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アベノミクスは完全に自家撞着…その先に待ち受ける「デット・トラップ」 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/299348
2021/12/29 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
日用品や食品の値上げ、個人の家計は益々圧迫(C)共同通信社
2021年がまもなく終わる。迎える22年は値上げラッシュで始まり経済的に厳しい年になる。民間企業は2年連続、公務員は4年連続ボーナスが減少する中、物価上昇を受け止めなければならない。
11月の米国の消費者物価上昇率は6.8%、EUユーロ圏は4.9%で、いずれも過去最大だった。コロナ禍でサプライチェーンが寸断され、金融緩和による投機マネーが暴れ回り、不況下の急激な物価上昇を招いている。いわゆるスタグフレーションである。この傾向はしばらく収まらないだろう。
日本は金融緩和による超低金利で円安誘導し、輸出産業が景気を何とか支えてきた。だが、スタグフレーションが起きれば、アベノミクスは完全に行き詰まってしまう。円安が進行し、11月の輸入物価指数は前年比プラス44.3%、企業物価指数もプラス9.0%に跳ね上がった。一方、消費者物価指数はまだプラス0.6%。実質賃金が伸びないためだ。従って個人の家計は非常に厳しくなる。同時に、増大するコストを価格転嫁できない中小企業の経営は圧迫される。儲かるのは石油元売りや商社だけだ。
欧米は物価上昇を抑えるために金融正常化へ向かっているが、日本は出口を失っている。超低金利政策を続ければ日米の金利差は広がり、日本売り状態に陥りかねない。トルコのような激しい物価上昇を引き起こしてしまうかもしれない。
4月以降、携帯電話料金値下げによる1.5%の物価押し下げ効果がなくなるので、日銀が目標とする「物価上昇率2%」を達成する可能性が高い。しかし、景気が好転し、消費が盛り上がって物価上昇につながるわけではないので、日銀は利上げできない。欧米並みに金利を上げれば、この国は「デット・トラップ」(債務のワナ)にハマり込むだろう。
国債費は足元で22.3兆円。財務省の試算によれば、金利1%引き上げで1年目に0.8兆円、2年目2兆円、3年目3.8兆円、借り換えが一巡すれば10兆円に膨らむ。国債費は33兆円になる。金利2%上昇だと43兆円だ。さらに日銀が抱える国債や株式の価値も目減りし、実質的に自己資本を割り込む。戦時中のように国債や株式を凍結するしか道はなくなり、日銀信用は大きく毀損されてしまう。
かくしてデフレ脱却を目標に金融緩和を8年以上も続けた結果、皮肉にもデフレでないと国がもたない構造がつくられてしまった。アベノミクスは完全に自家撞着だ。
金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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