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維新躍進で御用ジャーナリスト勢力図に異変!? ほんこん 、橋下、宮根ら維新応援団が増殖、常連の田崎スシローは…
https://lite-ra.com/2022/01/post-6136.html
2022.01.03 御用ジャーナリスト大賞(後編)5位〜1位発表! リテラ
左・橋下徹Twitter/右・『ひるおび!』に出演する田崎氏
権力に尻尾をふるコメンテーターのみなさんを表彰するリテラ恒例の「御用ジャーナリスト大賞」。前編(https://lite-ra.com/2022/01/post-6130.html)で紹介した10位から6位には谷原章介、ブラマヨ、三浦瑠麗、岩田明子、夏野剛などなかなか香ばしい顔ぶれがランクインしたが、後編では5位から2位、そして大賞を発表しよう。
今回も、菅政権の東京五輪強行開催を擁護した評論家、コロナ矮小化に躍起になったネトウヨ芸人、政権の意向を受けて野党叩きにいそしんだワイドショー、吉村維新の露骨な宣伝係を演じたMCとコメンテーターがズラリ顔を揃えている。さて、2021年、もっともタチが悪かった御用ジャーナリスト対象は誰なのか!? ぜひ最後まで読んでいただきたい。
【5位】ほんこん(お笑い芸人)
陰謀論をテレビで撒き散らかすネトウヨ芸人がコロナ矮小化に加担! 高橋洋一内閣官房参与を露骨に擁護し、ついに菅前首相とも…
2020年度の「御用ジャーナリスト大賞」では7位にランクインとなったほんこんだが、今年は2ランクアップで5位に。もともとお笑いの腕やトーク力はさっぱりで、相方の板尾創路が俳優に専念し始めるとテレビで見なくなっていたほんこんだが、安倍政権下でネトウヨ丸出しの政権擁護や中韓攻撃をはじめたことで復活。2020年はそのネトウヨぶりがさらに本格化し、極右雑誌「正論」(産経新聞社)に登場。さらに2021年はついにヘイト雑誌「WiLL」(ワック)にまで進出するというネトウヨ芸人道を一直線に進んだ。
しかも、そのネトウヨ度は深刻で、1月におこなわれた米・バイデン大統領の就任式の際も陰謀論を平然と主張。1月9日放送の『正義のミカタ』(朝日放送)では、連邦議会議事堂乱入事件について「警官の方が招き入れている映像も残ってる」「ANTIFAっていう証言も出ている」などと発言し、ネット上では「BPO案件だ」という声があがった。
だが、さらにあ然とさせられたのは、菅義偉首相が内閣官房参与として重用した高橋洋一の「さざ波」発言時の露骨な擁護だ。
高橋氏は5月、新型コロナによる死者が1万人を超えていたにもかかわらず〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑〉とツイートし、問題に。菅首相の任命責任が問われる事態となり、その後、高橋氏は退職に追い込まれたが、高橋氏が批判を浴びていた際にも関西の番組で高橋氏と共演する吉本のネトウヨ芸人は揃って擁護を展開。
たとえば、東野幸治が〈次はさざ波問題か。コレ以前から言ってた事なのになぁ。さざ波なのにひっ迫してるのが問題ですって。T先生が叩かれていて、ZやNHKやマスゴミの人達は喜んでるだろうなぁ〉とツイートすると、ほんこんもこう主張したのだ。
〈ホンマやでT先生が全ワイドショー出て論理的に説明してあげればいい でも理解できるかな? 疑問です タレントさん達は情弱が露呈しましたな ブラマヨ吉田は賢い〉
言っておくが、高橋氏は「さざ波」だと主張するために掲げたグラフは、インド、カナダ、ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリスと日本の新規感染者数を比較したものにすぎず、ニュージーランド、オーストラリア、台湾などと比べれば人口あたりの死者数は日本のほうが断然多かった。あるいは陽性率を比較すると、日本はネパール、インド、ドイツについで深刻で、アメリカやフランス、イギリスを上回っていた。いや、高橋氏の掲げたグラフを見ても、右端の直近のあたりでは、日本の新規感染者数がすでにイギリスを超えていたのだ。
実際、日本はその後、新規感染者数がどんどん膨れ上がり、そんななかで東京五輪を強行開催したことでさらに悪化。8月13日には新規感染者数が2万人を突破し、8月にコロナで自宅死した人数は250人にも及んだ。当時、高橋氏は「こんな感染状況で五輪を中止したら、世界で笑われる」などと述べ、ほんこんもそうした主張に丸乗りしていたが、これがいかに愚論であり、悲惨な結果を招いたかは、あらためてその後の数字を見れば一目瞭然だ。
ところが、ほんこんはいまなお高橋氏とつるみ、自身のYouTubeチャンネルの動画でも共演をしつづけ、年末も「もしも高橋洋一が総理大臣だったら」などというふざけた動画をアップする始末。また、高橋氏も自身のYouTubeチャンネルで菅前首相をゲストに招いた動画を投稿していたが、12月28日にはほんこんがTwitterに菅前首相の名刺を手に持つ自身の写真を貼り付けた上で〈昨日菅前総理から頂いた 「褒めてますで」と言ったらめっちゃウケた〉とツイート。政権擁護を繰り返してきた結果、なんと菅前首相に食い込むまでにいたっているのだ。
しかも問題なのは、このように悪質な陰謀論を公共の電波でがなり立てるというBPO案件級の問題を繰り返しながら、ほんこんはいまだに関西を中心にテレビに出続けているということ。ほんこんは政権のみならず維新応援団でもあるが、今年もこんなネトウヨ芸人をテレビはありがたがって出演させつづけるのだろうか。
【4位】田崎史郎(政治評論家)
安倍・菅政権のコロナ失政をごまかし、総裁選では二股、岸田政権ができたら岸田首相とちゃっかりお食事
御用ジャーナリストの代名詞的存在であり、このランキングでも毎年上位常連となってきた「田崎スシロー」こと田崎史郎氏だが、2021年は“ご主人様”のひとりである菅首相が途中で辞職。自民党総裁選ではもうひとりのご主人様・安倍元首相の推す岸田・高市につくのか、このところ急接近していた河野・小泉コンビにつくのか腰が定まらず、後半は存在感が希薄になった。
しかし、菅首相が辞任するまでは、そのコロナ失政や東京五輪強行を支離滅裂な論理で擁護しまくっていた。いや、それだけじゃない。菅首相が抜擢した山田真貴子内閣広報官に菅の長男・正剛氏ら東北新社幹部との違法会食が判明。山田広報官がいきなり入院してそのまま辞職するという露骨な「山田隠し」がおこなわれたときも、田崎氏はまるで山田氏自身が保身で勝手に入院したかのように解説。挙げ句、山田氏が受けた7万円超えの違法会食についても、「山田さんは3万円しか食べていないんですね」などと発言していた。山田氏は国家公務員倫理規定で禁止されている利害関係者の接待を受けていたことが問題になっていたというのに「7万円ではなく3万円分しか食べていない!」などと食べた量を強調したのだ。
このように、アクロバティックすぎてもはや擁護にすらなっていない世迷いコメントを連発した田崎氏だったが、2021年で忘れてはならないのが、3月16日に『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で発したこのコメントだろう。
この日、田崎氏は「やっぱりPCR検査なんです」などと言い出し、こうつづけたのだ。
「僕はいまでも覚えているのが昨年(2020年)のクルーズ船のことがあったとき、PCR検査を300件しかやる能力がないという話だった。6月ごろでしたか、安倍政権時代の安倍総理の側近の人が『悔しいけれども、玉川さんの言うとおりだ』と。『PCR検査をしなきゃいけなかったし、いま、それをしないといけない』(と言っていた)」
ご存知のとおり、『モーニングショー』レギュラーの玉川徹氏は早い段階から「PCR検査を増やすべき」と指摘しつづけ、「PCR不要派」の橋下徹氏などから名指しで猛攻撃を受けてきた人物。官邸がワイドショーを中心にテレビ番組の監視をおこなっていたことが情報公開請求によって明らかになったが、そこでも玉川氏はコメントが仔細に書き起こされ、監視対象とされていた。
それを、1年以上も経って田崎氏は「悔しいけれども、玉川さんの言うとおりだ」と安倍首相の側近が話していた、などと言い出したのである。
といっても、田崎氏は降伏宣言をしたわけでも反省したわけでもない。そのあとに、「安倍首相が『厚労省にいくら言っても馬耳東風なんだ』といっていた」「厚労省が悪いのか、その先の保健所に問題があるのか、さらにその先に問題があるのか、わかりませんけども、いま、それが現実」などと付け加えたのだ。
2021年になると、さすがにPCR検査の必要性を疑う声は小さくなり、むしろ日本のPCR検査の遅さについて責任を問おう声が改めて大きくなっていた。そこで、安倍元首相やその周辺があらためて“悪いのは厚労省や保健所”と責任逃れしようと、田崎氏を使ったのだろう。
自分たちの失政で多くのコロナ犠牲者を出したというのに、この期に及んで責任逃れの情報操作とは、安倍元首相の悪質さにあきれ果てるが、これはその手足として動いている田崎氏も同罪だ。
しかも、田崎氏は12月27日に岸田首相と会食するなど、岸田政権にもがっつり食い込み始めている。「田崎スシロー」はまだまだ健在、ということだろう。
【3位】八代英輝+恵俊彰(『ひるおび!』MC・コメンテーター)
八代弁護士「共産党デマ」発言だけではない! 恵は維新・松井の野党ウザ絡みをアシスト、番組ぐるみで野党ディス
2020年の「御用ジャーナリスト大賞」でも4位にランクインした『ひるおび!』(TBS)だが、2021年の同番組も、司会の恵俊彰とレギュラーの八代英輝弁護士を筆頭に番組として政権への御用ぶりが全開となった。
とくにひどかったのが、東京五輪の強行開催から菅首相の失脚、自民党総裁選にいたる報道ぶりだ。
まず、東京五輪の開会式直前の7月23日にはサッカーやソフトボールの日本チームの活躍、ブルーインパルスの中継に大はしゃぎし、開催期間中も新型コロナの感染状況や医療問題はほとんどそっちのけで金メダルラッシュの五輪の礼賛報道を繰り返した。しかも、五輪強行開催を基点に感染状況が悪化して自宅死が続出したというのに、菅首相がコロナ対策を放り出して権力闘争に明け暮れていることを徹底批判することもなく、9月に入ると自民党の党内政局に丸乗り。総裁選の告示もまだされていない状況で出馬に意欲を示している岸田文雄と高市早苗を生出演させる始末だった。
しかも、そうして総裁選報道に明け暮れて自民党のPR機関に成り下がる一方、とんでもないデマ発言まで飛び出した。八代弁護士が9月10日放送で発した「共産党はまだ『暴力的な革命』というものを、党の要綱として廃止してませんから」「よくそういうところと組もうという話になるな、というのは個人的には感じますね」という発言だ。
当時、本サイトでも言及したように、そもそも日本共産党の「綱領」には「暴力的な革命」などという文言は一切なく、八代弁護士の発言は完全なデマ。そのため、13日には局アナがこの点について番組内で訂正・謝罪したが、ところが八代弁護士は「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした」などと謝罪のフリをしながらデマを上塗りするような姑息な対応をとったため、八代弁護士と『ひるおび!』に対する批判はますます高まり、TBSや番組スポンサーにも抗議の声が殺到。番組スポンサーの一つであるキユーピーがCM放映を休止する事態に陥り、17日の放送で八代弁護士が“2度目の謝罪”をすることとなった。
当時、れいわ新選組の山本太郎代表がこの八代発言の共産党デマ攻撃の背景について、「まともな仕事をされている共産党に対して、ジャマな存在だということをああいう形で嫌がらせするっていうのは、ちょっと確信犯に近いだろうなと思います」「だって今、政治の世界のなかで反社って言ったら、自民党と維新でしょ」と喝破していたが、ようするに八代弁護士および『ひるおび!』はあきらかに「野党共闘に水を差す」という自民党政権の意向に乗っかったデマを喧伝したのである。
だが、驚くべきことに『ひるおび!』はその後もひどかった。デマ発言問題を取り繕うためなのか、10月5日放送では野党4党の幹部の生討論をおこなったのだが、日本維新の会・松井一郎代表が立憲民主党の福山哲郎幹事長(当時)や日本共産党の小池晃書記局長にウザ絡みを続けたせいで1時間近く討論の時間を取りながら各党が自党の政策についてまともに語れたのは討論終了間際、4党合わせてわずか8分程度。
しかし、ひどかったのは松井氏だけではなく、番組構成と進行自体が“野党下げ”のために仕掛けたのかと言いたくなるようなもので、とにかく最初から安倍・菅政権の問題点の検証もなく、各党の政策をろくに語らせることもせず、司会の恵の質問も「どう組むか」に終始。討論中、画面右上には「野党4党候補者一本化へ 衆院選での選挙協力可能?」というテロップも出ており、野党共闘に水をさすことを意図しているとしか思えないものだった。実際、松井氏が野党共闘ディスを始めたのも、番組がわざわざ「選挙目当ての野党談合にしか見えない」という松井氏の発言をフリップで紹介。これについて司会の恵が松井氏に発言を促したのがきっかけだった。ようするに、松井氏のウザ絡みはハプニングではなく、番組側が共犯的に仕掛けたものだったのだ。事実、この日の『ひるおび!』はその後も野党ディスに終始した。
そんななか、ひとり正論を吐いたのがお笑いコンビ「フォリーンラブ」のバービーで、「お一人ずつちゃんと聞けたほうが(良かった)。この間の(自民党)総裁選のときは、お一人ずつ聞けたじゃないですか」「この間の一人ひとりよりも時間が少ないのはちょっともったいないなって。報道の仕方として、という意味で」と番組の野党に対する不公平な扱いを毅然と指摘。しかし、恵は「そうですね、次の機会にそれができればと思いますが」とお茶を濁して話をシャットダウン。バービーの発言後も番組はまた野党に批判的な街の声を紹介したのだった。言うまでもなく、後日にちゃんと話を聞く次の機会が設けられることなどないまま。
このように、政権御用の田崎史郎を出演させるだけではなく、恵の番組進行や八代弁護士のデマ発言まで織り交ぜながら番組ぐるみで「野党共闘は選挙目当ての野合」「野党は批判ばかり」という印象を植え付け、自民党政権を利する報道を繰り返してきた『ひるおび!』。最近では維新を持ち上げるような報道も目立ってきているが、今年もこうした権力監視の使命を放棄した番組が野党を弱体化させることに必死になるのだろう。
【2位】宮根誠司(『ミヤネ屋』『Mr.サンデー』MC)
維新の大本営番組司会者は2021年も吉村知事の“ヤルヤル詐欺”の片棒担ぎ、総裁選後も橋下徹の腰巾着で維新礼賛と他の野党叩き
維新応援団が多数登場した2021年。その元祖と言うべき存在が、宮根誠司だ。維新礼賛の関西ローカルをのぞき、全国レベルでは宮根がMCを務める『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)は維新の大本営番組と言っていいだろう。
コロナ対応の無為無策ぶりで安倍政権・菅政権が支持率を下げる一方、同様に無為無策なのに維新の吉村洋文・大阪府知事は“やってる感アピール” で人気がうなぎ登り。関西ローカルのみならず、各局のワイドショーがこぞって吉村知事を持ち上げたが、なかでもダントツの出演回数で“やってる感アピール”を大きく助けたのが読売テレビであり、宮根誠司『ミヤネ屋』だ。
2020年には、大阪ワクチンをぶち上げれば開発責任者の森下竜一・大阪大学教授を出演させアピール。都構想にかまけ同年12月に医療崩壊を引き起こし自衛隊に派遣要請せざるを得なくなれば、「生直撃! 医療ひっ迫を立て直す次なる一手は」などと銘打って吉村知事を出演させまともに責任を追及することなく釈明を垂れ流し。
吉村知事が「兵庫・大阪間の移動自粛」「ワクチン開発」「大阪モデル」「K値」などなど、「やってる感」アピールのためだけのデタラメなパフォーマンスを繰り広げるたびに、無批判に「さすが吉村知事!」「吉村さんでよかった」と礼賛しつづけてきた。
極めつきが、例のイソジン騒動だろう。周知のとおり、吉村知事が「ポビドンヨードが新型コロナに効く」とフェイクをぶち上げた一件だが、この会見の1時間半前に『ミヤネ屋』に情報が伝わっていたことをテリー伊藤が証言。インサイダー取引につながりかねないと大きな問題になった。しかもこれに批判が集まると、吉村知事を出演させ、「何回も知事にお会いしてるのに、一言も僕にも言いはれへんかった」(宮根)「秘密に進めてきました」(吉村)「冷たっ」(宮根)などと揃って寒い言い訳までしてみせた。
2021年も宮根の大本営ぶりは相変わらず。第3波、第4波と大阪で医療崩壊を引き起こし多くの犠牲者を出したにもかかわらず、吉村知事や松井一郎・大阪市長、橋下徹以来の維新政治の責任を追及するどころか、逆に擁護しまくった。
たとえば、東京を上回る全国ワーストの死者を出した第4波のさなか。吉村知事がろくにコロナ対策もせずテレビ出演し自己アピールばかりしていることにネットで批判が高まると、『Mr.サンデー』に生出演させ、「知事はテレビに出るたびに最近たたかれてるんですけど、大阪府はお金がないからテレビに出て知事がしゃべるしかないんですよね?正直ね」と助け舟を出していた。
また、ぶち上げたはいいものの結局2021年11月に断念することになる大阪ワクチンについても、『ミヤネ屋』は吉村知事を出演させ、2020年11月に「たぶん来年春くらいになる」、その春が近づいた2021年2月には「今年中になんとか実現したい」などと空手形をしゃべらせ“できるできる詐欺”の片棒を担いでいた。
その一方で、立憲民主党や共産党など維新以外の野党にはやたら厳しく、立憲の小川淳也衆院議員がコロナに感染し入院した際は医療がそこまで逼迫していた時期でもなく正当な手続きを踏んでの入院だったが「国会議員だから入院できたのか」と迫っておきながら、入院率10%で自宅死が相次いでいた4月末に維新の府議会議員が感染即入院した問題については一切取り上げなかった。
しかも、宮根の御用ぶりは衆院選前後になるとさらにエスカレート。『ミヤネ屋』や『Mr.サンデー』などにコメンテーターとして出演している“維新の代弁者”橋下徹の腰巾着になって、維新アゲ、他の野党叩きに勤しんだ。
文通費問題でも、橋下が「非課税のお小遣い」「ほんと腹立ってしょうがない!」と息巻くと、宮根は「文書で今、そんなにお金かかるか?」「1回、1年間分、領収書出してもらって、(国民に)見せてもらいたい」とお追従してみせる。一方で、維新のセルフ領収書問題や吉村知事の在職1日100万円問題はまともに追及せずスルー。衆院選では維新が議席を3倍に増やす大躍進を遂げたが、こんな連中がワイドショーを牛耳っているのだから、そりゃあ、大阪でいくら医療崩壊が起きても、維新人気が高まるはずである。
【1位】橋下徹(元大阪市長)
巧妙な手口で吉村府知事の失政隠しと維新アゲも、日本城タクシー社長と大石あきこ議員という強力な天敵が
これまでも大阪市長時代からつながりの深い安倍・菅政権の擁護、そして自分が作った維新の応援団としてメディアに露出してきた橋下徹だが、2021年はこれまで以上にメディアを席巻し、その御用ぶりが露骨になった。
まず、2021年の橋下の発言で忘れてはならないのは、コロナ対策での政権擁護だ。東京五輪の強行開催によって新規感染者数が増加し医療崩壊に陥った際、菅政権は「中等症以下は自宅療養」の方針を打ち出して大きな反発を招いたが、そんななか、これを「菅首相の大英断」と褒め称えた人物こそ、橋下氏だった。
いや、菅首相を褒め称えたというよりも、菅首相が方針を打ち出す前日に『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)で「自宅療養を基本とする、制度化するっていうのは、本来は国がやらなければいけない」と提言していたのが橋下氏だったのだ。
橋下氏が菅首相の方針を先駆けて発信したのか、あるいは橋下氏の主張を菅首相が取り入れたのか、はたまた偶然の一致だったのかは不明だが、その後も橋下氏は〈政治が重症・中等症ベッドを増やすよう医療界に「命令」を出し、従わなければ強烈な制裁を加えるしかない〉などとツイート。安倍・菅政権の約1年半の失策は無視して「命令」だの「強烈な制裁」だのと医療界に全責任を擦り付け、問題解決にはまったくつながらない強権発動を主張した。言うまでもなく橋下氏は、自身が大阪の医療をボロボロにした張本人であり、こうした発言はその責任を転嫁するものにほかならない。
だが、橋下氏が擁護したのは、菅首相だけではもちろんない。もっとひどかったのが、自分の後継者である吉村洋文・大阪府知事の失政覆い隠しと維新のPR活動だ。
たとえば、大阪では吉村知事が2021年2月末に緊急事態宣言の前倒し解除要請をおこなったことによって感染者数が急増、第4波の甚大な被害を招く原因となったが、橋下氏はプレジデントオンラインで配信された自身のメールマガジン記事で〈吉村さんのやつれ気味の表情をテレビで見ていると、そのしんどさが痛いほど伝わってくる。連日連夜、府庁内では協議、会議の繰り返しなんだろう〉などと記述。本当にしんどい思いをしているのは入院すべき病状でも治療を受けられない患者やその家族、人手も人工呼吸器も足りないなかで奮闘する医療従事者や救急隊員たちのほうだというのに、橋下氏は吉村知事に同情が集まるように誘導したのだ。
テレビでも同様だった。テレビでは一応、偏向といわれないように、吉村知事や維新への苦言らしき言葉も少しだけおりまぜてはいたが、結局、大阪府政のコロナ失策のほんとうの問題を覆い隠し、吉村知事をPR するような言動を繰り返し続けた。
さらに、維新が衆院選で躍進を果たし、さらには文通費問題で“身を切るアピール”を喧伝するようになると、“創業者”の橋下氏はメディアで文通費問題をやたらと取り上げ、維新を持ち上げる一方、自民党ではなく立憲民主党などの野党を攻撃し続けた。
しかも、橋下氏が問題なのは、テレビにおいては、早口でまくし立てて話を強引にすり替え、不毛な議論をふっかけ、詭弁で煙に巻くという「橋下話法」によって誰もまともなツッコミを入れられないまま「橋下劇場」が巻き起こってしまう、という点にある。参院選を控えた今年、橋下氏のメディアにおける言動はさらに露骨なものになるのは目に見えているだろう。
そんななかで唯一の救いは、橋下氏を黙らせることのできる強力な論客が現れたことだ。そのひとりが、大阪を拠点にタクシー業などを手掛ける日本城タクシーの坂本篤紀社長。詳しくは既報を参照いただきたいが(https://lite-ra.com/2021/04/post-5854.html)、4月に『報道1930』(BS-TBS)で橋下氏と共演すると、坂本社長は橋下話法を「アホな議論」と一刀両断した上、橋下氏の反論をことごとく論破。吉村知事に対しても「何もしてないもん」と鋭く指摘して見せたのだ。
そして、もうひとりが、れいわ新選組の大石あきこ衆院議員だ。大石議員は、橋下氏や吉村市長が仕掛けた文通費キャンペーンに対して、当の吉村市長が1日で100万円の文通費をせしめていた事実を突きつけたのだ。すると、橋下氏は吉村氏の1日100万円問題には触れないまま、執拗に大石攻撃を開始。自身が生出演している『めざまし8』(フジテレビ)に大石議員をVTR 出演させたうえで、後出しジャンケンでいつものごとく「制度をわかっていない。もっと勉強しないと」と反論できないのをいいことに一方的に断罪した。
だが、大石議員は全く負けていなかった。橋下氏がツイッターで、自分の「しっかり勉強を」という発言を報じた記事をリツイートしたうえ、公選法上なんの関係もないのに大石議員の当確が出たのが11月1日未明だったことをあげつらうデタラメ攻撃をすると、大石議員は〈もうウケるwww 橋下徹、選挙制度しっかりべんきょせえ!〉と一蹴、さらには〈橋下徹が私に粘着するせいで、すごく注目浴びてしまった。もう、粘着するなよ!絶対に粘着するなよ!〉とダチョウ倶楽部風にツイートしてみせて、橋下氏を黙らせてしまったのである。
2022年はこの二人にもっとメディアに出てもらって、言いたい放題、やりたい放題の橋下氏を少しでも押さえ込んでもらいたいところだが……。
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いかがだったろうか。2021年は菅政権が崩壊したものの、維新の躍進が象徴するようにけっしてメディア状況が好転したわけではない。むしろ、逆に政権批判をする野党が悪であるかのような声が大きくなり、メディアでは、橋下氏を筆頭にした維新応援団=新たな御用ジャーナリストがこれまで以上に跋扈するようになった。
一方、『羽鳥慎一モーニングショー』から青木理が降板したり、『ひるおび!』から室井佑月が降板したり、坂上忍『バイキングMORE』の打切りが発表されたり、若返りという名目で、政権に批判的なコメンテーターやキャスターが次々と姿を消している。
今年はこの傾向がさらにエスカレートするだろう。そして、岸田政権と維新が合体してコロナ失政を隠すための憲法改正の動きを本格化させ、新たな御用ジャーナリストたちがその動きの旗振り役をやり始めるはずだ。
連中に騙されないためにも、これまで以上に、その動きに注意していく必要があるだろう。
(編集部)
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