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2021年11月2日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/140343
自公政権の継続と岸田文雄首相の続投が確定し、野党共闘が不振に終わった今回の衆院選。示された民意は何だったのか。首相の政権運営や野党共闘の展望とともに、御厨貴・東大名誉教授に聞いた。(聞き手・木谷孝洋、妹尾聡太)
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みくりや・たかし 1951年、東京生まれ。東大先端科学技術研究センターフェロー。専門は近現代日本政治史。政治家ら当事者の証言を記録する「オーラルヒストリー」の第一人者として知られる。
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—選挙結果をどう分析するか。
「自民党単独で絶対安定多数を維持し、有権者は一定程度、岸田首相を信任したと言えるだろう。ただ、甘利明幹事長が小選挙区で敗北したことが象徴しているように、国民は自民党にモヤモヤしたものを感じている。森友・加計学園や『桜を見る会』、政治とカネの問題について説明を尽くさないことへの不満はある。自民党がこうした問題に向き合わなければ、今後もボディーブローのように効いてくるだろう。岸田氏は甘く見ない方がいい」
—各種の情勢調査に比べ自民党が堅調だった。
「直前に総裁選をやり、『選挙の顔』を替えた効果はあった。ただ、岸田氏はまだ何もやっていないことを自覚する必要がある。今回の信任は国民の注文も踏まえたものだ」
—日本維新の会が議席を大幅に増やした要因は。
「自民党には入れたくないが、政権交代は望んでいない有権者の票が流れたとみている。維新は大阪に根差した地域政党的な性格が強いが、コロナ対策などナショナル(全国的)な問題にも対応できる党と見なされた。地方の発想で中央を攻める新しい動きになるかもしれない」
—候補者を一本化し、共通政策を掲げた立憲民主党や共産党は議席を減らした。
「野党は政権交代選挙という構図を打ち出しすぎた面がある。有権者には『このまま政権を任せられるのか』という不安感があった。もう1点は、立民の枝野幸男代表が旧民主党政権から要職を続けすぎている面もある」
—野党共闘は継続すべきか。
「与党と1対1の構図をつくって国民に選んでもらうこと自体は間違っていない。今回、衆院選で初めて本格的な共闘が実現し、各党はどこで妥協し、どこで主張するかを学んだはずだ。結果が出なかったからといって、共闘をつぶしては駄目だ」
—安倍・菅政権を総括する選挙となったか。
「野党は安倍晋三、菅義偉両氏の長期政権で何を実現し、何ができなかったのかを争点化できなかった。今回が安倍・菅政権を総括できる唯一の選挙だったのにスルーしてしまった。大きな問題だと思う」
—投票率は戦後3番目に低かった。
「1年半に及ぶ『コロナと政治』の問題に決着をつけるために有権者が投票所に足を運ぶと思ったが、投票率は意外に伸びなかった。近年の選挙を見ると、投票に行く層が50%程度で固定されているのかもしれない。政権基盤は有権者全体から選ばなければいけないが、半分しか選挙に参加せず、さらにその何分の一かの支持で政権ができるということは問題だ。投票に行くことは、政権基盤を広げるという意識をもっと浸透させないといけない」
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衆院過半数と絶対安定多数 衆院定数は現在465で過半数は233。憲法56条は特別の定めのある場合を除き、出席議員の過半数で衆参両院の議事を決するとしており、国会運営や政権を担う際に目安となる議席数となる。与党が国会法で定められている17常任委員会の全委員長ポストを独占した上で、委員の数でも野党を上回る議席数261は「絶対安定多数」と呼ばれる。
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