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オミクロン株“高速上陸”で日本での感染拡大に打つ手なし…ワクチン3回目接種も無意味か
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/298137
2021/12/01 日刊ゲンダイ
早くも日本に上陸(C)共同通信社
早くも日本上陸を許してしまった。松野官房長官は30日、アフリカ南部のナミビアから入国した30代男性が、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に感染していたと発表した。南アフリカ発のオミクロン株の国内確認は初めて。アフリカから欧州、アジア、北米へと伝播した感染力に、コロナ対策を最重要課題に掲げる岸田政権は打つ手なしだ。
◇ ◇ ◇
オミクロン株感染が確認された男性はナミビア国籍の外交官で現在、医療機関に隔離中だ。「感染者の同行者、または飛行機の隣席などの濃厚接触の疑いがある方はすでに把握し、保健所などに連絡している」(松野官房長官)という。
南アで先月11日に初めて確認されてから、わずか1カ月足らず。日本にまで到達したスピードには驚かされる。先月24日に南アがWHO(世界保健機関)に新たな変異株として初めて報告。2日後にWHOが「懸念される変異株(VOC)」に指定したばかりだ。
外国人の新規入国を原則停止した日本を含め、各国が水際対策に力を入れる中、世界中で感染例が相次いでいる。オランダの通信社「BNOニュース」によれば、感染例は11月30日までに、アフリカと欧州を中心に18の国と地域で205件。感染疑いは1300件を超えた。
震源地となった南アのハウテン州では先月、1週間の新規感染者数が135人(8〜14日)から580人(22〜28日)へと、わずか2週間で4倍超に急増。驚異の感染力は「世界で猛威を振るうデルタ株以上」と指摘する専門家もいるほどだ。
ワクチンの有効性「大きく下がる」 |
世界中に感染拡大(独連邦軍空軍「救急ヘリ」が到着、コロナ感染者をストレッチャーに乗せる隊員たち=独・ハンブルク)/(C)ロイター
心配なのは従来の新型コロナワクチンへの影響だ。
英紙フィナンシャル・タイムズ電子版(30日付)によると、米モデルナ社のバンセルCEOはオミクロン株に対する既存ワクチンの感染予防効果について、「デルタ株に対するものと同じ水準ではない」「(有効性は)大きく下がると思う」と発言。
米ファイザー社のブーラCEOは29日、米テレビ番組で「現在のワクチン効果が(オミクロン株に対して)もし低下するのであれば、新たなワクチンを作らなくてはならない」とし、「100日以内にできるだろう」との見通しを示した。
実際、ワクチン先進国のイスラエルでは、3回目接種を終えた医師2人がオミクロン株に感染した疑いが浮上。日本は1日から3回目の追加接種が始まったが、2回目との間隔は「原則8カ月以上」に固執。世界基準から後れを取っている上、オミクロン株が追加接種の効果もブチ破ってくるとなれば、岸田政権は感染再拡大に打つ手なし。追加接種自体が無意味にも思える。
総額1兆3239億円もの予算は“塩漬け”必至
成田空港の到着ロビーはガラガラ=30日(C)日刊ゲンダイ
「最重要の水際対策も、入国する日本人は隔離期間が短く、対策に穴がある。国外ではオミクロン株の空気感染や市中感染の事例が報告されており、国内でも同じことが起こり得る。もしそうなれば、ワクチンの感染予防効果が完全ではない以上、第6波を防ぐ手だてはありません。追加接種は『原則8カ月以上』だから、ますます感染再拡大を招きかねない。オミクロン株に有効な新たなワクチンが開発されたとしても、世界との争奪戦に負けた日本が、速やかに確保できる保証はありません」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学)
政府は感染状況を見ながら、来年2月をメドに「GoToキャンペーン」の再開をもくろむ。オミクロン株の猛威を前に、総額1兆3239億円もの予算は“塩漬け”必至。何とか感染対策に回せないものか。
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