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「緊急事態条項新設」案の嘘と危険性…"緊急事態”に乗じて首相独裁体制に ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/298033
2021/11/30 日刊ゲンダイ
憲法改正を真面目に考えよう(4) |
小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ
2011年3月11日の東日本大震災の直後に自民党の議員から電話で、「国民を説得できる良い改憲のテーマが見つかった」と言われた。緊急事態条項の新設である。非常時に国民の勝手な行動(人権行使)を禁じた上で首相に国家の全権を集中して事態を迅速に収束させる根拠規定である。
2018年の自民党改憲4項目では、大災害等に際して内閣(つまり首相)は法律に代わる政令を制定する権限つまり立法権を行使できる。さらに2012年の自民党改憲草案では、内閣は、国会に代わって財政処分権も行使し地方自治体に指示(つまり命令)する権限も持つ。それに対して、国民は公の指示に従う義務を負わされることになっている。
まさに、かつてのナチス・ヒトラーの全権委任法である。
そして、コロナ禍が猛威をふるってきた最近またこの改憲案が台頭してきた。しかし、これは不必要な提案である。
現にわが国には、災害対策基本法、感染症対策基本法等、たくさんの緊急事態法制(法律)が整備されており、そこには事態に応じた強制入院等の人権制限規定も含まれている。そのような立法が可能なのは、憲法にすでにその根拠規定があるからである。
不必要で有害な「全権委任法」だ
現行憲法の12条は、国民の人権は「常に公共の福祉のために利用する責任を負う」と規定し、さらに13条は、人権は「公共の福祉に反しない限り、国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定している。
「公共の福祉」とは、私たちが社会で共存共栄するために不可欠な前提条件のことで、例えば、重大な感染症に罹患している者が入院せずに社会で自由に動き回ることなど許されない……という当たり前の道理である。
また、東日本大震災の時に私たちが学んだことがある。つまり、震災時には現場の自治体の首長に全権を託し国家はそれを情報と財政と人員で支援することこそが有効だ……という教訓である。
だから、自民党の緊急事態条項案は、単に的外れで不必要なだけでなく、「緊急事態」に乗じて首相独裁体制を作る危険な提案以外の何ものでもない。(つづく)
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「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)
小林節 慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)
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