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冬の「第6波」で猛威を振るう新たなコロナ変異株は何だ? 誰にも分からない不気味
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/295477
2021/10/10 日刊ゲンダイ
「変異株」が世界で次々と生まれている(C)日刊ゲンダイ
ひと時より感染者数は減ってきているとはいえ、新たな脅威となる「変異株」が世界で次々と生まれている。
WHO(世界保健機関)は「偏見や差別につながる」として変異株の呼び名を24文字あるギリシャ文字に切り替えているが、8月31日に「注目すべき変異株」に指定された「ミュー株」ですでに12番目(発見順とは一致しない)。
早晩、足りなくなるのは必定で、次は星座(アンドロメダ座〜)の呼称になる。
最も新しい「ミュー株」はコロンビア、エクアドルで広まり、ワクチンの有効性は7分の1まで下がるという報告がある。日本では海外から帰国した2人の患者が報告されており、いずれも無症状とのこと。
ウイルスの変異は、RNA遺伝子をコピーする際のコピーミスによるもので、高い伝播性やワクチンの無力化など何が起こるか予想ができない。冬にも予想される「第6波」の主要株がラムダ株なのか、ミュー株なのか、それとも新たに生まれるであろうニュー株、クサイ株なのかは誰にも分からないのだ。
9月から入国後のホテル隔離を一部緩和
今後も変異を繰り返す(提供)米国立アレルギー感染症研究所
いずれにせよ、海外からの新種については水際対策が重要となる。
日本政府は9月20日から〈水際対策上特に対応すべき変異株〉として「ベータ株」「ガンマ株」「デルタ株」「イータ株」「イオタ株」「カッパ株」「ラムダ株」「ミュー株」の8つを指定し、これまでの3つ(ベータ、ガンマ、デルタ)から強化すると発表している。
ところが、入国後に検疫所が決めた施設での待機(隔離)については、新たな変異株に関する知見、当該国・地域における流行状況、ワクチンの有効性などを総合的に判断するとして、実質的に隔離期間を緩和した。
最も感染者の多い米国が“待機なし”になるほか、10日間の待機が求められていたインドネシアなども3日間に短縮される。ほぼスルー状態といっていい。
「最も効果的な感染対策は、海外から新たなコロナウイルスを持ち込ませないこと。ところが、日本政府は入国緩和の方向に動いています。まったく理解できません」(医学博士の中原英臣氏)
まったくもって理解に苦しむ対応だが、その政府が期待するワクチン接種による集団免疫の獲得は困難とみられる。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も「国民の70%がワクチン接種しても、残りの30%の人がプロテクトされることでは残念ながらないと思う」と否定的だ。
「経口薬」は次の感染爆発まで間に合うのか
なかなか承認されない(アビガン=ロイター・共同)
長く暗いトンネルの中で明かりが見えるとすれば、それは「治療薬」の登場。第6波が襲来してくる前に治療薬の開発は間に合うのか?
今年の春先、国産治療薬として開発が期待された小野薬品工業の「カモスタット」は、実際の使用を想定して行う最終の第3相臨床試験までこぎつけていたが、承認申請を前に効果なしとされ6月に開発を中止。同じく第一三共の「ナファモスタット」も安全性に懸念が出て第1相で開発を中止している。やはり第3相まで来ている富士フイルム富山化学の「ファビピラビル」(商品名アビガン)だが、いまだ承認されていない。興和の「イベルメクチン」はそもそも抗寄生虫薬で、国際的にも使用が推奨されていないもの。残る塩野義製薬の「S-217622」が年内の申請を目指している。
一方、メルク(米国)の「モルヌピラビル」は第2/3相まで来ており、年内にも米国で緊急使用許可が下りる可能性が出てきた。日本では年内にも申請を見込んでいる。中外製薬が共同開発するロシュ(スイス)の「AT-527」は2022年に申請予定だ。
開発に数年を要する薬剤開発が急ピッチで進んでいることは素直に驚きだが、少なくとも数カ月は今のような感染対策を続ける必要がある。
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