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※2021年12月8日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年12月8日 日刊ゲンダイ2面
【「分配」はただの目くらまし】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) December 8, 2021
よお〜くわかった この政権は油断もスキもありゃしない
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/DWoGa7IKJp
※文字起こし
しこたま儲けながら、賃上げに応じない大企業に増税を課すなら、まだ分かる。なぜ、わずかな賃金アップで法人税制優遇の“ご褒美”を差し出す必要があるのか。
岸田政権が方針を固めた「賃上げをした企業への税制優遇拡充」は理解不能だ。具体的には給与を一定以上増やした企業に対し、支払額の一部を法人税額から控除。控除率は要件によって、大企業で現状最大20%から30%に、中小企業は同25%から40%に、それぞれ拡大するという。
岸田首相が6日の所信表明演説で「大胆に引き上げる」と豪語したほど、賃上げ企業への優遇税制拡充は「分配」策の目玉だ。しかし、実際に賃上げ企業が増えるかは不透明だ。
何しろ、日本企業の約6割は赤字で法人税を納めていない。たとえ赤字企業が賃金を引き上げても控除しにくい。その上、賃上げを促す優遇税制が設けられたのは2013年。第2次安倍政権の発足直後である。
これまで要件を何度も見直しても、実際の賃上げ効果はサッパリ。今回の要件変更も今年4月の改定から大して変わらず、要は岸田のやっているフリ。ご自慢の「分配」はただの目くらましで、安倍・菅両政権の延長線上の施策に過ぎない。
「賃上げという方向性は正しくても、やり方が不十分で効果は上がりそうにない」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏だ。こう続ける。
「実はトヨタ自動車が過去に5年間も免れたように、巨大企業が国内で法人税を払っていないケースも多々あります。単年度決算が一度でも赤字になれば、翌年度が黒字決算でも赤字額を5年間も繰り越せる優遇策があるためです。まず、その見直しが先決。さらに今回の優遇策の対象となる賃上げは基本給だけでなく、賞与も含める方向です。これだけ何度も要件が変われば『今のうちに』と今回だけ多少ボーナスを弾み、優遇策の恩恵を受けようとする不届きな経営者も出てくる。所信表明で岸田首相が『可能としなければなりません』と語った『持続的な賃上げ』には程遠い結果を招きそうです」
岸田の賃上げは掛け声倒れ。毎度おなじみの大企業優遇で終わるのは必至だ。
国民の警戒心を解くのが「ハトの顔」の役目 |
「市場に依存し過ぎたことで格差や貧困が拡大した」ーー。所信表明で岸田は新自由主義路線の弊害をそう指摘。「これ以上問題を放置できない」とまで言ってのけたが、非正規雇用を拡大し、弱い立場の労働者を市場に放り出した労働法制の改正への言及はゼロ。美辞麗句を並べるだけの“言うだけ番長”だ。
「非正規雇用は今や労働者全体の約4割を占め、国税庁の調査によると、平均年収は176万円。正規雇用の496万円の約3分の1です。生計を立てるのも苦しいし、当然、企業への帰属意識も薄まる。そのことが『成長と分配の好循環』に欠かせない生産性向上を阻む要因にもなっています。税制を優遇するなら、『雇用の調整弁』としての非正規採用を抑制した企業を対象にすべき。それでこそ本当の新自由主義の是正です」(斎藤満氏=前出)
看護・介護・保育職などの賃金引き上げも、月額たった4000〜9000円。現場が求める月額4万円には1桁足りない。対象者も保育園なら国の配置基準に基づく保育士のみ。基準の数が少なすぎて、事業所が独自に増やした保育士や、保育士以外の職員は対象外だ。看護師も当面コロナ対応病院などに限定と、出し渋りが目立つ。
実効性に疑問符がつくバラマキ策の「18歳以下の給付金」は、クーポンの事務経費だけで967億円も補正予算案に計上。一方で困窮学生への支援金は675億円にとどまり、事業者向けは前回の持続化給付金を半減するなど容赦ない。
解釈改憲再びの立憲主義破壊の継承
本当に困っている国民への思いやりは欠けているクセに、この政権は米国の要求に従って来年度から在日米軍への「思いやり予算」を増額する方針だ。今回の補正にも過去最大7738億円の防衛費を計上。当初予算の5兆3422億円と合わせて年度通算で初めて6兆円突破と、防衛費は青天井だ。
補正計上のうち、4287億円は「コロナで兵器製造企業の経営が悪化し、納期が遅れるリスクがある」として、軍需大企業への前金払いに消える。明らかに「不要不急」な支出で困窮者への十分な支援に背を向け、この優遇ぶりはヒドい。
新型コロナ対策に紛れ込ませて、衆院選公約の「防衛費のGDP比2%以上」に近づける。ゴマカシ手口の岸田は「あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討」「スピード感を持って」と強調。歴代首相の所信表明で初めての「敵基地攻撃能力」の検討は堂々と明言してみせた。
集団的自衛権行使容認の解釈改憲の末、安倍政権が2015年に成立させた安保法制でさえ、「専守防衛」を堅持。基本理念に「他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」と掲げている。歴代政権が「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」の保有は「違憲」とみなしてきたからだ。岸田の敵基地攻撃能力への本格始動宣言は日本の防衛戦略の大転換を意味し、従来の憲法解釈を再び正反対にネジ曲げる立憲主義破壊の継承にほかならない。
「敵基地攻撃能力の本質は『撃たれる前に撃つ』。明確な侵略です。平和憲法だけでなく、武力の先制行使を侵略とみなす国連憲章に反する恐れもあります。周辺国も黙認するわけにいかず、緊張関係を加速させる『安保のジレンマ』に陥るのは間違いない。この国を無謀な軍拡競争にさらすだけです」(立正大名誉教授の金子勝氏=憲法)
個人情報を利権に変えるデジタル構想
来夏に参院選を控える岸田にとって、最大の恐怖は「いつ、政権の座を引きずり降ろされるか分からない」こと。
敵基地攻撃能力保有へ強く踏み込んだのも、55.7兆円にも膨らんだバラマキ経済対策も、政権基盤の安定欲しさ。いずれも安倍元首相が中心を担う党内の右派や積極財政派の意見に自慢の「聞く力」を発揮した結果だろう。
「首相自身も権力を失う恐怖心にあらがうため、自分に与えらえた役割をよくわきまえています。それはハトの顔で国民の警戒心を解き、着々とタカ派政策を進めること。もともと信念のない人ですから、地位を守るためなら、何でもやりかねない。こうした付和雷同の政治家こそ、本当に怖いのです」(金子勝氏=前出)
この首相が安倍元首相や菅前首相よりマシと思っていたら大間違いだ。岸田が「成長」の柱に掲げた「デジタル田園都市国家構想」も危うい。「安全安心なデジタル社会の『パスポート』」と言って、補正でマイナンバーカード普及に1.8兆円もの“餌”をつけシャカリキだが、個人情報の管理は曖昧なままだ。
コロナ禍のどさくさで昨年、「スーパーシティ法」が成立し、自治体の個人情報管理が国に一元化。官民連携をうたい、企業が喉から手が出るほど欲しい膨大なデジタル個人情報に簡単にアクセスできるようなシステムを完成させたことは、もっと知られていい。
列島の隅々までデジタル化する壮大な計画を牽引する政府会議メンバーには、慶大名誉教授でパソナ会長の竹中平蔵氏も加わる。利権屋の新自由主義者たちの高笑いが聞こえてきそうだ。
岸田の所信表明だけで、この政権は油断もスキもありゃしないのが、よお〜くわかった。立憲の泉新代表は「立憲が掲げてきた言葉が随所にあった。野党の役割はこういうところにあると実感した」と評価していたが、気は確かか? 今こそ野党は行政監視を強めるべきだ。
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