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2023年1月24日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/227004
東京電力は柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を2023年10月から順次、再稼働させる前提で、値上げ幅を計算した。ただ、同原発はテロ対策の不備やトラブルが相次ぎ、再稼働のめどは全く立っていない。実現可能性が低い原発再稼働を織り込んだ料金設定に対し、専門家は「理解しがたい」と批判している。(砂本紅年)
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◆テロ対策不備、配管に直径6センチの穴
東電は7号機を23年10月から、6号機を25年4月からそれぞれ再稼働することを織り込んだ。これにより火力発電の燃料調達費を抑え、値上げ幅を使用量1キロワット時当たり2.1円圧縮する効果があるとした。
しかし、同原発は21年、多くの侵入検知装置が故障するなどテロ対策の不備が相次いで発覚。原子力規制委員会が事実上の運転禁止命令を出している。
翌22年には、7号機のタービン設備の配管が11年間点検されず、腐食による直径6センチの穴が見つかった。地元の不信感は根強く、再稼働への同意を得るのは容易ではない。
東電ホールディングスの小早川智明社長は23日の会見で「再稼働は(料金圧縮のため)あくまで算定上織り込んだが、見通しは立っていない。時期を申し上げる状況にないが、改善に努めているところ」と説明した。
◆「再生エネ比率を高める転換期ととらえるべきだ」
福島第一原発事故後の12年7月、経営危機に直面した東電に対し、政府と大手電力などでつくる「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の前身組織が1兆円を出資し、東電は実質国有化された。それ以降、柏崎刈羽原発の再稼働を織り込んだ経営再建計画を3回にわたって公表してきたが、再稼働は実現せず見直しを余儀なくされている。東電が目指す原発に依存した経営は既に限界がきている。
龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「運転禁止が解除されていない原発の再稼働と、電気料金の設定を結び付けるという判断は理解しがたい」と指摘。その上で「エネルギーを取り巻く困難な現状は、火力や原子力を減らし、再生可能エネルギーの比率を高めるための転換期ととらえるべきだ」と話す。
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