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※2021年11月10日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年11月10日 日刊ゲンダイ2面
【刹那の政治に野党不在】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) November 11, 2021
第2次岸田内閣 得体のしれない怖さと不気味
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/wQNOZwoIpi
※文字起こし
10日召集の特別国会で、岸田首相が第101代首相に選出され、第2次岸田内閣が発足するが、そこに華々しさはない。むしろ、この政権は大丈夫か、と言わざるを得ない。
岸田の肝いりで発足した「新しい資本主義実現会議」が8日、緊急提言をまとめた。これの一体、どこが「新しい」のか。「10兆円規模の大学ファンド」「水素ステーション、充電設備の整備」「テレワーク推進」など安倍・菅政権の焼き直しメニューばかり。「成長と分配の好循環」を実現するための「分配」の目玉も、「賃上げ実施企業の税制優遇と補助金支給」「看護、介護、保育人材の賃上げ」とこれまでと同様の取り組みが並んだ。
そもそも衆院選真っただ中に初会合が開かれ、8日は2回目。月内に策定する緊急経済対策に盛り込みたいがための超スピード提言だから、新味がないのは当然で、会議のメンバーである経済同友会の桜田謙悟代表幹事が「伝統的な成長戦略では、多分成功しない」「(議論に)半年程度かけてもいい」と拙速さにクギを刺すほどだった。
驚いたのが、賃上げ実施企業を「政府調達」で優遇する案までもが新たに加わったことだ。政府調達は年間2兆円を超える。そこに恣意的な優遇が生まれると、公平公正な入札が行われなくならないか。賃上げの一方で、政府調達の品が劣悪なものになりはしないか。
とにかく賃上げ実現こそが「成長と分配の好循環」の肝だと、岸田は躍起になっているが、場当たりとデタラメで、うまくいくはずがない。
スジ悪政策で競争を歪める
元経産官僚の古賀茂明氏はこう言う。
「これまでも賃上げした企業に税制優遇や補助金を支給してきましたが、結局、企業が儲けなければ賃上げできないわけで、下駄を履かせてもあまり効果がないという声が根強くありました。政府調達で優遇するというのも、『仕事が増えれば賃上げできるでしょう』とニンジンをぶら下げる同種の政策。競争を歪める結果にしかならないでしょう。この30年、自民党がやってきた雇用政策は、経団連のために賃金を上げない政策でした。正社員を減らして非正規を増やし、労働条件を切り下げてきた。本来は人に投資して、労働者の質を上げるべきだったものを、真逆なことを続けてきた。30年サボってきたのに、『新しい資本主義』という言葉だけで短期間に賃上げを実現しようとしても効果的な方法はありません。だから、スジの悪い政策しか出てこないのです」
岸田は9日、「新たな資本主義実現会議」に続く、4つの会議を乱発して設置。@デジタル技術を活用した地方活性化を議論する「デジタル田園都市国家構想実現会議」A社会のデジタル化を進めるのに必要な施策や規制緩和を議論する「デジタル臨時行政調査会」B社会保障全般の総合的な検討を進める「全世代型社会保障構築会議」C看護や介護、保育の現場で働く人の収入の引き上げを検討する「公的価格評価検討委員会」で、BとCは9日さっそく初会合が開かれたが、すでに「各会議の違いをどう出せばいいのか分からない」(内閣府関係者)と困惑の声が上がっている。
ア然なのは、@の会議で竹中平蔵慶応大名誉教授がメンバーになっていること。総裁選の際に力説していた「新自由主義からの脱却」はどこへやら、だ。
結局、岸田は一体、何をやろうとしているのか、本当に「分配」が実現するのか。内閣官房幹部すら「どこへ行こうとしているのかまだ分からない」と戸惑っているというのだから、どうしようもない。
米国に説得されたら「戦争する」と言い出しかねない |
方向が定まらず中身カラッポの経済政策が露呈する一方で、不気味なのは、岸田がタカ派政策に直進していることだ。
政府は、外交・防衛の基本方針「国家安全保障戦略」の改定に向け、月内に与党との協議を始める予定で、ミサイル発射基地をたたく「敵基地攻撃能力」の保有を明記する検討に入る。改定は来年になるが、早期の訪米を実現させるために、検討の着手を急ぐらしい。
衆院選で岸田は、ウルトラタカ派の高市政調会長の政策を丸のみして、「防衛費を国内総生産(GDP)比2%水準へ大幅増」という内容の政権公約を盛り込んだ。「敵基地攻撃能力」についても衆院選翌日の会見で「選択肢の1つだ」と明言している。いずれも米国は歓迎だから、岸田はヤル気なのだろう。連立を組む公明党は山口代表が「古めかしい議論」だと牽制していたが、18歳以下の子どもへの「10万円給付」ですら思うように通せない公明党が“歯止め”になるはずもない。
さらにヤバいのは、野党の力がすっかり弱体化してしまったことだ。衆院選敗北で立憲民主党は今後の方向性を模索中。安倍元首相らの政治の私物化など数々のスキャンダルを追及してきた「野党ヒアリング」がなくなったら、あらゆる悪事が闇に葬られてしまう。
衆参ともに改憲勢力が3分の2を超え、その一角を占める日本維新の会は9日、野党の枠組みからの離脱を決めた国民民主党と幹事長会談を行い、改憲へ向け議論を加速させることで一致した。衆参両院の憲法審査会を毎週開催するよう与党に求めるというが、「ゆ党」の維新と国民が鼻息荒く、自公を揺さぶる構図はおぞましい。
維新代表の松井大阪市長が「来年の参院選までに改憲案をまとめ、参院選と同時に国民投票を実施すべきだ」とブチ上げていたが、早くも昨夜、維新の馬場幹事長が自民の茂木幹事長と会食。自民党の憲法改正案4項目のうちの「緊急事態条項新設くらいは議論して国民投票で是非を問うのがいい」と茂木が呼び掛け、馬場は賛同したという。
東条に道を譲った近衛を彷彿
ハト派の「宏池会」の顔を見せながら、その実、得体の知れない岸田。タカ派に豹変する安保戦略の改定にポピュリスト政党が協力し、健全野党が駆逐されれば、この国はどこへ向かうのか。
政治評論家の森田実氏が言う。
「平和な顔をしながら日中戦争をしかねない岸田首相は、歴史的に見ると、軍部の進出を許して東条英機に道を譲った近衛文麿を思い起こさせます。五・一五事件で民主政治の切り札だった犬養毅が暗殺され、二・二六事件で蔵相だった高橋是清らが殺され、岡田啓介内閣は総辞職。軍部がどんどん力をつけていく中、期待を集めたのが公爵で貴族院の政治家だった近衛でした。しかし、優柔不断で、困難な政局を乗り切る力に欠けていたため、結局、東条に倒されたのです。もっとも、近衛は見識があった。無責任・無能力で野心しかない岸田首相と同列に扱うのは失礼ですがね。私が一番恐れているのは、維新によって右に引っ張られ、改憲できなくとも、今の憲法は間違ったものだとおとしめ、現行憲法の下でも戦争しかねないことです」
強権的な安倍・菅政権の後のソフトなイメージに国民はだまされがちだ。むしろ、岸田のように芯がなく、何をやりたいのかよく分からない政権の方が、危険極まりない。
「集団的自衛権の行使を認めた安保法制や特定秘密保護法など、安倍政権で『戦争のできる基本的枠組み』がつくられました。中国に対し、国民の多くが不安感を持っている今は、戦争に導きやすい環境ができています。そんな時に日本のトップが岸田首相です。『ハト派の宏池会だから、広島出身だから、核兵器はダメ』というのはうわべの哲学でしかなく、一方で岸田さんは、敵基地攻撃能力が必要と言ってしまう。私が役人の当時から、岸田さんという人は、疑ったり、反論したりがなく、おのおのに理屈があれば、矛盾したことにも『そうだね』とうなずいてしまう人でした。今も言ってることが矛盾だらけで支離滅裂でも、それに気づけない。強い信念のない人なので、米国に説得されたら『戦争をする』と言い出しかねない怖さがあります」(古賀茂明氏=前出)
岸田政権が分岐点だった……後世の歴史にそう刻まれることになりかねない極めて危うい状況にこの国があることを、頭に入れておいたほうがいい。
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