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※2021年10月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年10月7日 日刊ゲンダイ2面
【内閣支持率5割割れの衝撃】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) October 7, 2021
やはり、この政権は短命の予感
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/Di5NHGPhM8
※文字起こし
「日本人として大変誇らしく思っている」
米プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員(90)がノーベル物理学賞に決まったことについて、6日、首相官邸でこう語っていた岸田首相。
だが、今の自分自身の言動は政治家として、日本の総理大臣として、果たして「誇らしい」と胸を張って断言できるのだろうか。
岸田内閣発足を受け、朝日新聞が4〜5日に実施した全国世論調査(電話)によると、内閣支持率は45%で、不支持率は20%。発足直後の支持率としては、2001年の小泉内閣以降で、麻生内閣(48%)を下回り、最低となった。毎日新聞でも「支持」が49%だったのに対し、「不支持」は40%で、他の報道各社の調査でも4〜5割台にとどまっていたから衝撃だ。
「低い数字も含めしっかり受け止め、自分自身をしっかり振り返りながら、これから選挙に向けてしっかり取り組んでいきたい」「各社によってだいぶ幅がある。質問のあり方も違うのかなと想像している」
岸田は記者団に低支持率の感想を問われてこう答えていたが、内心は穏やかでなかっただろう。この1カ月間、テレビ・新聞はコロナ報道をすっ飛ばして総選挙一色の「祭り状態」。そんな中で誕生した政権なのだから、普通であれば首相が誰であろうと最初の支持率ぐらいは高いもの。いわば“上げ潮ご祝儀相場”というべき状況にもかかわらず、支持率5割割れというのは異例中の異例。出はなをくじかれたのも同然だからだ。
岸田政権はすでに「底が割れた」
この数字が意味するところはハッキリしている。良識ある国民の多くは、すでに岸田政権の正体を見透かして「底が割れた」と見ているのだ。
そりゃあ、そうだろう。岸田は総裁選で「生まれ変わった自民党」「党改革」などと連呼していたが、新政権の党役員・閣僚人事の顔ぶれを見る限り、生まれ変わるどころか、先祖返りも甚だしい。
政権を2度も放り出した「希代のペテン師」こと安倍元首相や、その盟友である麻生副総裁に近い甘利を、あろうことか党の実権を握る幹事長に起用。「3A」と呼ばれる連中の「傀儡政権」「闇の支配」の構図が浮き彫りになった。
政策的には岸田と「水と油」といわれる、安倍代理人の高市を政調会長で処遇することを提案したのも甘利だし、高市以外の役員人事の多くも岸田ではなく甘利が直接打診した、と報じられている。身内の岸田派からは「細田派や麻生派に気を使い過ぎ」などと不満の声が出ているらしいが、岸田は「適材適所」と言うばかり。幹事長と官房長官という「政権の要」を田中派に奪われ「田中曽根政権」と揶揄された1982年の中曽根内閣とそっくりだ。今の岸田派の源流である宮沢派(宏池会)も、91年の総裁選で、最大派閥竹下派の故・金丸信会長にポストの“禅譲”を持ちかけて勝利したが、政権を取るためなら何でもあり。まさに「歴史は繰り返す」だ。
政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「私は岸田内閣を『新鮮・薄味内閣』と呼んでいますが、支持率が上がらない要因は2つ。いわゆる3Aの色が強く出過ぎたこと、人事刷新内閣と言っても印象が薄い人ばかりだということです。今のところ菅政権よりもマシでしょうが、今後、閣僚などから失言、暴言が飛び出せば、総選挙でどう転ぶか分かりません」
岸田の思考は「安倍・麻生・甘利ガチャ」 |
そもそも甘利は大きな“爆弾”を抱えていた男だ。
経済再生担当相だった2016年、UR(都市再生機構)の土地売却をめぐる賄賂問題で辞任に追い込まれ、そのまま「睡眠障害」を理由に国会を欠席して雲隠れ。衆院解散、総選挙が近くなった途端、急に復活し始めたかと思ったら、「元特捜検事」という人物がまとめた謎の報告書をもとに潔白を主張。それが、いつの間にやら「説明責任を果たした」などと言い張っている。
そんな愚弄男が政権与党の幹事長に就けば、どういう事態になるのか。岸田だって分かっていたはずだが、裏返せば、そんな「スネ傷男」を要職に置かなければならないほど余裕がなかったということ。これでは「生まれ変わる」どころではない。
「幹事長」人事がこのザマなのだから、他の人事、政策が期待できないのも当然。新型コロナウイルス対策の要となる、堀内ワクチン担当相、後藤厚労相、山際経済再生担当相の「コロナ3大臣」の就任会見を見ても、不安しか感じない。国民が「なるほど」と思う具体策を説明するどころか、そろって要領を得ず、堀内なんて前担当相の河野と引き継ぎすら終えていない上、「任命していただいたばかりですので」とシドロモドロだった。
岸田は、コロナ対策について「喫緊かつ最優先」と言っていたが、この布陣で「第6波」「第7波」に備えられるのか。国民が青ざめるのも当たり前だ。
「新資本主義」の中身は「新自由主義」
岸田内閣は政策の基本方針として「新しい資本主義の実現」を閣議決定。「科学技術立国」「デジタル田園都市国家構想」「経済安全保障」「人生100年時代の不安解消に向けた社会保障改革に取り組む」――などを成長戦略に掲げているが、これも期待できない。
なぜなら、岸田が6月に立ち上げた「新たな資本主義を創る議員連盟」の最高顧問は安倍、麻生で、発起人は甘利だ。つまり、「新資本主義」と力んでいるだけで、その実態は、経済格差を拡大し、弱者を追い詰めるこれまでの「新自由主義」と変わらないのだ。
原発についても再稼働ありきの布陣で、萩生田経済産業相もメディアのインタビューで、原発は脱炭素に「欠かせない」として「再稼働を進める」と明言している。
要するに岸田の言っていることは安倍、菅政権の時代と同じ。何から何まで国民に見透かされているのに、よくもまあ、平然と「生まれ変わる」「改革」と言えたもの。欺瞞そのものだ。
野党が求める予算委開催についても、岸田は「国会が決めること」と、これまた安倍・菅が多用したフレーズを繰り返している。本気で「改革」する気があるなら党国対委員長に「やれ」と言えばいいだけ。岸田は首相であり、党のトップ・総裁なのだ。それなのに「何となく後ろ暗い」と自覚しているからなのか、予算委そっちのけで、総選挙をぶち上げているから卑怯極まりない。
岸田は一体、いつも持ち歩いているという「ノート」に何を書き込んできたのか。暇つぶしにパラパラ漫画でも書いていたのではないのか。これじゃあ、テレビ番組で、女性コメンテーターから「東大受験3度失敗するなんて、勉強好きね」などと皮肉を言われるわけだ。仮に岸田が「オレの力ではどうにもムリ……」などとあきらめているのであれば、それこそ「親ガチャ」の思考と同じ。「安倍・麻生・甘利ガチャ」のままなら「短命」で終わるのは間違いない。
政治評論家の森田実氏がこう言う。
「国民は安倍・菅政治というものに対して嫌気が差しているのです。それを変えてほしいと切望しているのに、3Aという手のひらの上で『改革する』などと叫んでいるのが岸田首相です。野党の態勢が整わぬうち、新党ができないうちにと総選挙を急いだのでしょうが、衆院選は何とか踏ん張っても、次の参院選は敗れる可能性が高い。第1次安倍政権の時と同じです。こういう不誠実で、国民を欺くような政治は長く持たないでしょう」
やはり、終わった男は終わった男なのだ。
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