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「安倍派」立ち上げパーティで安倍元総理が苦笑したワケ 岸田総理の”ジョーク”に……
https://friday.kodansha.co.jp/article/219232
2021年12月13日 FRIDAYデジタル
スピーチする安倍氏
3度目の再登板を目指すのか、「令和の闇将軍」を目指すのか。
12月6日、自民党最大派閥の清和政策研究会の10代目の新会長に就任した安倍晋三元総理(67)のお披露目を兼ねた政治資金パーティーが都内ホテルで開催された。
同派は1979年、福田赳夫元総理が創設した「清和会」が始まりだ。安倍氏の父の晋太郎元外相が2代目会長を務めたこともある。昭和の時代は平成研究会(旧竹下派)としのぎを削り、森喜朗氏(84)、小泉純一郎氏(79)、福田康夫氏(85)、そして安倍氏と4人の宰相を生み出し、平成後期は自民党を牛耳った派閥といえた。
現在もその勢いは枯れることなく、第二派閥・志公会(麻生派)53名に40名以上の差をつけた95名を誇る最大派閥で、ホテル内に5つの宴会場を用意し、2000人もの参加者を集めた。
「約半世紀にわたり自民党と日本政治の背骨を担ってきた派閥の会長として職責を果たすため、全力を尽くすことを誓う」
父から数えて30年ぶりの「安倍派」を立ち上げた高揚感か、安倍氏は意気軒高にそう述べた。顔の輪郭は少しぽっちゃりとし、シワの目立った手に張りが戻っていた。10分ほどの挨拶でも両腕を大きく振るう総理時代のジェスチャーを何度も繰り返した。
「選挙後も新規入会者も多く集まり、ますます勢いを増している。わが宏池会にも少しおすそ分けをしていただきたい」
来賓で駆けつけた岸田文雄総理はこう持ち上げた。へりくだる一方で、イギリス・グラスゴーで開催されたCOP26で世界の首脳とのやりとりを披露し、こう当て擦った。
「顔なじみの世界の首脳と話していると、安倍総理は元気にしているのか、と何度も尋ねられた。ある国の首脳は『シンゾーは国政選挙で6連勝している。勝利の秘訣を自分は教えてもらった』と話していました。私はその秘訣をまだ教わっていません。参院選にむけて安倍会長から貴重なご指導をいただきたい(苦笑)」
安倍氏は困ったような笑顔を浮かべてこれに応えた。
しらっとした目で安倍氏を見つめる岸田氏
盟友の麻生太郎副総裁(81)、旧竹下派を率いる茂木敏充幹事長(66)も駆けつけ祝辞を述べた。7年8ヵ月の戦後最長の在任記録を打ち立てた元
総理の元には次々と人が訪れ、笑顔で応じていた。
視界良好に見える最大派閥も、内情は不穏でもある。
9月の総裁選で支援した高市早苗政調会長(60)の合流が取り沙汰されている。だが、野党時代に離脱した高市氏への反感が派内には根強く残る。パーティーに政調会長として参加し、高市氏は挑発するかのようにこう述べた。
「無派閥の高市早苗です」
さらに派内は「福田系」と「安倍系」に分かれる。安倍氏の力が強大なため、「福田派プリンス」の福田達夫総務会長(54)は野心を表に見せることはない。だが、高市氏の処遇を誤れば、軋轢を生み、派閥分裂の萌芽が生まれかねない。清和会所属の参議院議員が語る。
「総裁候補として、萩生田光一経産相、下村博文元文相、西村康稔前コロナ担当相、そして福田氏となるが、誰も決め手に欠ける。いずれ安倍会長が指名するのだろうが、決め手に欠けるだけに誰を選んでも漏れた人やその側近が不満を持つ。次の総裁選で他派閥の候補を推せ、となれば求心力低下に繋がりかねず、大所帯であるが故に悩みは尽きない」
スピーチでは追従の姿勢を見せていた岸田総理だが、人事で安倍氏の望む官房長官・幹事長人事を差し戻した、と言われている。現職幹事長の甘利明氏の小選挙区落選で幹事長辞任を巧妙に利用した、と目されている。旧竹下派の茂木外相を新幹事長に充て、空いた外相ポストに岸田派ナンバー2の林芳正元元防衛相を滑り込ませたのだ。
「気心の知れた人、頼れる人を閣内にやっと作れた」
岸田総理は側近にそうこぼしたと言われる。
話題のオンナ、高市氏の姿も
他方、この外相人事で安倍氏の不満は頂点に達した、と前述の参議院議員が指摘し、こう続ける。
「林家と安倍家は中選挙区制度の時期にともに出馬して票争いを繰り広げてきた。親の代から争いがある上に、次の衆院選から人口減の山口県の選挙区は4つから3つに減る。安倍元総理の山口4区が消滅し、林氏の3区と統合し、『新3区』となる見込み。林氏と安倍元総理で公認争いが起きるのは必定で、今回の選挙で2万票も減らした安倍元総理とこれから総理の椅子を狙う林氏では、勢いが異なる」
安倍氏の表舞台復帰は自身の力を誇示し、岸田総理に重圧をかける狙いがあると言う。
最大派閥のトップとなった安倍氏と現在、権力を握る岸田総理との水面下の駆け引きは来年夏の参院選まで繰り広げられる。参院選で自民が勝利すれば岸田政権は長期化も視野に入ろう。反対に、参院選で自民が敗れることが起これば、安倍氏は闇将軍として総理の首をすげ替えるように暗躍するか、あるいは、3度目の登板も……。
取材・文:岩崎大輔撮影:鬼怒川毅
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