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日本の「没落」を国民は気付いているか…平均賃金、個人当たりGDPともに韓国を下回る 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/295722
2021/10/08 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
日本はもはや経済大国では全くなく、平均賃金も個人当たりGDPも、教育投資でさえも、隣国韓国よりも低い(C)日刊ゲンダイ
自民党の岸田新総裁は「幅広い国民の所得を引き上げる」ことを提言している。
日本は今、経済的に没落の道を歩んでおり、経済誌「エコノミスト」(10月5日号)は<OECDによると、20年に日本の平均賃金は3万8514ドルでOECD加盟35カ国中22位であり、同4万1960ドルで19位の韓国を下回った>と報じている。
この種のデータは、これに限らない。世界有数の情報機関であるCIA(米中央情報局)のサイトである<WORLD FACTBOOK>は、各国の「個人当たりGDP」を掲載している。
香港、マカオなどの地域も一単位として扱っているが、日本は世界の中で第45位。GDPは4万1429ドル。これに対し、韓国は41位(4万2765ドル)である。
日本国民は、「平均賃金」「個人当たりGDP」で日本が韓国の下位にあることを、どれだけの人が知っているのだろうか。
「労働者」ではなく、「企業」はどうか。
「トヨタ自動車」は世界に冠たる企業であり、アジア諸国のほぼトップに位置すると思うだろう。ところが、日経の東アジア企業の時価総額のランキングによると、1位は「テンセント」(中国)、2位は「TSMC」(台湾)、3位は「アリババ集団」(中国)、4位は「サムスン電子」(韓国)、5位は「貴州茅台酒」(中国)。そして6位が「トヨタ自動車」で、7位は「中国工商銀行」、8位は「招商銀行」、9位は「CATL」、10位が「美団」で、いずれも中国企業である。
テレビなどで「日本は最高」という番組がしばしばあるが、日本は没落の中にいるのが実態だ。なぜ、こうした状況に陥ったのか。
日本は一時、世界第2の経済大国だった。この時、世界各国は「日本の驚異」が生じた理由を調査し、@教育水準A軍備に金を使わずに経済投資B官庁の国益的政策提言に加え、政・経・官が一体となった行動――と分析した。
だが、これらの状況は今や一変した。教育への公的資金投入を見ると、OECD加盟国など42カ国中、日本は39番目であり、対GDP比で教育投資額は英仏米はもちろん、韓国よりも低い。日本は教育を軽視する国となっているのである。
このままだと日本の将来は悲惨だ。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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