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菅田将暉ら「投票呼びかけ動画」参加のローラに「日本国籍なのか」「参政権あるのか」と差別バッシング! 作家の柳美里にも
https://lite-ra.com/2021/10/post-6056.html
2021.10.24 菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング リテラ
「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」より
菅田将暉、二階堂ふみら芸能人が衆院選への投票を呼びかける動画が大きな話題になっている。
コムアイや渡辺謙、秋元才加など以前から、政権批判も含め政治問題に積極的に発言してきた人だけでなく、これまで目立った政治的発言がなく政治とは無縁な印象を持たれていた菅田将暉や橋本環奈などのメジャーな芸能人たちの呼びかけには大きなインパクトがあり、テレビや新聞でも大きく取り上げられている。低投票率が問題になるなか、意義のあるアクションだろう。
ところが、呼びかけ人の一人であるローラに対して一部でバッシングの声が上がっている。
〈ローラって投票権持ってんの?外国の方は政治に参加できませんけど?〉
〈著名人の選挙へ行こうの動画にいるローラ日本人でもない外国国籍の者が選挙に行くと嘘をつくな!〉
〈ローラは、参政権が有るのか?【内政干渉】〉
〈ローラ、選挙語ってるけど、日本で投票権あんのか…?〉
〈モデルのローラって、日本国籍なの? 投票権持っているってことは日本国籍なんだろうけど、なんか???〉
〈そもそもローラ、ロス在住でしょ! 本当に投票に行くの?〉
〈ローラって選挙権あるんだ…?? アメリカから帰ってきた??〉
〈ローラって 彼女、日本の選挙権あるの?差別するつもりはないけど生い立ちからみて限りなく外国籍っぽいし、しかも今アメリカ在住?カッコつけでいっちょかみされたくないんだけどなぁ〉
とんでもない的はずれな攻撃としか言いようがない。まずアメリカ在住であることを問題にしている人がいるが、「在外選挙制度」によって国外に居住する人の選挙権行使の機会は保障されている。ただし、今回総理就任から解散までの期間が史上最短となったため、在外投票が間に合わないかもしれないという危惧がSNSで多数見られる。もし、投票できないとすれば、重大な問題だが、これは言うまでもなく岸田首相の問題であって、ローラになんの非もない。
また「日本国籍じゃない」「選挙権あるのか」という反応も差別まるだしだ。ローラはバングラデシュ人の父と、ロシアと日本のクォーターである母との間に生まれ、幼少期の数年はバングラデシュで過ごしているが、生まれたのは日本でまた日本で長く育ち仕事もしてきた。プロフィールなどで国籍について言及はしていないが、日本国籍を有していても不思議ではない。
何十年も前に日本国籍からアメリカ国籍になっている人を「日本人がノーベル賞」などとはしゃいでいたくせに、なにを言っているのか。多様なバックグラウンドを持っているというだけで、反射的に「日本人じゃない」とか「選挙権あるの?」などとあげつらうのは、「純血主義」「ハーフ差別」以外の何ものでもないだろう。
■日本国籍がなくても「投票呼びかけ」することは大きな意味がある
さらにいえば、仮にローラが外国籍で、今回の総選挙に選挙権がないとしても、投票を呼びかけることはなんらおかしなことではない。
言うまでもなく、日本社会で生活しているのも、日本社会を支えているのも、日本国籍の人間だけではない。選挙権は労働や税金の多寡で決められるものではないが、多くの外国籍の人が日本で働き日本人と同じように納税もし、日本社会を支えている。
しかし、そうした外国籍の人に対して差別的としか言いようがない制度や政策が日本にはたくさんある。
たとえば、代表的なのが在日コリアンの学生に対する差別的扱いだ。朝鮮学校の教育無償化除外にくわえ、コロナ禍で生活が困窮した学生に対する給付金までも朝鮮大学校の学生は適用外とされた。この措置については、国連の特別報告者は「社会的少数者の教育機会を脅かし、人種や民族に基づく差別にあたるおそれがある」として日本政府に是正を求めているが、政府は応じていない。
あるいは、外国人技能実習制度。搾取や虐待が横行する劣悪な労働環境をめぐり、これも国連人種差別撤廃委員会から「現代の奴隷制度」と厳しく糾弾されているが、いまだ廃止・見直しされていないどころか、2018年安倍政権は奴隷労働を拡大させるような入管法改悪を強行採決した。
そして入管行政をめぐる人権無視と非人道の数々。難民をほとんど受け入れないという排外政策はもちろん、入管施設での人権侵害は民主主義国とは思えない惨状だ。記憶に新しいのが、スリランカ人女性のラスナヤケ・リヤナゲ・ウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管に長期収容のすえ、今年3月に亡くなった問題だろう。命が危険な容体に陥っていたにもかかわらず、適切な治療を受けさせることなく死に至らしめたことや、また体調が著しく悪化しているウィシュマさんに対して虐待的な扱いをしていたことも、徐々に明らかになっている。ウィシュマさんの妹がスリランカから来日し真相究明を訴えているが、菅政権も岸田政権も入管に記録を公開させるなどまともな対応をしていない。しかも、入管で長期収容のすえ、死に追い込まれたのは、ウィシュマさんに限った話ではなく、これまで何人もの犠牲者が出ており、これも国際社会から厳しく批判されているが、まったく改善されていない。
そして、こうした差別制度や排外主義政策がまかり通っていることは、日本社会で差別にお墨付きを与え、差別をはびこらせている要因のひとつでもある。
在日コリアンも、外国人労働者も、入管の被収容者も、ウィシュマさんの遺族も、こうした問題の当事者だが、現行制度では日本における選挙権はない。彼らがこうした問題に異を唱え、差別をなくしてほしい、差別的な制度や法律を改めてほしい、日本政府に対応してほしい、そういう人に議員になってほしい、政権を担ってほしいと思えば、選挙権を有する人たちに投票してもらうしかないのだ。デモや署名など民意を示す方法は選挙以外にもあるが、実効性がもっとも担保されているのは選挙だ。
■柳美里の「参政権を持っていない人の立場を、頭の片隅に」ツイートにも差別的攻撃
日本国籍を有しない人が、自分に選挙権がないとしても、投票を呼びかけるのは何もおかしなことではないし、いやむしろ選挙権がないからこそ、選挙権のある人たちに「投票に行ってほしい」「○○に投票してほしい」と訴えるのは当然だろう。選挙に関しては、彼らにはそれ以外に方法がないのだから。
俳優でモデルの水原希子は、インスタのストーリーズに、連日、投票を呼びかける画像を投稿している。若い世代に向け投票方法など解説する「選挙の教科書」や、パタゴニアの「私たちが本当に必要とするこれからの政府をつくる」「私たちの地球のために投票しよう」という呼びかけ。さらにイラストレーターやデザイナー、漫画家などがそれぞれ投票を呼びかけるポスターを制作した「#投票ポスター2021」からも複数のポスター画像を投稿。その一つイラストレーターのサラ・ガリー氏のポスターには、「選挙に行こう 投票できない人たちのために」という言葉が書かれている。
在日コリアンの作家・柳美里氏は、10月22日ツイッターでこう呼びかけた。
〈わたしは日本における参政権が無いので、投票をしたことがありません。
日本という国は日本国籍を有する人だけで構成されているわけではありません。
参政権を持っている人には、持っていない人の境遇や立場を、頭と心の片隅に置いておいていただけると、うれしいです。〉
そして続けて出入国在留管理庁の「令和2年6月末現在における在留外国人数について」というデータをリツイート。今年6月末の在留者外国人数は、288万5904人だ。
この柳氏のツイートにも、「それなら帰国すれば」などという差別リプがたくさんついている。
昨年の「大阪都構想」をめぐる住民投票でも、大阪市民の5%に当たる150万人もの外国籍市民の投票権が認められないことが問題になった。また2018年には国連・人種差別撤廃委員会から在日コリアンに地方選挙権を認めるよう勧告を受けている。そもそもこのまま外国人参政権を一切認めないままでいいのかという問題もある。
こうした差別、排外主義を終わらせるためにも、差別主義者をのさばらせている自民党政権にはNOを突きつけなければならない。
(酒井まど)
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