中止だ。接種の副反応が疑われる死亡例が増加していることなどを受けて、全国の開業北海道帯広市の中心街から十勝地方の原野を車で走ること1時間。大豆から小豆まで豆の産地として名高い本別町の中心部に、ほんべつ循環器内科クリニックはある。
「マスクを取りましょうか」。院長の藤沢明徳医師は診察室にマスクをつけて入ってくる患者にまず、こう声をかける。顔の表情や血色をみないと患者の状態を見極められない上、最近は「(カビの一種である)カンジタ菌が口腔(こうくう)内にいる患者が増えている」ためだという。
クリニックでは2021年末から新型コロナを季節性インフルエンザと同等の扱いにしている。その後の感染拡大期に多くの医療機関がコロナリスクを恐れて発熱患者の診察を敬遠する中でも、多い時には1日30人の発熱外来の診察を続けた。
抗体の「暴走」を懸念
実は藤沢医師自身、コロナワクチンを一度も打っていない未接種者だ。新型コロナウイルス(感染症)が過去に流行した中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)と同系統で、ワクチンを打っても「ADE(抗体依存性感染増強)」を起こしてしまうとの研究結果が明らかになっており、これに基づいて判断した。
クリニックとしても患者らにコロナワクチンを接種することを見送った。かかりつけの患者で接種を希望する人には説得を重ね、それでも接種をしたい人にはほかの医療機関をあたってもらうようお願いした。
ADEとはワクチンの接種によって体内にできた抗体が、何らかの理由によってウイルスの感染や症状をむしろ促進してしまう現象だ。ワクチンの臨床試験は完全には終わっておらず、通常よりも手続きが簡略化された「特例承認」だけだった経緯も接種を見送る判断材料にした。
今ではオミクロン株はすでに弱毒化しており、感染しても大半が軽症か無症状のため、ほんべつ循環器内科クリニックでは「風邪と同じ扱い。コロナを特別な感染症と見なさないため院内でのマスク着用も自由にした」(藤沢医師)という。
マスクを付けずに患者を診察する藤沢医師
藤沢医師は自らの判断が正しかったと信じている。厚生労働省に対する、副反応が疑われる接種後の死亡例や重篤な疾患例の報告が増えているからだ。ワクチン接種と死亡との因果関係は医学的に証明されるには至っていないが、その可能性を示唆する研究結果も出てきている(前回記事「コロナワクチン接種後死亡、遺族が集団提訴も 国は因果関係認めず」参照)。
藤沢医師が懸念するのはやはりADEだ。実際、「接種すれば、感染を防ぐとされる中和抗体だけでなく、感染を増強させる抗体が産出され、ウイルスに感染しやすくなる」可能性が、大阪大学微生物病研究所の荒瀬尚教授や同大の免疫学フロンティア研究センターなどによる研究で明らかになった。その論文は著名な医学誌Cellにも掲載された。
ブースター接種を巡っても「短期的には効果があるように見えるが、接種と次の接種に間をおかなければ、最初に打った時にできた抗体が次の抗体の生成を邪魔する。これでは(オミクロン型など)変異型に合わせたワクチンを接種しても対応した抗体はできにくく、免疫力がつかない」(岡田正彦・新潟大学名誉教授)との指摘がある。この論説は東京理科大学の村上康文名誉教授らも支持する。
これは免疫学の世界で「抗原原罪」と呼ばれ、広く知れ渡っている。
だが、藤沢医師やこだま病院(兵庫県宝塚市)の児玉慎一郎理事長(関西有志医師の会共同代表)は「政府は『効果が期待できる』一辺倒で、説明責任を果たしていない」と批判する。
厚労省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに8〜9月に報告されたデータをみると、40〜49歳など約4割の世代でワクチン未接種者より3回目接種者の方が人口10万人当たりの新規陽性者数が多いことが明らかになっている。藤沢医師らはこのデータもADEや抗原原罪といった現象が起きていることを示しているとみている。
SNSで全国各地に広がる
約半数の国民が2回目接種を終えた昨年9月半ば、藤沢医師は様々な研究論文やデータから危機感を募らせた。「接種は一度立ち止まって考えた方がいいのではないか」。道内で同じ考えの医師と対話アプリ「LINE」で連絡を取り合うようになり、自身を含む15人で11月、「北海道有志医師の会」を立ち上げた。
「我々も地域でまとまりたい。運営方法を教えてほしい」。SNS(交流サイト)で会の活動を公開したところ、他の地域の医師も呼応。今年2月以降、関東や九州など各地域ごとに有志の会が次々と結成され、大同団結。全国有志医師の会へと発展した。藤沢医師は「3月に(重症化率や死亡率が上の世代より極めて低い)5〜11歳向け接種が始まる前に全国的な組織にしたかった」と振り返る。
メンバーは医師以外の医療従事者を含めると計約1300人近くにまで増え、4回目、5回目のワクチン接種の中止などを訴える。ホームページでは歩行障害や心筋炎、帯状疱疹(ほうしん)、腎炎など「ワクチン後遺症」に対応している全国の医療機関を紹介。副反応のデータベース検索サイトのような「接種後、体調不良になった人に役立つようなコンテンツ」(藤沢医師)を用意している。
藤沢医師のもとにはワクチン後遺症に苦しむ患者が、地元の十勝地方だけでなく道内全域から訪れる。「これまで2回目接種後に呼吸障害など症状が出た人を50人は診察してきた。3、4回目接種後の患者を含めて今も100人ほどの治療を続けている」
厚労省はADEを否定
藤沢医師の活動は本別町の行政にも影響を与え、5〜11歳のワクチン接種券については一律送付ではなく、希望者のみ受け付ける仕組みにしている。道内では札幌市の札幌禎心会病院が4回目のワクチン接種の中止を8月に決めた。病床数は279床と大病院に分類され1日当たりの外来患者数も450〜470人と多い。中止の理由は藤沢医師とほぼ同じだ。
厚労省は新型コロナワクチンでADEが起きているとの見方を否定する。「ワクチン接種後のADEについては疑いが見られない。(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の)副反応検討部会でも議論されたが、現段階でADEは確認されていない」(予防接種室)
これに対し藤沢医師は「日本政府は接種間隔を5カ月から3カ月に短縮し、4回目、5回目の接種に前のめりになっている。国民の皆さんにはコロナワクチンのリスクを踏まえ、立ち止まって接種を考えてほしい」と訴える。
厚労省と有志医師の会の間で、リスク認識には大きな開きがあるままだ。
ワクチン接種の是非を巡っては、国会議員の間でも「子どもへのワクチン接種とワクチン後遺症を考える超党派議員連盟」が6月に発足した。自民党や立憲民主党など現職の国会議員27人が参加。医学的な統計データに基づき、ワクチンのリスクとベネフィットを多角的に考えることを狙いとしている。
日本感染症学会などは8月、「オミクロン株は順調に経過すれば風邪と大きな違いはない」との声明を公表している。
新型コロナの流行がパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(一定期間で繰り返される流行)へと移りつつある中、「ウィズコロナ」時代のワクチン戦略を考える段階に差し掛かっている。その前提として、接種後に副反応が疑われる死亡事例や重篤な疾患事例がなぜ多発しているのか、政府には説明責任が求められる。
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