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2023年4月19日 20時18分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/245073
東京電力は19日、福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の1、2号機間にある高濃度に汚染された配管の撤去作業を10カ月ぶりに再開した。ところが、改良して大型化した切断装置が配管に近付けず、作業を断念。事前の現場把握が不十分だったとみられる。失敗続きでほとんど進まない撤去作業は、再開後もずさんな運用が改善されない。
福島第一原発1、2号機間の汚染配管 2011年3月の事故直後、原子炉格納容器の破裂を防ぐため、炉内の汚染蒸気を放出するベント(排気)に使われて高濃度に汚染した。直径約30センチ、長さは1号機側が約65メートル、2号機側が約70メートル。1号機使用済み核燃料プールからの燃料取り出しに向け、水素爆発で上部が吹き飛んだ建屋にかぶせる大型カバーの工事の障害になり、撤去の必要がある。
◆作業前には発電所構外で配管などの配置を模して訓練したが
東電によると、作業は19日午前1時ごろに開始。昨年6月の作業で、両端を切る必要がある配管の片側を9割ほど切った状態で中断した部分を含め、約8メートル分を切断する予定だった。
てんびん状の切断装置(長さ約18メートル、重さ約40トン)を大型クレーンでつり上げ、遠隔操作で切断地点に下ろそうとしたが、近くにある別の配管の部材が邪魔で近付けなかった。作業を断念し、午前6時ごろに切断装置を回収した。
東電は昨夏以降、工法を見直し、装置に新たな切断器具などを搭載。従来の長さ約12メートル、重さ約12トンから大型化した。作業前には、発電所構外で配管などの配置を模して訓練したが、広報担当者は取材に「現場の再現が十分にできていなかった可能性がある」と説明した。装置に追加した部品を外すなどして、作業再開を目指すという。
撤去作業は昨年3月に開始。計約135メートルを26分割にして撤去する計画だったが、これまでに撤去できたのは1本目の約12メートル分にとどまっている。
東電は工程も変更し、別の工事の障害になる約100メートル分に絞って8分割にして撤去し、残りは後回しにする。当面の撤去を5月中をめどに終える計画だったが、作業初日に切断装置の改良が裏目に出る想定の甘さを露呈し、再び振り出しに戻った。(小野沢健太)
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