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国民を苦しめ、出口のないアベノミクスを踏襲する岸田政権の行く先 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/298087
2021/12/01 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
経済関係の有識者との「車座対話」をする岸田首相(C)共同通信社
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実態はアベノミクスそのものだ。世界を襲うスタグフレーションにのみ込まれ、そのジレンマで早晩身動きが取れなくなるだろう。
アベノミクスは本来、金融緩和で巨額の財政赤字を支えると同時に、円安誘導で輸出を伸ばす政策だった。ところが、コロナ禍でサプライチェーンが寸断され、産業のコメである半導体不足に陥り、主力の自動車生産が停滞。出口戦略のない異次元緩和が投機マネーを生み出し、石油や穀物価格の高騰を招いている。金融正常化へ向かう欧米との金利差が広がり、円から米ドルに資金が流れて、円安が進行しても輸出を伸ばせないまま、10月の輸入物価指数は前年同月比38%となり、国内企業物価指数も同8%に跳ね上がった。
一方、賃金はちっとも増えないため、個人消費をベースにするCPI(消費者物価指数)は9月同0.2%、10月同0.1%と低い。所得は増えないのに輸入物価が上昇する圧迫感が個人を襲い、中小企業はコスト高を価格に転嫁できず、景気は再び急速に悪化しつつある。
だからといって、金融緩和を縮小し、金利を上げて円高へ補正することができるかといえば、否だろう。公債費は急上昇し、財政赤字がさらに膨らむ泥沼に陥るからだ。金利上昇に伴って国債価格も株価も下落し、日銀は巨額の損失を抱えることになる。日銀信用が根本的に損なわれる事態に陥りかねない。
日銀は物価上昇2%にこだわっているが、スタグフレーションによって達成しても金融緩和を解除できない。岸田政権が継承するアベノミクスが完全破綻し、財政も破綻してしまうからだ。輸入物価を上昇させ、個人も中小企業も苦しめる超低金利政策を続けざるを得ない。そこで政府は過去最大の56兆円の経済対策を打ち出したわけだが、「ガソリン補助金」なんて世紀の愚策だ。石油元売り大手は便乗値上げで暴利をむさぼっているのに、なぜそこにカネを回すのか。
さらに怖いのが、世界的なスタグフレーションが長引き、金融正常化した欧米でバブルが崩壊した場合だ。アベノミクスは目も当てられないショックを、この国にもたらすだろう。対抗策はリスクに備える体制づくりしかない。縁故主義の克服。公正なルールの再建。新たな産業を生み出すか、エネルギーや福祉、食と農業を収益分散型にして、対外ショックに強いショックアブソーバーのような地域分散型の経済構造への転換を急ぐことだ。
金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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