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伊方・志賀原発の廃炉決断不可欠
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2024年5月 5日 植草一秀の『知られざる真実』
5月4日午前9時40分ごろ、愛媛県、高知県で最大震度3を観測する地震が発生した。
震源地は豊後水道で、震源の深さはおよそ40キロメートル、地震の規模を示すマグニチュードは4.0と推定されている。
最大震度3を観測したのは、愛媛県の宇和島市、高知県の宿毛市。
4月17日午後11時過ぎにも豊後水道を震源とする地震があった。
このときのマグニチュードは6.6。
愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱の揺れを観測した。
四国で震度6弱以上の揺れを観測したのは1919年の統計開始以来、初めてのこと。
震源は豊後水道で震源の深さは約38キロ。
いまから8年前の2016年4月には熊本県から大分県にかけて強い地震が連続して発生した。
群発地震の震源は東西100キロメートルの範囲に広がった。
この熊本での一連の地震の震源延長上に西日本を縦断する「中央構造線」と呼ばれる大規模な断層帯が存在する。
本年4月に発生した豊後水道での地震は「中央構造線」上で発生したもの。
2016年4月14日夜に熊本市近郊で巨大な地震が発生。
さらに、4月16日未明に14日の地震を上回る本震が発生。
熊本県益城町で、14日と16日の両日に震度7の揺れを観測した。
これをきっかけに阿蘇山周辺から大分県へとマグニチュード5クラスの地震が広がった。
九州では、大分県の有名な温泉地である由布院に源を発し別府湾に注ぎ込む「大分川」の下を長さ1000Kmに及ぶ長大な大断層帯「中央構造線」が通っている。
地震は九州を横切る「別府−島原地溝帯」を東に進んだ。
地溝帯というのは両側を断層で挟まれた幅の広い谷のこと。
別府−島原地溝帯は西日本を横切る長大な断層の連なり「中央構造線」の西端に当たる。
中央構造線の周辺には並行して多くの活断層がある。
安土桃山時代末期の1596年9月1日に中央構造線沿いの愛媛県でマグニチュード7クラスの慶長伊予地震が発生。
その3日後に約200キロメートル離れた大分県で同程度の慶長豊後地震が発生。
その翌日に兵庫県で慶長伏見地震が発生した。
1995年に発生した阪神淡路大震災も中央構造線近くを震源とする地震。
本年4月の豊後水道地震も中央構造線上の地震。
中央構造線にはひずみが集中しており、周辺には活断層帯が多い。
九州の別府−島原地溝帯には熊本地震を引き起こした日奈久(ひなぐ)断層帯や布田川(ふたがわ)断層帯、大分の地震との関連が疑われる別府−万年山(はねやま)断層帯などの活断層がある。
中央に巨大な阿蘇山が存在し、雲仙岳がある島原半島から熊本県八代市沖までが活断層の密集地帯。
中央構造線の活断層におる地震が活発化する恐れがある。
問題は愛媛県に所在する伊方原子力発電所。
これまでのところ、重大な問題は確認されていないが、愛媛県の伊方原発近辺で巨大地震が発生すれば伊方原発の安全性が問題になる。
伊方原発は現在稼働中。
能登半島地震を踏まえれば原発周辺地域住民の避難は不可能になる。
同様の問題が石川県に存在する。
1月1日の能登半島地震で震度7の揺れが観測された。
観測されたのは輪島市と志賀町である。
北陸電力志賀原子力発電所は石川県志賀町に所在する。
石川県志賀町にある地震計は2828ガルの地震加速度を観測した。
東日本大震災並みの強烈な揺れが観測された。
不幸中の幸いで、志賀原子力発電所は運転休止中だった。
それでも変圧器が壊れ、外部電源の一部が絶たれる事故が発生した。
志賀原発が運転中であれば過酷事故が発生した疑いを払拭できない。
東大地震研究所の佐竹健治教授らの調査によって、能登半島近辺の活断層の一部が今回の地震でまったく動いていないことが判明した。
能登半島と佐渡の間に位置するNT3と志賀町近辺のNT9が動いていない。
この二つの断層が割れ残りで、今後大きく動く可能性がある。
その際に巨大地震が発生する可能性が警告されている。
能登地震が収束したと見るのは時期尚早。
この事態を踏まえて、原発稼働の全面停止を直ちに検討する必要がある。
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