しかし、この経済制裁は、ロシアにではなく、経済制裁に参加した国の自国経済に打撃を与えています。米国におけるガソリン価格、食料品の高騰等々です。逆にロシアのルーブルはドルに対して史上最高の高値を誇っています。Foxニュースはそのことを指摘してバイデンをアホと呼んでいます。もっとも日本では物価が上昇すれば、消費税相当額が増加して国はウハウハなので、対策に乗り出す意向は見られません。

その代わりに出てきたのは、「ロシアの経済制裁」によって消費者物価が上がるというフェイク報道です。日本経済新聞の報道がこのたぐいです。このフェイク報道に簡単に騙される国民性は、まったく残念なことです。また、一旦「踏み絵」を踏んでしまったマスコミも自制心をなくしています。自分が体制側にいることを示さないと、お礼周りが怖いということでしょう。

YouTubeの世界では、間断なくフェイク情報が出現しています。ロシアがキエフの北側から東部、南部に「攻撃軸」を変えたときに、ハリコフの東からウクライナの反撃が始まるという報道があり、ウクライナ軍が「威風堂々」ロシア領内を進撃している動画が出現しました。思わず戦況地図を内容とするチャネルを探してしまいました。

ロシアが経済制裁をしているという建前で、経済封鎖を解除するためのオデッサにいるウクライナ軍をロシア艦隊が攻撃したというニュースもありました。当然素性のわからない無名のニュースチャネルではあります。

米国のハプーンを使ってウクライナ軍が大反撃にでるという最新ニュースもありますが、ウクライナ軍は基本的に大規模塹壕にたよる守備的陣形を採用しているので、いざ攻勢にでると、大きな損害を覚悟するということになります。対してロシア側は、塹壕ではなく可動的な各軍の連携を基にした極めて高度な守備体制を引いているように思われます。必要があれば、すぐに反撃に映ることも可能です。

とりあえずこの攻勢はウクライナ軍にとって、「最後」の攻勢になるので、ゼレンスキーはロシア側がまったく受け入れる可能性のない停戦案を提示しました。ロシア軍が大敗する可能性は当然あるのですが、ロシア軍は大敗しない状態で時間を稼げば、政治情勢が大きな変わる、例えばアメリカ国内でバイデンが政治的に苦境に立たされる、途上国・資源国が結束を示す、経済制裁に参加する国から落ちこぼれがでる等々が十分期待できるので、あまりあせらないでしょう。あせっているのは、アメリカ・イギリスでした。ダボス会議も思ったような宣伝効果がないように思われます。