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遅すぎたワクチン3回目接種「短縮」決定 効果切れ高齢者の重症化リスクを専門家が強く危惧
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/297474
2021/11/16 日刊ゲンダイ
先行接種した高齢者のワクチン効果切れが多発しかねない…(C)共同通信社
決定があまりにも遅すぎる。厚労省の専門部会は15日、新型コロナワクチンの3回目接種について、2回目の接種から「8カ月後」としていた方針を変更し、「6カ月後」も容認する方針を了承した。今後は原則「8カ月」としつつ、自治体の判断で「6カ月」でも接種できるようになる。
厚労省が急きょ、方針を変えたのは、接種完了から半年後にワクチンの効果が低下するとの報告が海外で相次ぎ、実際、ブレークスルー感染が頻発しているためだ。しかし、このタイミングでの方針転換では、先行接種した高齢者のワクチン効果切れが多発しかねない。
高齢者接種は4月から開始され、5〜7月に本格化した。ワクチン効果が低下する「半年後」は11月〜来年1月になる。ちょうど、冬の流行が拡大する時期だ。本当はすぐにでも3回目接種を打つ必要があるが、このタイミングで“6カ月”への短縮方針を示しても、自治体が対応するのは困難だ。なぜ、もっと早く、方針変更できなかったのか。横浜市の担当者が言う。
自治体悲鳴「今、言われても…」
「『やりたかったらやってもいいよ』と、自治体に判断を丸投げされても正直、困惑してしまいます。また、対象者が増えれば、当然、接種券の配送をやり直したり、医療スタッフや接種会場の確保などもろもろの契約を改めて行う必要があります。今、言われてもという感じです。もっと早く判断できなかったのでしょうか」(健康安全課)
茨城県の担当者は「市町村は“8カ月”で準備してきた。すぐの対応は難しい」(ワクチン接種チーム)、東京都北区の担当者も「12月に3回目接種を行う人には11月下旬に接種券を送る予定です。今から12月の接種者が増えた場合、希望通りの接種はかなり苦しい」(ワクチン接種担当課)と答えた。
イスラエルでは今夏、ワクチン効果が薄れ、致死率が上昇。大急ぎで3回目接種を進め、致死率は大幅に低下した。モタモタしていられない。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「海外の事例から、高齢者について“8カ月”では冬の流行に間に合わないことは明らかでした。ワクチン接種率が欧米を抜いたとアピールしていた9月ごろ、政府が間隔の短縮を打ち出していれば、自治体も12月からの高齢者接種をスムーズに実施できたはずです。この先、3回目接種ができていない高齢者が重症化したり、死亡するケースが増える恐れがあります。政府の後手対応による人災と言えます」
総裁選や総選挙があったとしても、国民の命と健康が眼中にあれば早めに対応できたはずだ。
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