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※2022年1月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年1月7日 日刊ゲンダイ2面
【年末年始で拡大、去年と同じ大失態】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 7, 2022
「また緊急事態宣言」なら内閣の責任を問わなければいけない pic.twitter.com/Z8p8V2qm4A
※文字起こし
とうとう新型コロナ感染拡大の「第6波」に突入してしまった。
6日の日本全国の新規感染者は、4475人だった。1日の感染者が4000人を突破するのは、昨年9月18日以来だ。内訳は沖縄981人、東京641人、大阪505人。沖縄と山口の1日当たりの新規感染者は、過去最多を更新している。
沖縄、山口、広島の3県には「まん延防止等重点措置」が適用されることになった。期間は1月末まで。これでまた3県の飲食店は午後8時までの「時短営業」を強いられる。すでに沖縄の飲食店には、予約キャンセルの電話が殺到しているそうだ。3県で感染者が急増したのは、大規模クラスターが発生した在日米軍が原因である。在日米軍のずさんな対応によって、オミクロン株が染み出し、市中に蔓延してしまった。
とにかく「第6波」の感染力はハンパじゃない。4日の全国の新規感染者は1268人だった。それが5日には2638人となり、6日には4475人と、1日でほぼ2倍のペースで増えている。6日の東京の641人は、先週木曜日(64人)の10倍である。東京の新規感染者が1000人を超えるのも時間の問題だろう。さすがに、京大の西浦博教授は「これまでで最も速い増加だ。即座の対応がないと流行が拡大する」と危機感を強めている。
いったい、この「第6波」はどこまで広がるのか。米ワシントン大医学部「保健指標評価研究所」の予測によると、日本の1日当たりの新規感染者は、1カ月後には約10倍となり、2カ月後の3月上旬にようやくピークに達するという。3月上旬の新規感染者数は2万8775人に達する見込みだ。多くの感染者が入院できずに自宅で亡くなった「第5波」のピーク2万5992人を上回る。
「オミクロン株は重症化しないとされていますが、このスピードで感染が広がったらどうなるのか。日本医師会の中川会長は、速いスピードに『医療機関が対応できなくなる恐れがある』と懸念を表明しています。実際、フランスは医療逼迫が迫っているだけに心配です」(厚労省関係者)
このペースでは、「まん延防止等重点措置」ではなく、いずれ全国に「緊急事態宣言」が発令されるのではないか。
なぜ直接在日米軍に抗議しないのか |
いま頃、岸田政権は慌てているが、オミクロン株の脅威は海外の事例を見れば、いくらでも予測できたはずだ。
英国では先月22日、1日当たりの感染者が約10万人に拡大。WHO(世界保健機関)も同22日、「オミクロン株に特段の注意を払う必要がある」と警戒を呼びかけていた。
なのに岸田首相はまったく危機感がなかった。口先では「最悪の事態を想定」なんて言っていたが、国内の感染状況が落ち着いていたことに安心し、事態を甘く見ていたのは間違いない。本来なら毎日会見を開いて、注意を呼びかけてもよかったのに、国民への強いメッセージは一切なかった。
決定的なのは、在日米軍に対する水際対策のいい加減さだ。米軍関係者は「日米地位協定」に基づき、検疫の対象外となっているため、昨年9月から年末まで、ずっとPCR検査することなく日本に入国し続けていた。かなりの数の米兵がオミクロン株に感染したまま入国したのは間違いない。
しかも、米兵はマスクなしで街をうろつき、沖縄では複数の飲酒運転まで発覚。毎日新聞によると、基地内には〈この施設ではワクチン接種済みの方はマスク着用の義務はありません〉と記された張り紙がしてあったという。こんなユルユルな管理体制を放置した結果、在日米軍からオミクロン株が染み出し、市中感染を招いたのだ。
しかも、政府がこの実態に気付いたのは先月21日だったというのだから、いかに危機感が薄いかがよく分かるというものだ。もともと、政府と在日米軍は、日本の水際対策に近い措置をとることを確認し合っていた。ところが、米軍は昨年9月、日本側に報告せず、勝手にPCR検査を免除する方針に変更していた。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「米軍が昨年9月に勝手に方針を変えていたことに岸田首相は憤慨し、林外務相に『米国に抗議しろ』と命じたそうですが、本来ならバイデン大統領に直接抗議すべき案件です。それをしないのは、岸田首相が本気で怒っていないからでしょう。その証拠に、沖縄県の玉城知事が求めた地位協定の見直しを、岸田首相は否定しています」
ご自慢の「聞く力」を発揮すべき相手は米国ではなく日本国民のはずだ。
後手後手だった菅政権とどう違うのか
年末年始に始まった今回の「第6波」は、ちょうど1年前、菅政権の時に発生した「第3波」と同じ構図だ。菅前首相は経済活動が止まるのを恐れて、コロナ対策が後手に回り、その結果、2021年の年明けから「第3波」を招いた。
岸田は「最悪の事態を想定」と、前政権との違いを強調しているが、「経済を止めたくない希望的楽観論」は同じではないか。とても菅政権の失敗から学んでいるとは思えない。
「岸田首相は、経済を優先させ、コロナ対策が後手後手になった菅前首相と同じ道をたどっているように見えます。例えば昨年末、観光需要喚起策『GoToトラベル』について『年末年始の感染状況を見極めた上で検討する』と言っていました。海外であれだけオミクロン株が広がっていたら、普通は『GoTo』などという発想にはならないはず。前政権で感染拡大の一因となった『GoTo』にこだわるのは、経済回復を急ぎたい意思の表れでしょう。菅前首相と同じく『経済を止めたくない』という思いを捨てきれていないのだと思います」(本澤二郎氏=前出)
岸田は「対話重視」の姿勢を打ち出し、「聞く耳」を持たなかった菅との違いをことさら強調しているが、一体どこが違うのか。
再び緊急宣言なら弱者はギブアップ |
もし、このまま感染拡大が止まらず、再び「緊急事態宣言」が発令されるような事態になったら、すべて岸田の責任だ。
最初から強い危機感を持ち、ブースター接種を進め、在日米軍に強い態度で対応していたら、ここまで感染が急拡大することもなかったはずである。ところが、在日米軍が感染拡大の要因なのに、この期に及んで「感染ルートを断定するのは難しい」などと在日米軍を擁護しているのだから、どうしようもない。
コロナ禍が2年も続き、非正規など弱い立場の労働者ほど苦境に立たされている。再び「緊急事態宣言」が発令されたら、弱者はもう持たないのではないか。実際、「時短営業」を強いられることが決まった沖縄の飲食店からは、「やっと客が戻ってきたのに」と悲鳴が上がっている。
「コロナ禍によって、すでに飲食業や旅行業界はギリギリの状態です。2年間耐え、ようやくコロナ禍も終わりそうだと期待していたのに、また緊急事態宣言が発令され、経済活動に制約がかかるようになったら、心が折れる人も出てくるでしょう。いま政府がやるべきことは、ブースター接種の加速や特効薬の確保など、とにかく国民に“安心感”を与えることです。日本人は、たとえ緊急事態宣言が発令されなくても、感染が拡大していると自粛してしまう。その結果、経済が縮小し、ますます弱者にしわ寄せがいくことになります」(経済評論家・斎藤満氏)
多くの国民は「まん延防止等重点措置は仕方ないか」と諦めているかもしれないが、過去2年間の教訓を生かせば、手の打ちようは、いくらでもあったはずである。「聞く耳」首相には責任を取らせる必要がある。
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