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吉村知事「大阪いらっしゃい」拡大で旅行推奨 オミクロン市中感染で関西圏に年明け第6波
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/299344
2021/12/28 日刊ゲンダイ
利用者は予約含め約30万人(吉村洋文府知事と「大阪いらっしゃいキャンペーン2021」=右)/(C)日刊ゲンダイ
オミクロン株の市中感染がジワジワと広がっている。27日は広島と富山でそれぞれ1人、オミクロン株に感染したと発表。いずれも市中感染とみられる。大阪、京都、東京、福岡、愛知を含め計7都府県に広がった中、大阪の吉村府知事は旅行キャンペーンを始めるというのだから正気の沙汰ではない。
◇ ◇ ◇
27日感染が確認された広島市在住の20代は、オミクロン株感染者が確認された関西の地域と往来していた。
会見した広島県の木下栄作健康福祉局長は「陽性者が確認された地域との往来は慎重に判断して欲しい」と呼び掛けたが、その「確認された地域」である大阪は府民限定の地域振興策「大阪いらっしゃいキャンペーン2021」の対象を年明けに拡大する。
「いらっしゃいキャンペーン」では府内で宿泊・日帰り旅行をすると旅行プランの料金が最大1泊5000円引かれ、同3000円のクーポンが付く。いわば“大阪版GoToトラベル”だ。ワクチンを2回接種済みか、PCR検査などで陰性の府民だけを対象に先月24日から始まり、27日時点で利用者(予約含む)は約30万人に上る。
吉村知事は府内で国内初のオミクロン株の市中感染を発表した22日、同じ会見の場で「いらっしゃいキャンペーン」の対象に来月4日から隣県の京都、兵庫、奈良、和歌山の4府県を加えると発表。SNS上では案の定、〈唖然とした〉〈オミクロン知らんのか?〉などの非難が続出した。
府に中止の有無を確認すると、「現時点で中止は決まっておらず、予定通り実施する」(企画観光課)とのこと。中止の判断については「医療提供体制などの負荷が国の定めた指標のレベル3(一般医療の相当な制限)に達した場合、そもそもキャンペーンを続けることはできない」(企画観光課)と回答。そのレベルに至る過程でどう対応するかは検討中だという。
国の指標が中止レベルになるまで「予定通り実施」 |
かたや「(府内の感染状況は)拡大傾向に入る可能性が高い」とも発言…(C)日刊ゲンダイ
吉村知事は27日の会見で「(府内の感染状況は)拡大傾向に入る可能性が非常に高い」と危機感を募らせていたが、言っていることと、やっていることがまるでチグハグ。今のところ、国の指標のレベル3に達するまで旅行を推奨するつもりなのだから狂気すら感じる。
「(市中感染の)速度を遅らせたい」「(感染者数の)山を少しでも低くしたい」と府民に訴える吉村知事の後ろには、ボードにデカデカと「大阪いらっしゃいキャンペーン2021」の文字が……。もう、ムチャクチャやん!
「第3波を招いた昨冬の失敗を再び繰り返すつもりなのでしょうか。『オミクロン株に感染しても重症化しにくいから、たとえ感染者が増えても経済対策に重きを置く』と説明して旅行を推奨するのなら、まだ理解できます。感染の山を抑えたいのに旅行を後押しするとは、科学的な根拠などない証拠です」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学)
オミクロン株の市中感染が発生した京都も大阪と同様の旅行推奨キャンペーンを行っており、大阪と同じく来月4日から福井、滋賀、大阪、兵庫、奈良の5府県を対象に加える。全国知事会はきのう、年末年始に感染拡大防止の徹底を国に促す緊急提言をまとめた。参加した京都の西脇隆俊知事も「検査を広めに実施して感染拡大を防止したい」と訴えたが、キャンペーンについては「予定通り実施する」(京都府観光室)というから、狂気は連鎖するのか。
旅行支援事業を巡っては、昨年7月に始まった「GoToトラベル」が北海道での感染拡大の主因となったとする研究もある。年明けは、関西圏から始まる第6波襲来に備えた方がよさそうだ。
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