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※2021年11月27日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
【「やってるふり」のアベノミクス亜流】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) November 28, 2021
岸田首相 3%賃上げ要請の子供だまし
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/QmFH55voY5
※文字起こし
ペテン路線をとことん踏襲するつもりなのか。
岸田首相は26日、政労使の代表が一堂に会する肝いりの「新しい資本主義実現会議」に出席。経団連の十倉雅和会長、日本商工会議所の三村明夫会頭、連合の芳野友子会長らを前に「来年の春闘では、業績がコロナ前の水準を回復した企業について、新しい資本主義の起動にふさわしい3%を超える賃上げを期待する」と分配強化を呼び掛けた。力強く賃上げを要請する岸田の姿をテレビが垂れ流し、何やらにぎにぎしいが、これもまたアベノミクスによる「成長と分配の好循環」を演出しようとした安倍元首相が始めた官製春闘の継承。実現性は疑問符だらけだ。
安倍は2014年から春闘に介入し始め、7年連続で賃上げ要請したが、その効果は微々たるものだった。厚労省の統計によると、民間主要企業の賃上げ率は15年の2.38%をピークに下落傾向が続き、安倍が数値目標「3%」を露骨に押し付けた18年でも2.26%に過ぎなかった。
実現会議後、十倉会長は「企業ごとの賃金決定の大原則があるので、われわれとしては特に数字は設けない」と受け流し、三村会頭は「中小企業にとって3%の賃上げは大きすぎて到達するのは不可能」とニベもない。そりゃそうだ。岸田は「原材料費、エネルギーコスト、労務費の上昇分を適切に(販売価格に)転嫁できるよう働き掛けを行っていく」とも強調したが、実効性は担保されない。岸田が意欲を燃やし、自民党税制調査会で議論が始まった「賃上げ税制」の拡充にしたって、大したインセンティブにならないからだ。これも安倍政権が13年度に創設した優遇税制で、給与を増やした企業の法人税を引き下げ、原資の一部をサポートして賃上げを促す制度なのだが、条件が煩雑な上、対象がコロコロ変更。法人全体の4%ほどしか適用されていないのだ。
内部留保にペナルティーが筋 |
立教大大学院特任教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。
「そもそも、賃上げ税制はピント外れ。世紀の愚策です。企業が抱える内部留保は20年度末で484兆円に達し、9年連続で過去最高を更新しています。一方で平均賃金はこの30年間横ばい。労働分配率の低下が大企業を肥え太らせているのは明らかです。分配率を適正水準に引き上げるためには、賃上げに消極的な企業が必要以上に貯め込んでいる内部留保に課税し、ペナルティーとして吐き出させればいい。現状の制度が利用されたとしても、減税分に見合った賃上げで頭打ちでしょう」
しょせん、岸田の3%賃上げ要請は子供だまし。「やってるふり」のアベノミクスよりも劣化した亜流なのだ。
この国の賃金は恐ろしいほど上がっていない。OECD(経済協力開発機構)によると、20年の日本の平均賃金は加盟35カ国中22位。この30年で日本は4.4%増とほぼ横ばいだが、米国47.7%増、英国44.2%増、ドイツ33.7%増、フランス31.0%増などと大きく差をつけられている。15年にはとうとう韓国に抜かれてしまった。物価変動の影響を加味した実質賃金はさらにヒドい。1997年を100とした場合、89.7。主要国の中で下回ったのは日本だけ。国民の中で所得がちょうど中間の人よりも半分未満の割合を示す「相対的貧困率」も日本は15.4%(18年)とOECD加盟国中ワースト9位で、7人に1人が貧困に陥っている。
政策破綻を象徴する補正予算案と経済対策 |
岸田は口を開けば「分配」「分配」とかまびすしいのに、カネ持ち優遇と批判が強い金融所得課税の強化は先送り。総裁選でブチ上げた途端に株価が下落し、大慌てで引っ込めた。「脱炭素社会」の実現に向け、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税する炭素税の本格導入も、負担増を警戒する産業界の顔色をうかがって見送った。それでいて、住宅ローン減税制度は「逆ザヤ」を理由に来年から縮小される方向で、雇用保険料率アップも浮上。コロナ禍で雇用調整助成金の支給額が急増して財源が逼迫しているため、来年4月から「失業等給付」について保険料率を現行の0.2%から0.6%に引き上げるという。月給30万円のサラリーマンの場合、月900円の保険料が1500円に増える計算になる。
「分配重視」「新しい資本主義」と新用語で国民を煙に巻いているが、目新しさは何もなく、儲かっている大企業への課税強化もしないで、庶民の味方ヅラの笑止千万なのである。
26日に閣議決定した21年度補正予算案もデタラメのオンパレード。歳出総額は35兆9895億円に膨らみ、補正としては過去最大。コロナ禍で景気が急激に悪化した時期にまとめた20年度第2次補正(31兆9114億円)を軽くしのぎ、リーマン・ショック対応で編成した09年度第1次補正(13兆9256億円)の2.5倍超の規模だ。そのうち、経済対策に回るのは31兆5627億円。▷「新型コロナの感染拡大防止」に18兆6059億円▷「社会経済活動の再開と次の危機への備え」に1兆7687億円▷「新しい資本主義の起動」に8兆2532億円▷「防災・減災など安全・安心の確保」に2兆9349億円―ーが計上された。
「岸田首相が掲げる『新しい資本主義』の実態はアベノミクスの使い古し。異次元緩和による超低金利が円安を進行させ、足元の輸入物価高やガソリン高騰を招き、個人や中小企業を苦しめているのに、出口戦略を描くどころか路線を継承し、自らジレンマにはまり込もうとしている。効果は度外視して規模だけ膨らませた今回の経済対策は政策破綻の象徴です」(金子勝氏=前出)
18歳以下クーポンで経費900億円増 |
緊急性とは程遠い予算もわんさか盛り込まれている。自衛隊の装備品強化などに7354億円。岸田の初訪米に向け、あからさまなバイデン大統領への手土産代だ。遅々として進まないマイナンバーカードの普及のため、取得者に最大2万円分のポイントを新たに付与するマイナポイント事業にも1兆8134億円。どうしようもないのが、年収960万円の所得制限で大モメした18歳以下への10万円相当の給付だ。コロナ予備費7311億円の活用を含め、1兆9473億円が確保されたのだが、現金とクーポンに分けて段階的に給付することから事務的経費が現金一括給付よりも900億円も高い1200億円に膨らんだというのだ。
「庶民の懐に大ダメージを与えているガソリン価格上昇を抑える対策費は800億円です。それに対して、クーポン配布経費に900億円も投じる。不要不急とは言えないマイナポイント事業に20倍超の予算を計上する。そもそもバラマキ色の強い補正予算案ではありますが、今打つべき対策はあまりにもチョボチョボ。オトモダチ企業に税金を中抜きさせるやり方は安倍・菅政権と全く変わらない。ハト派の顔をして国民に接し、『聞く力』をアピールする岸田首相は、歴代首相よりも老獪かもしれません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
臨時国会は来月6日に召集され、会期は12日間で調整されている。初日に所信表明演説が実施され、その後、各党が代表質問を行い、衆参両院で予算委員会が開かれる流れだ。岸田が安倍以上の口先カラッポ首相であることがもう露呈してきたが、野党はこの欺瞞に斬り込めるのか。
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