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※2021年12月13日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年12月13日 日刊ゲンダイ2面
【露呈した「聞くだけ男」の凡庸】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) December 13, 2021
岸田首相 スガといい勝負のポンコツぶり
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/VVD7cqqTfd
※文字起こし
岸田政権発足から2カ月。国会論戦は13日からようやく本格化だ。首相と全閣僚が出席する予算委員会が衆参両院で14日まで行われる。1問1答形式の代表質問とは異なり、何度でも岸田首相に質問ができるため、野党は「デビュー戦」に照準を合わせるが、丁々発止のやりとりになるのか。野党の腕の見せどころであるが、野党第1党の立憲民主党は「対決型」から「提案型」にシフト。第2党の日本維新の会が鋭いのは舌鋒だけで、一皮むけば“ゆ党”だ。国民民主党は与党にも維新にもスリ寄っている。対する岸田は「聞く力」を売りにしているが、その実は主体性ゼロの“なんちゃってリーダー”。あっちに揺さぶられ、こっちに引っ張られ、マトモな論戦はまたも期待薄だ。
この臨時国会の主なテーマは、コロナ禍で傷んだ経済対策を名目に過去最大の35兆9895億円に膨らんだ2021年度補正予算案の審議だが、裏を返せば過去最大のバラマキだ。「新しい資本主義」も「人に温かい資本主義」も掛け声倒れ。岸田のポンコツぶりは「自助」を強要した菅前首相といい勝負で、「聞くだけ男」の凡庸さを露呈している。
18歳以下の子どもへの10万円給付をめぐっては、公明党が人気取りで掲げた衆院選公約を丸のみ。そのくせ、岸田自民党はバラマキ批判をかわしつつ、その効果を来夏の参院選まで温存させようと、姑息に「年内に現金5万円」「来年春に子育てに使途を限定したクーポン5万円分」の2段階給付を打ち出し、事務経費を967億円もカサ上げさせた。クーポンの印刷代や郵送費、コールセンターの設置費用、周知のための広報費などで生じる余計な手間賃をオトモダチ企業に流し込むためだ。大問題になった持続化給付金事業と相も変わらぬ中抜きの構図。ただでさえ自治体はワクチン3回目接種の対応などで忙殺されており、一部から「全額現金」「現金一括」の要望が上がるのはもっともだ。
事務方はクーポンを強制
自治体や世論の猛批判にさらされた岸田は、代表質問で「クーポン給付を原則としながらも、地方自治体の実情に応じて現金での対応も可能とする運用とする」などと答弁し、修正する姿勢を見せたが、都道府県向けに開かれた3日の説明会で配布された資料には「(来年)6月末までにクーポンの給付を開始することができない見込みである場合に限り、現金給付を可とする」と記載。現金に一本化する場合は内閣府に対し、「事情の変更等によりクーポン給付ができなかった特別な事由」を記した理由書の提出を求めている。現金一括給付についても「事業の趣旨や想定する実施時期を鑑みると適切ではなく、国としては原則として想定していない」とも書かれ、クーポンを事実上強制しているのだ。これだけの問題になっているのに、岸田は制度設計に全く通じていないのか。官僚が用意したその場しのぎのペーパーをただ読んでいるだけなのか。
法大教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。
「岸田首相には自分の意見がない。この一言に尽きる。10万円給付をめぐって右往左往するのも、政策の目的がハッキリしないからです。子育て対策なのか、困窮世帯対策なのか、経済対策なのか。そもそも自民党総裁選を勝ち抜けたのは、総理のイスを何としても手に入れるため、政治的理念を安倍元首相に売り渡すようなマネをしたからです。『軽武装・経済重視』を掲げる宏池会の理念に反する敵基地攻撃能力の保有に前のめりなのも、政権維持を優先しているからでしょう。岸田首相が誇る『聞く力』はマイナスに作用し、弱点になっている。ジレンマはいくらでも出てくるでしょう」
温情任命も、予算委対策でスピード更迭 |
盟友である石原伸晃元幹事長の内閣官房参与辞任をめぐるドタバタも、岸田の浅はかさを象徴している。
国交相などを歴任し、派閥領袖でもあった大ベテランの石原は総選挙で立憲の新人に惨敗。比例復活もかなわないほど、地元有権者に見放された。
にもかかわらず岸田は、定期的に会う仲でもあり、総裁選で岸田陣営の選対顧問を務めた石原に温情をかける。「選挙の結果はあると思うが、コロナ禍で課題である観光分野での(石原の)経験に鑑みて力を貸してもらいたいとの思い」で、観光立国などを担当する参与に任命した。日当2万6400円が支払われることなどから、党内外から「身内の失業対策」と陰口を叩かれる中、石原が代表を務める政党支部が新型コロナ対策の緊急雇用安定助成金計約60万円を受給していたことが発覚。たった1週間で辞任に追い込まれた。岸田は石原が電話で「混乱を生じることで首相の職務遂行に迷惑をかけることは自分の本意ではない」と辞任を申し出たと説明していたが、毎日新聞(11日付朝刊)によると、〈首相が10日午後の参院本会議後に石原氏に電話し、今後の対応を協議した〉という。予算委で野党の追及をかわすため、サッサと切ったというわけだ。
いまだハネムーン期間にある岸田政権にマスコミは総じて甘いが、10万円給付や石原問題などで、この首相に決定的に欠けているものが見えてきた。想像以上の浅薄、信念のなさ。問題が起これば足して2で割るようなゴマカシ、波風を立てないような無難路線である。
総裁選では安倍・菅政権で高まった政治不信を「民主主義の危機」と断じ、格差を拡大させる新自由主義からの転換を標榜。所信表明演説でも「信頼と共感を得られる政治」を訴えたが、森友学園をめぐる公文書改ざん問題は「結論が出ているものと承知している」、日本学術会議の任命拒否問題についても「当時の内閣総理大臣が判断を行った。一連の手続きは終了したものと承知している」と頬かむり。金持ち優遇と批判の高い金融所得課税の強化も株価暴落に焦って封印し、炭素税も産業界の反発で見送った。
ビジョンがないのが「岸田ビジョン」
人権重視の米バイデン政権が旗を振る北京五輪の「外交的ボイコット」にしても、マゴマゴするばかりだ。
12日まで英リバプールでG7外相会合が開かれていたが、態度を明らかにしなかったのは日本と新政権が発足したばかりのドイツだけ。英国とカナダは米国に追随。米国と軍事同盟を結ぶ豪州やニュージーランドも追従する中、岸田政権は閣僚派遣を見送るものの、室伏広治スポーツ庁長官やJOC(日本オリンピック委員会)の山下泰裕会長の派遣で調整しているという。年内に方針を発表する見通しだ。同盟国であり、時の政権の後ろ盾である米国には逆らいたくない。安倍元首相をはじめとする嫌中ネトウヨ連中もやかましい。一方で、来年は日中国交正常化50周年の節目の年。世界第2位の経済大国に成長した隣国を刺激したくもない。そんな思惑が透けて見える。
「白洲次郎が戦後のこの国を『プリンシプルのない日本』と書いていましたが、岸田政権にまさに当てはまると言えます。4年8カ月の外相経験を誇っても、ビジョンがないのが『岸田ビジョン』。岸田首相は宏池会の仮面をかぶっているだけで、その本質は場当たり的なポピュリストです。日本の国益を考えれば、ニュージーランドのようにコロナ対応を理由に閣僚派遣を見送る。そして、例えばですが、自民党の二階前幹事長のような親中派の代表格を派遣する。『五輪に政治は持ち込まない』というスタンスを取りつつ、人権問題に対して忠言する姿勢を見せられれば米中の間でバランスが取れるというものですが、知恵がないのでしょう」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
中国にはクギをさされ、もはやどっちに転んでも無傷でいられそうもない。どこに目を向けても、無意味な政治的妥協の連続。結果、この政権は時代の奔流に漂うだけになるだろう。
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