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中日・木下投手の死去は「労働災害」の色彩が濃いのに、なぜ遺族に補償金は支払われないのか コロナワクチン接種後死亡を追う
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/313544
2022/10/28 日刊ゲンダイ
ファンの追悼メッセージで埋め尽くされた中日・木下雄介投手の写真(C)共同通信社
働く人が新型コロナワクチン接種で健康被害を受けた場合、労働災害の対象になるのだろうか。
厚生労働省は、接種は「労働者の自由意思に基づく」のだから健康被害が生じても労災保険給付の対象外としている。ただし、ワクチン接種が業務遂行上、必要な医療従事者や高齢者施設の職員らに健康被害が生じたら労災保険の対象となる。はたして、そう杓子定規にいくものだろうか。
中日ドラゴンズの投手・木下雄介さん(享年27)は、新型ワクチン接種8日後、トレーニングの最中に倒れた。それまで全くふだんと変わらない生活をしていた。入院後の検査や病理解剖によって心臓弁膜症と不整脈が潜んでいたことがわかる。つまり、潜在的な疾患が悪化したところにワクチン接種が原因と考えられる心筋炎が重なり、さらにトレーニングによる肉体的負荷が加わって、致死性不整脈に至ったと主治医らは推認する。木下さんの事例は労働災害的な色彩が濃い。
彼が中日球団と交わした「セントラル野球連盟通用野球選手契約書」11条には「障害補償」として「選手が本契約にもとづく稼動に直接原因として死亡した場合、球団は補償金5000万円を法の定める選手の相続人に支払う」と記されている。個人事業主のプロ野球選手に通常の労災保険は適用されないがスポーツ分野に詳しい弁護士は「この条項は労災補償的な考え方に立つ」と言う。補償金の支払いには大手損害保険会社が介在する。
ところが、木下さんが亡くなって1年2カ月が過ぎても遺族に補償金は支払われていない。
契約書には間違いなく障害補償が定められているのに
これまでの週刊誌報道などによれば、倒れる直前、木下さんがトレーニングルームで下半身に大きな負荷をかける「レッグプレス」をしていたか否かで遺族側と球団側の意見が異なり、保険会社への補償申請に至っていないという。
遺族側は、木下さんが重いウエート(中日は通常200キロ)を座って足で押し上げる鍛錬をしていたとの証言を得ている。しかし球団側はなぜか、かたくなにそれを否定しているようだ。
この件について、中日球団にオフィシャルサイトの広報部コールセンターを通して取材を申し込んだ。が、遺族との交渉は「代理人の弁護士に委ねている」と説明されただけで、取材を受けるかどうかの返答は期日までに届かなかった。
木下投手の妻、茜さんは一家の大黒柱を失い、2人の幼い子どもを抱えて困惑している。
「子どもはまだ幼稚園に通っていて、今後の生活を考えると不安です。契約書には間違いなく障害補償が定められています」
ただでさえ、コロナ禍でひとり親家庭への支援が声高に叫ばれる。補償交渉に誠実さが必要なのは言うまでもない。 =つづく
山岡淳一郎 ノンフィクション作家
1959年、愛媛県生まれ。「人と時代」「公と私」を共通テーマに政治・経済、医療など分野を超えて執筆。著書は「ゴッドドクター 徳田虎雄」「原発と権力」「後藤新平 日本の羅針盤となった男」ほか多数。「ルポ副反応疑い死」近刊予定。デモクラシータイムス同人。
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