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世界各地に急拡大のオミクロン株「弱毒化説」に3つの盲点
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/298335
2021/12/06 日刊ゲンダイ
新型コロナウイルス SARS-CoV-2の顕微鏡イメージ(C)IMAGEPOINTFR=LPN/ニューズコム/共同通信イメージズ
世界に感染が急拡大している新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」。いまだ正体はよく分からない。後藤厚労相も5日のNHK「日曜討論」で「国立感染症研究所ではいまだ実験的な評価はなく、疫学的な評価を行うほどの情報もない」と語っていた。「強い感染力」や「弱毒化」なども指摘されているが、どんなウイルスなのだろうか。
「過去の感染歴が予防にならない」 |
世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局が開催した2日のオンライン会合で、南アフリカ国立感染症研究所のゴットバーグ教授は「ウイルスの性質から感染力はデルタ株と同等か、わずかに弱いのではないか」とした上で、「過去の感染歴はデルタ株への予防になったが、オミクロン株はそうではなさそうだ」と指摘した。オミクロン株は、過去の感染やワクチンでできた免疫をすり抜けるため、感染が拡大している可能性があるという。
ブレークスルー感染しやすいとすれば、デルタ株をしのぐ勢いで感染が拡大するのもうなずける。
デルタより手ごわい
集中治療室で重症患者の治療に当たる医療従事者(C)共同通信社
ゴットバーグ教授は、再感染者やワクチン接種者は症状が軽いとも指摘している。これまで、オミクロン株感染者の死者の報告はなく、無症状や軽症で済む傾向もみられるという。弱毒化しているようにも見えるが、早合点は禁物だ。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「これまでの症例をみると、感染しても重症化リスクは低く、弱毒化している可能性はあります。ただ、あまりにもデータが少なく、さらに2週間程度、様子を見る必要があります。新型コロナは感染者の増加から少し遅れて、重症者と死者が増えていきました。油断はできません」
「ウイルスはどう変異するか分からない」
「疫学的な評価を行うほどの情報もない」(後藤茂之厚労相)/(C)共同通信社
現在、南アでは感染者のほぼ100%がオミクロン株だが、感染者のほとんどが重症化リスクが低い40代以下だ。また、ワクチン接種者がブレークスルー感染しても、ワクチンの重症化予防効果が効き、重症化を防いでいる面もあるはずだ。
逆に言えば、重症化リスクが高い高齢者の感染が増えたり、ワクチン未接種地域で感染が広がれば状況は一変する可能性がある。ブースター接種が遅れ、抗体が激減した後に感染した場合、重症化を引き起こす恐れもある。
また、コロナ患者が膨れ上がれば、医療崩壊を招き、救える命も救えなくなる事態も考えられる。
「オミクロン株が弱毒化し、新型コロナは風邪と同じような病気に落ち着くとの期待は持ってもいいでしょう。しかし、ウイルスはどう変異するか分からない。オミクロン株の次の変異株が強毒化する可能性があります」(中原英臣氏)
「弱毒化」を喜ぶのはまだ早そうだ。
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