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※2021年12月3日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年12月3日 日刊ゲンダイ2面
【立憲の新代表はどうなのか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) December 3, 2021
この国の野党がダメなのは卑しい連中が多すぎるからだ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/3OjdrAnJxv
※文字起こし
今年2月から9月にかけて計8回のシステム障害が確認され、金融庁から11月下旬に業務改善命令を受けた「みずほ銀行」と「みずほFG」。国内有数のメガバンクで発生した前代未聞のトラブルが一向に改善されない背景には、合併した「富士銀行」「日本興業銀行」「第一勧業銀行」の旧3行による主導権争いがあるといわれる。
コロナ禍とはいえ、大手百貨店「三越伊勢丹HD」の業績不振に対しても、業界から聞こえてくる低迷の理由は「伊勢丹」と「三越」という両老舗出身の違いによる社員間の不協和音。同業種であっても社風や社員の考え方は違うし、一緒になったからといって、いきなり二人三脚で「右向け右」とはならないのも無理はないが、それはあくまで企業の話だ。この国の未来を担う政治の世界ではそうはいかない。
「この代表選以降は旧何々党ではない。立憲民主党の下でみんなが一つになるよう頑張りたい」
立憲民主党の代表選で新たなリーダーに選ばれた泉健太はこう言って「挙党一致」を訴えていたが、果たしてどうなのか。「あいつは嫌だ」「おれは〇〇党の出身」「早く安泰の身分になりたい」なんて、サラリーマン根性むき出しの卑しい連中ばかりでは、この国のかじ取りを任せられるはずもない。泉代表が単なる「サラリーマン政治家」を束ねるだけにとどまるのか、それとも「本物の政治家」集団をつくり上げられるのか。
来夏の参院選に向けて国民が最も注視しているのは、まさにそこだ。
大マスコミのマジックワードに惑わされるな
「批判ばかり」「共産党と共闘したから」……。先の衆院選後、議席数を減らした立憲に対して、新聞やテレビで連日、繰り返されている言葉だ。こうした指摘に対し、泉代表も代表選後の会見で、「党として総括しなければならない」と語っていたが、真正面から受け止める必要はないのではないか。なぜなら、新聞、テレビの常套句はそれまでは「野党はだらしない」だったからだ。
批判が足りなければ「野党はだらしない」、批判すれば「野党は批判ばかり」。「大衆の多くは無知で愚か」とはヒトラーの言葉だが、要するに大マスコミは国民生活や政治のことなど本気で考えちゃいない。
「カネになる」「面白ければいい」だけ。どうせ何をやっても批判されるのだから、立憲は野党第1党として、これまで通り、自公政権のデタラメ政治をどんどん批判すればいいだろう。
共産党との共闘だって、現行の小選挙区制で自民、公明に勝つには、候補者を一本化する以外に勝つ手段はない。今回だって基礎票を持つ共産党の協力があったからこそ、自民の甘利前幹事長や石原元幹事長に選挙区で勝つことができた。実際、小選挙区では公示前の46から57に議席を増やしているのだ。
「批判ばかり」「共闘失敗」は大マスコミが大衆をごまかす時に使う「マジックワード」。そんなマヤカシの言葉に立憲自身が惑わされてはダメだろう。与党や大マスコミの術中にはまって「思考停止」に陥れば自公を利するだけ。それこそ、アエラドットの記事ではないが、<立憲民主、崩壊の危機 参院選1人区「4勝28敗」の衝撃予測>なんて最悪の事態になるだけ。繰り返すが、国民が求めているのは、「本物の政治家」なのだ。
政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「2009年に下野した自民党は当時、国会議員が全国に散らばり、あらためて有権者の思いを聞いて回りました。従来の支持団体以外も、です。それが政策立案に役立ったかどうかはともかく、そのひたむきな姿勢や思いは有権者に伝わったはず。そうした姿勢を立憲が見せられるかが重要だと思います」
野党は命がけで票を掘り起こす覚悟が必要 |
立憲が議席を減らしたのは共産党のせいでも何でもない。総選挙前、国民があれほど自公政権に嫌気がさしていたにもかかわらず、世論調査で立憲の支持率が伸びなかったのはなぜか。それは、いみじくも枝野幸男前代表が選挙後に「1票1票を積み重ねる足腰が弱い」と振り返っていた通り、立憲に「本物の政治家がいない」「サラリーマン政治家ばかり」と有権者に見透かされていたからではないのか。
民主党政権で環境相を務めた細野豪志や防衛副大臣を務めた長島昭久、選挙直前まで立憲民主党の会派に所属していた柿沢未途……など、本当は自民から出たいのに空きがないため、とりあえず野党にいて自民党に鞍替えした破廉恥漢は論外としても、他も似たり寄ったりだ。当選のためには「政界の渡り鳥」と呼ばれた小池百合子都知事と手を組み、女帝の「排除の論理」に振り回されて右往左往する無節操。それこそ、選挙のたび、こんな卑しい姿を繰り返し見せられれば国民の支持が得られるはずもない。
さらに国民との公約をちっとも果たさないまま、ほとんど思い付きで解散に踏み切り、多くの仲間を落選に追い込み、自民党に大政奉還する事態を招いた裏切り者や、改革者ヅラの大嘘つきが今なお跋扈している状況では、総選挙前から「勝負アリ」だったようなものだ。
立憲結党時の「草の根政治」を思い出せ
「枝野立て」。4年前の衆院選で、立憲が国民から熱狂的な支持を得るきっかけとなった要因は、小池に排除され、たった1人で「草の根政治」を立ち上げたいという「本物の政治家」の熱い思いだった。その本気の姿勢が、所帯が大きくなるにつれて薄れてしまった面は否めず、衆参150人という野党第1党の「看板」を持ったことで、多くの「サラリーマン政治家」が集まる愚鈍集団になったのかもしれない。とはいえ、この国の野党が「ダメ」と言われているのは、野党の中にも卑しい連中が多すぎるからだろう。
選挙結果を総括するのであれば、まずは、この4年間の自分たちの政治活動を振り返るべきで、真っ先に野党共闘を理由に挙げるのは言語道断。貴重な候補者を取り下げた共産党に対しても失礼だし、責任転嫁以外の何物でもない。
こんな「サラリーマン政治家」の連中が居座り、合従連衡してもロクデナシの集まりにしかならないだろう。だからこそ、なおさら泉代表の責任は重いのだ。
その泉新体制で幹事長には西村元厚労副大臣の起用が決まった。西村は新潟県議を経て国政に転身。当選回数は6回だ。代表選では、野党共闘を進めた枝野前代表の路線継承を訴えた人物で、新聞、テレビは「党内融和を図るため」などと解説しているが、役割を期待されているのはそれだけではないだろう。
地方議員出身者として、地域に根差した「草の根政治」の在り方とはどういうものなのか。有権者に「パフォーマンス」や「批判ばかり」と受け止められない政治活動とはどういうものなのか。三度の飯よりも汚いカネが好きな自公の「ドロボウ政治家」集団に勝つためには、野党が「サラリーマン政治家」から脱皮し、「本物の政治家」になれるかどうかにかかっているのだ。
福田赳夫元首相の秘書を務めた中原義正氏がこう言う。
「衆院選で立憲が負けた最大の理由は『野党慣れ』の姿が有権者に見透かされたことだ。いい悪いはともかく、自民党議員は地元にへばりつき、毎日、熱心に活動しているが、立憲議員の多くはその姿が見られない。歳費削減など自らの身を切ることもしない。与党議員と同じ歳費を得て、特権を与えられながらワーワーやっているだけ。これでは国民の支持が得られるはずがない。本気で国民生活を良くしたいと考えているのであれば、それこそ、選挙区を這いつくばり、命がけで票を掘り起こすぐらいでなければ有権者は信用しない。つまり、その覚悟が野党議員にあるかどうかだ」
堕落政権の暴走を止めるのは野党の本気しかない。
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